刻該骸の物探し

@Chaikey

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 七月十五日(水) 晴れだと思えば晴れ

 私、刻該骸こくがいむくろはこれから日記を付けようと思う。右曲君には笑われたが(「先生が何かを続けられたことってありましたっけ」と言われた。心外だ)、今日起きたような事件を書き留めておくには、日記という形が最適であると考えたのだ。

 とは言っても私も私であるため、特別彼を否定できる訳ではない。よってこれが最初で最後の日記になるかもしれないが、───それが私らしさなのかもしれない。

 本題だ。

 先述した通り、今日は依頼人がやってきた。そう、今日『は』である。一ヶ月とは行かないものの、三週間と二日ぶりの依頼であった。皆承知のことであるが私の本業は探偵などではないため、三週間依頼が無くても三ヶ月依頼が無くても三年依頼が無くても生活に問題はないのだ。実際私が今までに解決した事態はそう多くはない。しかし、いくら不必要なことではあっても、には責任を持たねばなるまい。そして、私は誠意を持って依頼人に接するべきであろう。私は少し気合を入れて久しぶりの依頼人へと臨んだ。

 齢九歳の、依頼人へと。

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