第30話 新しい朝がきた、希望の朝だ
昨日は、中々濃い一日だった。
死に別れたさくらこさんとの出会いに感動し、カムイに合って一緒に暮らすことになり、くまのマリアさんの娘さんの救助を頼まれ、さらにドラゴンに合って、くまさんの村に行って、お昼に早々とお米との再会、そしてキラーアントの襲撃に討伐。くまさんたちの引っ越し。
こうして上げると、凄いとしかいいようがないかも。
確か、私の希望としては、ほのぼのスローライフだったはずなんだけど・・・・・・・・・・・・。
これは、転生ものの小説でよく見られる、逃げられないテンプレ的なものなんだろうか?
昨日の女神さまの話も気になるし。
とうに目は覚めていたけど、愚だ愚だと『巣籠り風テント』の中で、ごろごろしてしまう。さくらこさんは、今回奥の方ですぴすぴ寝ているので、愛らしい寝姿を堪能してるっていうのも起きられない理由の1つかな。
二つ目の理由としては、昨日の夜食べすぎて、余りお腹が空いていないっていうのもある。(と言うかまだお腹が苦しい)
さて、ドラゴンさんからの連絡はまだないけれど、昨日の女神様の話によると、死にそうな目にあっていたということ。こんなことで嘘を付くメリットはないので確かだろうけど、ドラゴンのイメージが更に崩れてしまう。
それとも、人間の住んでいる所は、ドラゴンが死にそうになるぐらい、恐ろしい所ってことなんだろうか?
それはそれで、そんな異世界は怖くて嫌かも。
ちょっと、魔法で確認してみるか。
えっとドラゴンさんの魔力反応は何処に在るのかなっと。
ふむふむ どうやら、冒険者ギルドからどこかに向かって移動中のようです。これはもしかして娘さんの居場所がわかったのかな?
では救出の前に、朝御飯を食べておいた方がいいかも。といっても、食べるものが何もない・・・・・・・・・。くまさんが作った物を食べていたから、食べれるものを全く探していなかったよーーー。でも毎回、くまさんたちに食べさせてもらうのも変だよね。そんなことしたら、完全にくまさんたちの紐になってしまうし、良くない!
生きるためには、食べることって大切だから、早めになんとかしないと不味いかも。そういえば、クルマイという木の実を育てるのはありかも。お米で、ご飯だしね。くまさんたちに聞いて、種をわけてもらえるといいなぁ~。(希望的観測)
魔法を使えば、あっという間に実が付くまで成長させれるし、それっていいかも。スローライフに農業は欠かせないよね。でっ、野菜なんかも同じ流れで育てられるんじゃないかな? きっと。
ああ、でもお肉や魚はそういう訳にはいかないよ。
やはり、狩り? うー、ちょっと怖い。魚なら捕まえられるかな? でも、お肉大好きなんだよね。
チート魔法でお肉ゲットできるかな? 取り敢えず、定番の罠の落とし穴でも作ってみるか。どの辺りなら罠を作ってもよいか、カムイに聞いてみよう。
みゅうっ こしこし
いろいろ考えているうちに、さくらこさんが目を覚ましたようだ。
まだ寝惚けているようで、目を手で擦っている姿が愛くるしくて、思わず顔がとろけちゃう。
「みゅうっみゅ(おはよう)」
「おはよう」
「みゅっ みゅう~(お腹が空いた~)」
ぎくっ どうしよう、いろいろ考えていたけど、結局、今食べるものないんだよね、弱った弱った。
頬をぽりぽりしながら、遠くを見たりして誤魔化してみたりしてね。
農業をするにしても、良く考えたらその場所が必要だよね。洞窟の中で植物は育てられないだろうし、外だと目立つと困るから結界を張って?
と、現実逃避してないで、今の食事、朝御飯をどうするかだよ。
秘技他人任せじゃないけど、カムイに相談してみるか。
さくらこさん・・・・・・・・・。
あれ? さくらこさんがいない・・・。さくらこさんがいない! 何処に行った?! さっきまでそこに居たよね!?
『巣籠もり風テント』から慌てて出てドタドタと探す。
「さくらこさーーーーん! どこ!?」
慌てて探し回るけど見つからない。洞窟の入り口に居るはずのカムイもいなかった。後は、くまさんたちのいる場所だけです。
もうしかしたらそこにいるかもと、希望をもって行ってみると・・・・・・・・・・。
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