人体の不思議

 出産を控えた女性が入院していた時の事。


 それまで一度も不思議なものを見た事がないという彼女は、病院で昼夜を問わず現れる霊に悩まされたのだそうだ。生きている人間と見間違う程に鮮明なそれは、四肢があり得ない方向へと捻じ曲がっていて、突然彼女の目の前に現れたかと思うとふっと消えるのだという。



 中国では、妊婦が幽霊を見る話は珍しくない。


 前述の陰陽ルールによると、胎児は陰と陽の狭間にいる存在なのだという。そのような存在を体内に宿している妊婦もまた、陰と陽のどちらでもない存在なのだそうだ。そのため、この世ならざる存在が見えやすい。


 彼女も、いつ現れるか分からない霊に怯えていたが、出産を機にぱたりと見えなくなったという。





【狭間の存在】

 胎児や妊婦だけでなく、幼い子供も「どちらでもない存在」とする説もある。具体的な年齢が決められているわけではないが、六歳以下であることが多い。

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