招待
家へ連絡を入れ、夕食を二人分多く用意してもらう。
両親はもう家に呼ぶ友達が出来たのかと喜んだけど、二人共女の子だった事に驚いたようだ。
ふつつか者ですが、と三つ指ついて挨拶する空湖に両親は笑う。子供だから挨拶の仕方をよく知らないと思ったのだろうか。
僕はあまり笑えない。
食事が始まると、皆手を止めて一人の女の子を見る。
大きく口を開けて、食べ物を放り込むように食しているショートカットの女の子に視線が釘付けだ。
「おかわり!」
「……あ、はいはい。たくさん食べてね」
皆箸が止まったまま動けない。一週間分食い溜めしてるのかと言わんばかりの空湖の食欲に唖然としていた。
母はてっきり男の子が来ると思っていたので、御飯余るんじゃないかと心配していたけど杞憂だったみたいだ。
妊婦のようなお腹でリビングで大の字になる空湖に母が声をかける。
「お風呂入って行く?」
「はーい、助かりまーす」
食事の時、それとなくお風呂が壊れて困ってると話してたからね。
「いや、すみませんね。奥さん」
僕にはまともな友達はできないのだろうか。恥ずかしくなって縮こまってしまう。
父が僕の隣に座る。
「それで、どっちの子が本命なんだ?」
「い、いや。そんなんじゃ……」
と言いつつも顔が赤くなってしまう。
ひとしきりからかわれた後、僕も入浴準備のため、部屋へ着替えを取りに行く所で風呂から戻ってくる二人とすれ違う。
「いや~、ホントに宇宙人っていたんだな~」
「でしょ~、宇宙は広いのよ」
湯気を立ち上らせながら仲良く出てきた二人を見て、
「も、もしかして、一緒に入ったの?」
「ん? オレはロリコンじゃないから大丈夫だぞ。娘と入ってるようなもんだ」
確かにそうかもしれないけど。しかしなんだこの意気投合したような雰囲気は……。
美月は風呂場で一体何を見たんだろう。
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