Daydream Lover

舞原まい

vol.1

私は、夏だけ、ひとりだった―――


ギンギンの太陽とジンジンの蝉の声がする。

頭が痛くなる。

いっそこの手で蝉を1匹ずつ潰してやろうかってくらいうるさい。たぶん出来ないだろうけど。


ずらぁっと規則正しくならぶ街路樹は、私に「家へ帰れ」と催促してるみたいだ。その催促に逆らうわけでもなく、蝉のBGMを背景に、家への道のりをただひたすら歩く。


立派に「立育」と彫られた表札の横を通り、玄関をあけて、足を踏み入れ――

「芽依おかえりー!今日は誰と遊んできたの?」

「別に。ひとりだけど。」

黙ってしまうお母さんをよそに、私はひとり、部屋に閉じこもる。


どうしてだろう。


学校にいる時も、誰か特定の友達とつるむ訳じゃない。一緒にトイレに行こうと誘われれば、相手が相当いやな相手じゃない限りついて行った。移動教室の時だって、体育の時でもそうだ。私には、特定の友達はいない、というより作りたくないのだ。陰ではお互いいがみ合うくせに、一緒にいるとなぜか強気になって出てくる。


訳が分からない。

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