第19話 間に合った

その後少しにらみ合いが続いて俺が静かの安否を確認したかったためにシスカの方を向いた。すると、ドラゴンは何かを察したようにシスカの方を向き、爪を上げた。そしてそのまま爪を振り下ろした。


ヤバい。思った瞬間、俺の体は地を蹴ってシスカに近づいた。そしてドラゴンの爪を両手で受け止める。ズドォォォンという大きな音が聞こえた。痛い、熱い、息が苦しい。きっと何本か骨は折れていて内蔵に突き刺さっているだろう。だが、生きてはいる。ドラゴンが再び爪を振り上げる。回復魔法を使う時間は残されていない。どうする!俺!考えろ!そうだ、封印!あと何秒だ!確認すると文字は5という数字を表示している。あと5秒。

「ボンッボボボン!!」

瞬間、ドラゴンの腹部に横から炎属性の魔法を放った。もちろん俺ではなく街の冒険者がだ。ドラゴンは少したじろいでしまった。

(ピロン♪)

「ククク…。」

俺の不気味な笑い声にドラゴンのみならず街の冒険者まで俺の方に視線を送る。

「ドラゴンさんよぉ、戦闘中によそ見するとは言い度胸じゃねぇか。お前の敗因はよそ見だ。タイム・フルズ!!!」

俺は地を蹴りドラゴンに肉薄する。

「なぁ、ドラゴンさんよぉ、因果応報って言葉しってるか?これはなぁ、簡単に言うとやったことは自分に返ってくるって意味だよぉ!!」

そう言って俺は剣を振り上げた。

「いんがぁぁぁ---おうほぉぉぉう!!」

俺は剣を振り下ろし、ドラゴンを真っ二つにして絶命させた。

「オオオオォォォォォォ!!!!」

街の冒険者達から歓声があがる。清々しい気持ちだ。流石勇者だぜ!とか素敵!などの黄色い歓声も聞こえる。素直に嬉しい。そういえば、戦闘中はキャラが崩壊していた気がするが、うん、気のせいだろう。

リズが寄ってきて、

「ご主人様ぁ!流石です!!リズ、ご主人様かっこよすぎて倒れるかと思いました!」

とか言って抱きついてくる。らぶりーすぎるのだが。

そんな中シスカはと言うと…気絶していた。よほど怖かったのだろうか。

さて、ということで今回の緊急クエストは終了した。

ギルドに戻った俺達はと言うと…それはもうどんちゃん騒ぎだ。今回の緊急クエストで1人あたり約10万ゴールド。俺は特別で50万ゴールド貰った。特別報酬である。で、街の冒険者達は、

「今日は勇者様のおごりだぞォォ!!」

とか

「勇者様ありがとうございまァァす!!」

など、勝手に言い始め飲み食いを始めた。なんて奴らだ。まぁ、尤も彼らがいなければシスカも俺も殺されていたから、いいけどね!このどんちゃん騒ぎは朝まで続き、このまま夢の国へ……と思っていた時代がありました。今夜の飲み会での請求金額…10万ゴールド。くそったれぇぇぇ!!もう寝てやる、不貞寝してやるぅぅ!!そう言って、俺は寝た。おやすみ。

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