第17話 討伐大作戦

「なお、今回のアースドラゴンの発生の原因はわかっておりません。これは特別クエスト。報酬ははずみます。では皆さん、討伐お願いします。」

いや、ここは始まりの街だ。そんなに強い人もいない。勝つ確率はかなり低いだろつ。だが、今は俺がいる。30分の時間さえ稼げば多分俺は十分に戦えるはずだ。30分時間を稼ぐにはみんなの協力が必要だ。

「みんな、聞いてくれ。」

俺はみんなに協力を求めることにした。


ほんとはみんなにはこの事はバラしたくはなかったが、背に腹は変えられない。

「---俺は勇者だ。」

この世界にとって勇者とは救世主。それはこの世界の住民にとって絶対的な存在。その証拠に俺の口から飛び出したこの場に全員が全員顎が取れるのでは?というぐらい口を開けている。

「…しかし、この生まれ持った力があまりにも強大すぎたため、世界に呪いをかけられた。」

みんなは情報量が多すぎて思考が回っていないのか、微動打にしない。

「その呪いとは…戦闘開始からレベルが500低くなる。」

「…おいおい、ちょっと待て。お前が勇者?誰が信じるか!この非常事態に何ふざけたこと言ってんだ!混乱させるなよ!」

「まぁ、怒る気持ちもわかる。最近来た知らないやつがいきなり俺は勇者だとか言ったら信じることはないと思う。だが俺は本物の勇者だ。それを今ここに勇者の殺気をもって証明したいと思う。みんな、歯を食いしばって耐えてくれよ。」

「おい、ちょっと待---」

そんな声は俺の耳に入らず、全身に力を込める。仁王立ちし、拳に力を入れる。そして勢い良く開眼。俺から殺気という名の衝撃波が飛ぶ。棚や机はカタカタ音を鳴らし、既に二人は気絶している。5秒ほどで殺気を放つのをやめた。みんなは肩で息をしており、立つのもやっとのようだ。

「わ、わかった!お前さんが勇者だということはよくわかった!だから、殺気を放つのは金輪際やめてほしい。」

さっきつるんできた人がしんどそうな顔で懇願してくる。これでいいのだ。

「わかってくれたなら、嬉しい。さて、作戦会議といこうじゃないか。」

「わ、わかった。みんな!作戦会議だ!」




作戦会議は10分で終わり、すぐさま門へと向かった。作戦はこうだ。まず、各町が2つずつ常備している魔法強化装置。この装置は一番低ランクの魔法を最高ランクの魔法まで威力を引き上げる装置なんだとか。これは、強化するもののランクを上げれば結果は比例するので最高ランク以上の威力をもった魔法を行使できるということだ。その分とても高価で、日本円にすると1年の国家予算に相当するとか…。それを1つの町に2つ常備させている国はすごいと思う。

話がそれてしまったが、その魔法強化装置を使ってドラゴンの足を使えなくして機動力を奪う。が、おそらく地を這ってでもこの町に向かってくると予想されるので、土魔法の使い手の魔道士が4人でチームを作って巨大な落とし穴を作る。それにはまったあとはネチネチ攻撃して時間を稼ぐ。俺はギルドにある人工魔物製造機によって作り出されたスライムを倒し、封印解除までの時間を少しでも短縮中だ。そんな便利なもの手に入るならほしい…。人工の魔物でも俺が敵と認識すればいいので大丈夫だ。時間が稼ぎ終わったら俺の出番だ。速攻で終わらせてやる。それまではみんなに頑張ってもらいたい。


さて、門についたぞ。リズは既に狼化し、みんなはリズを敵だと勘違いして武器を構えていたが、俺の召喚獣だと説明すると、勇者ならありえるかという事で解決した。便利な言葉だな。仮にもリズはフェンリルで、伝説級の魔獣だ。この反応ですんだことのほうがおどろきだ。適応能力高すぎ!

目を凝らすと遠からこちらに向かってきている1匹の竜がいる。アースドラゴン。作戦が通用すればいいが…きっと大丈夫だろう。

さぁ!町の存亡をかけたデスマッチの始まりだ!




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