僕の夏の思い出

市川雄一郎

第1話 僕の夏

 僕は大阪に住む新聞店の従業員である。仕事の合間を縫っては自分の趣味を楽しんだりウェブ小説を書いたりしているがいつも忙しい日々を過ごしている。


 そして今年も夏を迎えたのである。今年は例年以上に暑く、汗も出るし水やジュースを飲み過ぎてトイレによく行くしヘトヘトである。


 「暑いなあ・・・のどが乾きまくるわ・・・なんやねんこの暑さは!!」


 僕は連日の暑さにイライラしていたが、その反面夏が来ると嬉しいのであった。なぜならば夏になれば色々な昔の思い出に浸ることが出来るからである。暑いのは嫌いだが僕は本心は夏が大好きである。その気持ちにさせてくれるのは僕の昔の思い出達である。



 《職場の事務所》


 夏のある日も職場の事務所で朝の電話当番(※1)を同僚と3人でしながら電話がないので会話が盛り上がったのである。そして一人が笑いながら袋を机の上に置いたのである。


 「朝飯買ってきたで!!」


 「新山さん、ありがとう!!」


 3人分の差し入れを買ってきてくれたのは同僚であり、僕の父親的存在でもある新山にいやまさんである。彼は体重が100キロ前後あり、いつも帽子を被り眼鏡をかけている。新山さんとは9年近く前に彼が別の同業の店で勤務していた時に知り合ったのである。7年前に僕と一緒に働くようになり、仲良くさせてもらっている。この日新山さんは冷やし中華を買ってきてくれたのである。僕には思い出深い一品であるがそれは後に語ろう。3人で食事をしているとパソコンとにらめっこしながら食事をしていたもう一人の同僚が僕に話しかけてきたのである。


 「ちょっとこれを見てくれ!」


 「ん?どないしたん?」


 僕はその人の元へ行くと彼は地図を見せてくれたのである。


 「これ見てくれ!変な名前しているぞ!」


 「どれどれ・・・ほんまや!」


 「やろ!?」


 「どれどれ・・・ほんまやな!!」


 僕とその人が笑っていると新山さんも気になって見に来たのである。そして3人とも爆笑していたのだ。ちなみに『もう一人の同僚(その人)』とは入口いりぐちさんという。彼もまた長い付き合いで4年近く前から一緒に働いている。夏場でもなぜかジャンパーを着ており、身体は細くひげが生えていると更けたように見えるが剃ると若く見える人である。毎日この3人と盛り上がっていたが僕が夏の思い出の話をし始めたのはここ2年前からであった。



 《ある市内》


 そしてある日、僕はあるお客さんの家に新聞を届けていたのである。その場所は僕が幼稚園時代に育った羽曳野はびきののとある地域であった。



(※1・・・新聞店の業務のひとつで事務所にかかってくる電話に対応して新聞の入れ忘れを届けたり、新聞を止めたり入れたりの連絡を配達員に伝える等の仕事をする。)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る