世界の終わりに

星野フレム

夢のきっかけ

彼は当時、ロボットアクションゲームにハマっていた。

そのゲームの影響が強かった彼は、自分の夢もそのロボットになることだった。

彼は学校というものが嫌いだった。勉強というものが嫌いだった。

学べば様々なことが分かるという楽しみを、彼は知らなかった。

そんな彼が学校というものに行く理由はなく、ただただ学校に行かないという理由で、父親から暴力を受けていた。

この時、少年であった彼には恐怖というものしか存在していなかった。


彼を苦しめる大半はほとんどが父親からのものだった。

苦しめることしか自分の息子に教えられない父親に、彼は殺意を抱くようになる。


彼の精神には限界が来ていた。彼は二十代前半を過ぎた頃、精神疾患にかかる。

彼にとって、精神疾患というのは本当に最悪な条件でなる病気なのだという考えがあった。

まさか自分がそんな病気にかかるとは思ってもいなかった。


それから彼は、夢を忘れた。

絶望だけが彼を支配していた。何もできないという支配、自由のない支配。

彼を今まで支えてきた自分の精神さえ、彼にはもう信じることが出来なかった。


苦しみは続き、精神疾患の病状は悪化を辿り、気付けば中年の歳になっていた。

なにもかも忘れ切った彼は、ある日唐突にプレイしたゲームに対して、自分が子供頃に思い描いてた夢を、思い出した。


流れてしまった歳月は、彼の人生を軌道修正をするためのチャンスを与えようとしていた。

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