第23話 手助け
「何を言っているのですか!」
「そんなことどうやってやるんですか!」
イリスは、俺の言葉をすぐに反論した。
だけど…まあ、無理もないか…。
少なくとも俺は冷静だった。
「…火炎瓶って、知ってる?」
「えっ?」
イリスはキョトンと目を丸くした。
「突拍子も無いのはわかっている…。だけど、やらないよりかは…。」
「でも、なんで火炎瓶なんですか?せめて、銃とか魔法とかありますよね?」
「…そうだけど。」
「だったら…。」
「けど、この川を渡るくらいならそれで足りると思うんだ。だから、その…俺に数時間貸してくれ!」
「…直人さん、はい、わかりました。あなたを信じます!」
「そう言ってもらえてうれしいよ。」
「はい、私も手助けすることができますよ。」
「…本当に?」
「はい、戦闘、戦略、戦術、医療系の魔法は使えますから…基本だけですが…。」
「わかった、ありがとう。」
「はい、任せてください。」
「…ですが、その時間で何をするというのですか?もう暗くなりつつありますし、また日が登ってからですか?」
「いや、日が登る前には行けると思う。」
「…わかりました。それよりも…あなた魔法使えるんですか?」
「えっ、いや、使えるかな?」
「じー。」
「えっと…かっ、「「記憶の地図(カルテルプラン)」」!」
そう唱えるとイリスのものと同じく地図が現れた。
しかし、情報量はとても少なかった。
…自分がいままで歩いてきた、見ていた場所のみに地図は書かれていてスクロールしようもならすぐに黒いところにぶつかってしまう。
「…なんですか?これ?初めてこの魔法を使えるようになった子どもより情報量少ないってどういうことですか?」
(…やめて、結構それきついから。)
「…いや、その…俺は本当に、その…ははは…。」
「まあ、いいですよ。あなたに時間をあげます。ですが…。」
「わかった、それじゃあ後ろ向いてくれ?」
「…なぜですか?」
そうして、イリスを後ろに向かせると同時に俺は左腕をなぞり、エルフの村の方に向かって駆けだした。
時間が止まっている間は、誰にも邪魔されることは無い。
ただ地図の通り来た道をまっすぐに戻る。
そう、最初に訪れた町に俺は足を運んだ。
そして、俺はただ歩き続けて町まで戻ってきた。
最初と同じように門を抜け、店を横切り、広場を抜けて、俺は目当ての場所にたどり着いた。
「…大丈夫だよな…これで…。」
ガラスの瓶での中にランプの油を入れて、布で蓋をしただけの何か。
それを、弓矢に括り付けた。
次第に、作るのにも慣れてきてすぐに15本ほど完成した。
「よし、戻ろう…イリスの所へ。」
そして、またこの町から立ち去る。
今度は追ってくる兵士はいなかった。
ただそこに人があるだけで動きもしなかった。
余った瓶は、広場に投げ捨てた。
面白いことに火を付けた火炎瓶は手から離れると燃えることをやめていた。
また、同じ道を通ってイリスのもとへ急ぐ…あとは、そう。
神様のご意向になるのかな。
そんなことを考えながら、ヘルプメニューを初めて開いて彼にメッセージを送ってみた。
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