天邪鬼

青柳魔鬼

第1話

小さな子供が声をあげて泣いている。

「翔太!」

そこへ兄らしき子供が駆け寄った。

「兄ちゃん…、ぐすっ、血が…。」

「ああ、転んで怪我したのか。膝、擦りむいてる。家に帰って、消毒しような。」

兄はにっこり笑うと、翔太は泣きながらこっくりと頷いた。

「よし!翔太、動けるか?おぶってやるから、背中に乗って?」

翔太がゆっくりと兄の背中に乗ると、兄はすぐに立ち上がり、「すぐに着くからな〜。」と安心させるように言った。翔太は必死にしがみついて兄の温もりを感じながら、いつの間にか止まった涙の跡の残る顔を背中にうずめた。

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