第15話 一度目

急遽手術しなければいけなくなった僕。


何故か怖くて、病院から抜け出してしまった。


本当は家にでも帰るつもりだったが、気づけばあの公園へ行っていた。


藍に声をかけるつもりはなかった。


ただ、何をしているのか気になって…


気づけば藍の後ろへいた。


声をかけていた。


多分その気がなくても、そういう運命だったのだろう。


藍の反応は、一度目も、二度目も、笑っちゃうぐらい同じだった。


彼女にあんなにも興味を持つなんて思ってもいなかった。


ただ、誰かと話をしていたかっただけなのに、あまりにも藍が未知な人で、自分では気づいてなかったが、


'永遠に話していたい'


なんて、思っていたのだろう。


藍と話すことは、今までに無いぐらいの幸せだった。


ポーカーフェイスを解いたり、藍の切り取る世界を見たり、僕のお陰で初めて友達ができたと言われた時なんて、たまらなく嬉しかった。


だけど、その幸せは終わりが近かった。


きっと、僕が病気から逃げていたから神様が罰を与えたのだろう。


僕にではなく、僕がもっと苦しむ方法で、藍に…。


僕は


'ありがとう'


すら伝えれていなかったのに。

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