第11話 新たな感情


「この子が藍の初めての友達なんだね」


「そう、って初めてじゃないってば…」


「違うの?」


瑠依に違うのかと聞かれて少し自分で何かが違うと思った。


こんな私にだって友達がいたことぐらいある。だけどそれは…


「違わない。本音で友達です、親友ですって言えるのはこの子、美波が初めて…です。」


「やっぱりね。」


「わ、悪い?」


「全然悪くないよ。寧ろ良いことだよ。良かったね。」


「うん。ありがとう。」


「その'ありがとう'は、僕にじゃなくて美波ちゃんに言わなきゃ。」


確かに、美波にはどんなに伝えても足りないぐらいの感謝の気持ちがある。


だけど、それは瑠依に対しても同じ。


「そうだけど…瑠依にもありがとうって何故か言いたかったの。」


「よく分からないけど、ありがとうと言われるのは嬉しいね。僕もありがとう。」


クスッと笑った瑠依のこの表情に胸がきゅっとなった。


いつも瑠依は笑っているけれど、この不意打ちのような笑顔が私は…


「どうした?もしかして照れた?」


「違うよ。」


「残念。」


この気持ちは何だろう。明日美波に聞いて見なきゃ…

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