やった!「1000」という表示を見て、俺は飛び上がる。

ええと、ええと、どれにしようかな。

炭酸っていうのは絶対で、でも、大きめのペットボトルじゃなくて、缶のやつでも良くって……。


おっ、メロンソーダじゃん。レモンのもある!ウヒョッ、グレープだ!どれにしようかな、どれにしようかな。いっそのこと、全部にしちゃおうか。千円だったら足りるぞう。いや、いやいや。


そうだよ。あんな少女とは言え、知らない人からお金を受け取っちゃダメだろう。

あの子、悪い人には見えなかったけど、人って外見で判断できないらしいからなぁ。


払い戻しのレバーを引くと、シワシワの千円札がそのまま出てきた。ちぇっ、ピカピカのに変わってれば良かったのに。

それを見ると、今更ながらに惜しい気がしてきて、またそれをお札挿入口に突っ込む。


うぃぃーーん

「1000」


自販機もやっと慣れてくれたらしく、すぐに読み込んだ。ようやく異物じゃないって認識したのかぁ。良かった良かった。


それから俺はとうとう、禁断の行為に取り掛かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る