あ
あかりがポツポツとつき始め、そう、それはどうやら街全体が蠢いているようなのでした。
チミィはそれを見て、怖いやら感動するやらで、胸の内をいっぱいにして、それを見守っていました。
やがて、全ての街灯という街灯が点いた時、それはもう煌びやかに光を溢れさせているのです。
「ねえ、ジャック、あっちに降りてみない?」
チミィは一応聞いてみましたが、答えは概ね予想通りのもので、
「ダメダメ、何しろ僕らはお金を持ってないんだからな。あんな街に行ったってどうにかなるもんか。それより、野草をちぎって食べていた方がいいに決まってるや。」と言うのです。
チミィはそれでもぼんやり街を見つめたままでした。
自分たちの住んでいた田舎とは大違いです。
この二人は、昨日一緒に森で遊んでいる途中に、人攫いに連れていかれたのでした。
長い間列車の荷物入れで大きく揺らされ続けて、生きた心地がしませんでしたが、ジャックがその自分たちが閉じ込められている木箱にポツリとした小さな穴ができていて、それはどうやら腐っているのが原因らしいと突き止めたことで、脱出できたのでした。
木箱はずっと古い物らしく、その脆い部分は何度も叩くとバラバラ崩れたのです。
それから、二人は列車が駅で止まるのをずっと待ち続けて、すぐに飛び出しました。
ところが、運の悪いことに、人攫い達もその駅で降りてきてしまったのです。
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