第18話 テレビ

「ハンバーグ…にしては色薄いな」

「豆腐ハンバーグだからな。ちょっとヘルシーだ」

他にも白米、味噌汁、サラダがあった。十分すぎるくらいだ。

拓也が冷蔵庫からポン酢とドレッシングを持ってくる。

「いただきます」

拓也がサラダを取り分けているうちに遥が先に食べ始めた。誰かのいただきますを家で聞くのは久しぶりだった。

無意識のうちに、遥がご飯を食べているのをしばらく眺めていた。少し可愛いとも思ってしまった。

気付くと遥はもう食べ終わっていた。少し冷め始めたご飯が拓也の前に並んでいた。

「お前さっきからうちのこと見てるけど。なんかあんのか」

「…いや、なんでもない」

冷めたご飯を食べるのも久しぶりだった。

拓也が夕飯を食べている間に、遥は自分の食器を洗っていた。遥の難点は「言葉遣い」と「気の強さ」だろう。それさえなければ、きっと彼女は天使になれるのに。拓也はそんなことを考えながらご飯を食べていた。

拓也が食べ終わる頃には、遥は床に寝転がってテレビを見ていた。拓也のいつもの居場所は既に占拠されてしまっていた。

「そこ退いて欲しいんですが…」

一応先着は遥であるため、身を低くして頼む。

「一緒に見る?」

「いや、一緒に見るのはいいんだけど、もうちょい詰めていただければと」

遥が口を尖らせる。確かに無理な頼みであったかもしれない。拓也が諦めて椅子に腰を掛けようとした時、遥が拓也の腕を引っ張った。

あまりにも急で、そのまま床に倒れた。かなり大胆な倒れ方だったと思う。

そして倒れた拓也に遥が迫った。


「一緒に見よ」


そう言われた時、何か不思議な感覚が拓也を襲った。

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