第10話 カルチャーショック

同居にはルールが必要だろう。2人は同居をする上でのルールを作った。


・家事はしっかりと分担

・家を出るときは時差をつけて出る

・帰りは一緒に帰らない

・親が乗り込んできた場合は最後まで「友人」と言い張ること

・誰にも同居のことをバラさないこと


なんだか同棲し始めたカップルみたいだが、ここは「遥の任務」であることを履き違えてはいけない。さっさと任務を全うして帰っていただく。

おそらくルールは今後も追加されていくと思われたが、しばらくはこのルールを徹底することになった。拓也が紙に書いて壁に貼る。

「お前あんなに荷物あるけど、中身は何だ。服とか?」

「服は制服しかないよ。中身は布団とか、教科書とか、生活用品」

「お前ずっと制服でいる気か」

「そうなっちゃうなー」

拓也が深くため息をつく。これはまず色々と取り揃えるところから始めなくてはならないようだ。この年にして親の大変さを知る。

しかし、色々と取り揃えるにしても部屋の広さには限界がある。金銭的な問題だってある。

部屋は「この部屋しか空いていない」ということで、1LDKの2人で住めないことはない部屋になってはいるが、拓也のものが散乱しているため、そこも一度片付けなくてはならない。


拓也の部屋には、課題と荷物が山積みとなっていた。


「あと、うちの学校は髪染め禁止だから。その後ろの髪、本当は黒に染めなきゃいけないけど」

「これ?堕天使の印で染まらないから無理」

染まらない…これぞ人間界とのカルチャーショック。こんなカルチャーショックを経験しているのはおそらくで拓也1人であろう。

2人は同居にあたって、今後のスケジュールを立て始めた。


しかし、まだまだ様々なカルチャーショックが待ち受けていることを、拓也はまだ知らなかった。

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