かっこつけるのも一苦労

台風が近くまで来ており、雨がザーザー降っているある日のことです。

車で走っていると、歩道を一人の女子高生がずぶぬれになって歩いているのが目に入って来た。

「あ~あ、気の毒に。傘もないのかな」と車を寄せてみると、ちゃんと手に傘を持っているではありませんか。

 ははぁ、強風のために傘が使えないんだな。「カッパ着たらいいのに」とつぶやくと同乗していた女子社員がきっぱりと言うんです。

「若い人はね、絶対カッパ着ないんですっ。それぐらいなら濡れる方を選ぶんです。私も学 生時代はそうでした。」

 カッパ着るってそんなにかっこ悪いのか? しかしそれは理屈じゃないらしい。 カッパやゴム長靴を着用している者は「ださい」と見なされるのだそうだ。

 うーむ、しかし女の子が頭からずぶぬれになってまで・・・かっこつけるのも大変だなぁ。やせ我慢しちゃって・・・とここでふと疑問が湧いた。

なんで我慢の前に「痩せ」をつけるのだろう? 

調べてみると、「痩せても枯れても(落ちぶれても)・・・せっしゃ武士でござる」といった使い方から来ているらしい。

 「やせ我慢の薦め」という考え方もあるらしい。人は何かひとつや二つは、「自分はこういうことは絶対しない」という自制心があってしかるべきだというのだ。

 単なる我慢なら動物だってする。 エサがなければ空腹を我慢し、寒い時には寒さをじっと耐えている。けれども「やせ我慢」をするのは人間だけ。

 ただ楽な道を選ぶのでなく、やせ我慢をすることによって男を、そして女も磨くことが出来るというのだ。

 うーむ、そうか、ずぶ濡れになって歩くのも青春のうちなんだろうな。

頑張れ、ずぶ濡れ女子高生! でも風邪だけは引かんように。


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