第3話
「応仁の乱が起こったのは?」
「むかーし、むかし。」
「は?いい加減にしろよ。杏。覚える気あんの?」
私は少し怖くなったので、真面目に机に向かった。
「はい。ごめんなさい。笹原先生。ちゃんとします。…あっ!もう、こんな時間。帰らなきゃ。私、今日は自転車だったんだ!今日はありがとう。また、今度続きお願いします!」
私は急いで教材を片付け始めた。すると、後ろから手を取られ、
「こんな時間だと、危ないよ?」
笹原くんが珍しく心配そうな目で私を見てきた。
「大丈夫だよ。私そんな可愛くないし。可愛い子が襲われるの!」
私はいつも通り冗談を言って、塾を後にした。
駐輪場に着くと、鍵がないことに気づいた。そういえば、お母さんに荷物持って帰ってもらった時に鍵をカバンに入れっぱなしだった。仕方なく歩いて帰ることにした。5分ほど歩くと、信号にひっかかった。小さい信号機だし、と思い赤信号の横断歩道を渡り出したその時だった。
「おい、信号無視するなよ。あぶねーぞ。」
書き慣れた声が後ろから聞こえてきた。
「なんで?どうしたの?」
「俺もそろそろ帰ろうと思ってたんだよ。帰るなら、1人より2人の方がいいだろ。」
私は、小さな声でありがとうと言うと、笹原くんは私から目をそらして頷いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます