死にたい十代に向けた、死にたかった十代の頃の話。

@seizansou

全文

 僭越ではありますが、小学頃から中学頃の私について、少し書いてみようかと思います。目的としては、こういうことを考えながら生きていた人間もいたということをご紹介したい、ということろにあります。

 最初に断りを入れさせて頂きますが、あくまで、「今の私」が「中学の頃の私」について書いている、という点を考慮しておいて頂きたいということです。「今の私」と括弧書きにしたのは、今時点の私もまだまだ浅はかで、考えの足りない部分もありますから、表現や分析が適切でない可能性が非常に高いと思っていることに依拠します。目を通していただく際には、その点ご留意いただければ幸いです。


 およそ私は記憶にある限り――別の表現でいえばいわゆる物心ついたときから――いじめにあっていたように思います。とはいえ、幼い頃は「いじめ」という言葉も概念も知りませんでしたから、周りにいる同年代の人間の、私に対する態度はそれが普通なのだと疑いもしませんでした。たしか、なにかの絵本か、道徳のような授業だったかで、「世間でいう友達像」を知り、今の自分の周りにいる同世代の人間の態度とのギャップを認識して、少なからずショックを受けた記憶があります。ですが、周囲の大人は「友達と遊びなさい」という指示をします。逆らうという概念を知らなかった私は、楽しさは一切ありませんでしたが、いつも誰かと一緒に居ました。

 小学生低学年の頃でしょうか、あまり交友のない人から聞かれたことがあります。「××といつも一緒に居るけど親友なの?」私はその問いに対して、何も答えることができませんでした。そしてその彼は続けてこうも言っていました「向こうはお前のこと親友って言ってるけど」この言葉で、私は本当に他人というものがわからなくなりました。

 ある時、気づくことがありました。一対一でいるときと、二人以上でいるときで、相手の態度が異なっていることに。複数人でいるときは、彼らは私にとって辛い態度をとっていました。ですが、私と一対一になると、その態度は和らぎ、複数人でいるときとは別人のような態度をとってきました。もちろん、一対一のときの態度のほうが、複数人でいるときよりもずっとましな対応をしてくれていました。そこである日、私は一対一になったときに、相手に聞いてみました。「なんで皆でいるときと対応が違うの?」と。相手は黙り込んでしまい、答えをもらえることはできませんでしたが。そのとき、何か考えがあったわけではありませんが、集団への恐怖というのが私の中に芽生えたように思います。

 こういう書き方をしてしまうと、私ばかりが被害者であるかのような印象を与えてしまうようにも思えます。ですので、私がいじめに加担していたことも書いておきたいと思います。

 小学生の中学年頃でしょうか、私は変わらず集団のなかにいました。「友達と遊びなさい」という言いつけを必死に守っていました。私は集団の中にあって、必死に溶け込もうと、必死に周囲の人間がすることを真似しておりました。ある時、その中の一人が唐突に泣き出し、私に対して殴りかかってきました。私は最初、何ごとかとひどく驚きました。しかし、殴られるまま彼の叫びを聞いているうちに、なんとなく理解しました。彼は、集団の中で悪い扱いをされていたのだと。そして私は、私が真似をしていたことが、実は彼をいじめる内容だったということに思い至りました。その後、クラスメイトの誰かが先生を呼び、先生が駆けつけるまで、私は延々と殴られるままでおりました。たしか、あとで帰りの会だったかで、先生がやり返さなかった私を褒めていました。ですが、私はいじめに対しての報復、罰を受けていただけです。そこに悪意がなかったとしても、殴ってきた彼を、普段は温厚で、殴ることなど一切するようなことのない彼を、殴らざるを得ない状況まで追いやった人間が、褒められるいわれはありません。先生が褒める言葉を連ねるたび、その先生の言葉が私を暗に責めているようで、罪悪感ばかりがつのった記憶があります。

 いくらか重複した内容の記載になりますが、これを美談として記載したいという意志は一切ありません。記載した意図は、「いじめている側は、いじめているという事実に無自覚である」ということを知った、という経験を伝えたかったというのが一つ。そして、私も常に被害者であったわけではなく、無自覚な加害者であったということがもう一つです。まあ、「自覚的な加害者」というのは、比較的鬱屈した精神状態ではありましょうが、「無自覚な加害者」というのはおそらく、私を含め、世の中には沢山いるのだ、そういう認識をもった経験をご紹介させていただいた次第です。


 たしか小学校高学年の頃でしょうか、クラス替えで、それまでずっと同じクラスだった、私が所属していると思っていた集団のメンバーがバラバラになりました。同じクラスにその集団のメンバーはいませんでした。私は同じ学年の人間でも、その集団以外の人間を覚えていませんでした。そのため、まずは孤立しました。周りを見わたせば、クラスメイト達が複数の集団を形成しています。ですが、私は彼らを知りません。そのため、それらの集団に入っていくことはできませんでした。はじめはひどく焦りました。「友達と遊びなさい」という指示を達成できないことに対して、強い罪悪感を感じていました。しかし孤立した日々は着々と進んでいきます。いつしか私は、「孤立していてもとくに責められるような事はないのでは?」ということに気づきました。気づいた瞬間、というものがあったわけではありません。日々すこしずつそういう気持が芽生えていったような感覚だったかと思います。いつしか私は、一人でいることが平気になっていました。それは今までの生活と比較して、とても平穏な日々だったように思い出されます。

 ここで少し思い出した経験がありました。話の流れが前後しますが、集団に属していたときに言われたことを思い出しました。「お前って、いるかいないかわかんないよな」「存在感ないよな」おおよそそういった内容のことを言われました。当時はそういうものかとヘラヘラと笑って応えていました。後になって、中学頃にそれを思い出し、集団の中にあっては会話は必要なものである、ということを認識するに至った出来事でした。逆に言えば、それに気づくまで、「会話をする必要がある」ということを認識していませんでした。私にとって言葉とは、「他人に命令・指示・依頼などをするもの」「聞かれた質問に対して答えるためのもの」「情報(というと堅苦しいですが、わからないこと等と言ったニュアンスです)を得るためのもの」という認識でしかなく、「会話を楽しむ」という概念はもっておりませんでした。


 話は小学校高学年の頃にもどりますが、そうやってずっと孤立し続け、中学に入学しても変わらずに孤立しておりました。もちろん登下校もずっと一人でしたし、それを苦とも思っておりませんでした。むしろ今までに比べればずっと楽だと感じていました。

 そうやって、沢山の人間が学校に登校していたある朝、中学一年の頃だったかと思いますが、私の人生の中でおそらく十指に入るであろう非常に衝撃的なことがありました。それは、「自分は頭の中で言葉で考える事ができる」という事の気付きです。今でも、それに気づいたときに歩いていた場所や景色、周りの人数もおおよそですが覚えています。それほどに衝撃的でした。

 初めは上手く言葉を扱えませんでした。単語を思い浮かべたり、極々簡単な文章を思い浮かべる程度でした。ですが私はそれに熱中し、次第に頭の中で会話のようなものができるまでに至りました。それによって初めて、「自分自身に対する問いかけ」ができる様になりました。つまり、自分自身を取り巻く現状や、自分自身の行動、これまでの思い出などに対して、「考察する」ということができる様になりました。これによって初めて、「もしかしたら自分は今までいじめにあっていたのかもしれない」ということを考えるようになりました。そして連鎖的に、「そういえば周りの人達は、一緒にいるとき楽しそうにしていた」「周りの人達は私をいじめるときいつも笑顔だった」「私は、いじめに対してつらいと感じていた」などといったことを考えるようになりました。当時は中学生、つまりは思春期であり、精神的な不安定さもあったのでしょう、およそ考える事はネガティブなことばかりでした。当時の私は(今も大して変わらないかもしれませんが)かなり卑屈な人間だったかと思います。

 あまりこういったことを書くべきではないのかもしれませんが、一ヶ月に数回程度、私は彫刻刀や小刀を手首に当てていました。ですが、それを引いて、手首を切ることはついぞ一度もできませんでした。明確に理由を認識出来ていたわけではありませんが、おそらくは、悔しさ・恨み・不安などが理由だったのかもしれません。

 悔しさとは、例えば、学校で見るクラスメイト達が楽しく笑い合っている姿。しかし彼らがなぜ楽しそうにしているかの理由もわからないし、それに混ざりたいとも思わない。だけれど、少なくとも彼らの様子から辛さや苦しさを感じ取ることができない。私はこれまで彼らのように楽しそうに生きてこれたとは思えない。彼らは楽しい人生を謳歌し、私は辛い苦しいと嘆きながら、今この場で死ぬ。それがとても悔しく感じられたのを覚えています。

 また、今まで自覚出来ていなかったけれども、小さい頃から自分をいじめていた人間。私は辛い苦しいと思いながら死ぬのに、彼らはのうのうと生き続ける。きっと彼らもクラスメイト達と同じように楽しく生きていくことだろう。恨めしい。この恨みを晴らさずに死ぬことができるのか。そうやって自問していた記憶もあります。

 他の理由は、ある種希望のようなものです。私はずっとずっと苦しかった。辛かった。これだけ辛くて苦しい思いをしたんだから、もしかしたら、将来、それを補うだけの幸せがあるのかもしれない。今までが辛く苦しかったのだから、この先もずっと辛くて苦しい可能性もある。だけれど、幸せになる可能性だってある。その可能性を自分で消し去ってしまって良いのだろうか。そういう迷いもありました。

 なお、これはあくまで私の理由だったものです。人が死ぬ理由、死ねない理由、生きたいと思う理由は、人それぞれだと思います。

 ちなみに、今私が死なない理由は、ひとつには、いままで苦しい思いをさせられてきた人間達の社会に功績という形で仕返しをしてやりたいという気持がひとつ(なお、こちらは最近ではあまり感じることが無くなっています)。もうひとつが、ただ素直に、もうちょっと生きてみようか、という気持が湧いているというところです。確かに苦しいことがおおいと自分では感じられる人生です。ですが、そのなかにあって、心の底から感動するお話や知識、ものの見方、捉え方、音楽などに出合った経験もありました。それが大きいのではないかとも思います。それらに出合った瞬間、自分はこれに出合うために生き抜いてきたのではないか、と思えるほどつよくこころが動かされたのです。そのこころはなにでできていたかというと、これまで何度も捨てようと思った人生の経験によって練り上げられていたのだろうと思います。もし違う人生を経ていたならば、それらの出会いに動かされないこころができあがっていたかも知れない、そう思うと、涙を流しそうになるほど(流したこともありますが……)感動する出会いができるようになった、このこころを作り上げた人生というのも、まあ、そこまで捨てたものではないかな、とも思える次第です。


 ともあれ、中学時代にそうやって日々を過ごしているとき、ある本に出合いました。おそらく、私の人生観に一番影響を与えている本だと思います。それほどの本であるにもかかわらず、タイトルを覚えておりません。というのも、影響を受けたのはその本が主に読者に伝えたい部分ではなく、その本の付録として、本の最後の部分数ページに記載されていた内容に強く影響を受けたからです。その本の内容は、「正しい文章の書き方」とか、おおよそそういった内容だったように思います。手紙や弔文、結婚式の挨拶や電報など、様々な状況における注意点を網羅的に記載した内容だったかと思います。これは父の本棚にありました。たしか、国語の授業か何かで、調べ物をしようとしたときに見つけた本だったかと思います。内容は中学生にはあまり興味をそそられるような書き方はされておりませんでした。ですので私は、手に取ったものの、ほとんど紙面の上で目を滑らせているだけのような状態でした。そうやってパラパラとめくっていると、本の最後の部分に付録として、「名言集」が記載されていました。この名言集こそが、おそらくは今の私の人生観の根幹になっているのではないかと思います。

 いくつか、その名言集から言葉を引用します。


○人生はそれを感ずる人間にとっては悲劇であり、考える人間にとっては喜劇である。

ラ=ブリュイエール(フランスのモラリスト)

○人生における大きな喜びは、君にはできないと世間がいうことをやることである。

ウォルター=パジョット(イギリスの経済学者)

○涙とともにパンを食べた者でなければ人生の味はわからない。

ゲーテ(ドイツの詩人)

○葉巻のような一生がある。すい始めだけがうまい。

アンドレ=プレボ(フランスの評論家)

○最高の処世術は、妥協することなしに適応することである。

ゲオルグ=ジンメル(ドイツの哲学者)

○不幸に堪え得ないほど大きな不幸はない。

イギリスの諺

○経験は最良の教師である。ただし授業料が高すぎる。

カーライル(イギリスの思想家)

○濡れた者は水を恐れず。

イギリスの諺

○知はいつも情に一杯食わされる。

ラ=ロシュフコー(フランスの政治家)

○学問のある馬鹿は無知な馬鹿よりももっと馬鹿だ。

モリエール(フランスの作家)

○無知を恐れるなかれ、偽りの知識を恐れよ。

パスカル(フランスの思想家)

○最後に笑うものが最もよく笑う。

西洋の諺

○絶望とは愚者の結論である。

ディズレリ(イギリスの政治家・文人)

○欲するものがすべて手に入りつつある時は警戒せよ。肥えてゆく豚は幸運なのではない。

チャンドラ=ハリス(アメリカの著述家)

○真の勇気は第三者の目撃者のいない場合に示される。

ラ=ロシュフコー(フランスの政治家)

○忍耐は運命を左右す。

フランスの諺

○苦しむには、死ぬよりももっと勇気がいる。

ナポレオン(フランスの皇帝)

○ひっきょう努力しない天才よりも、努力する鈍才のほうがよけいに仕事をするだろう。

ジョン=アベブリー(イギリスの著述家)

○正直と勤勉とを汝の不断の伴侶にせよ。

フランクリン(アメリカの政治家)

○実るほど頭を垂るる稲穂かな

川柳

○天才、そんなものは決してない。ただ勉強です。方法です。不断に計画しているということです。

ロダン(フランスの彫刻家)

○金を貸せば友と金とを共に失う。

西洋の諺

○敵をつくりたいと思ったら、金を貸してたびたび催促するがよい。

西洋の諺

○節約は大なる収入なり。

キケロ(ローマの弁論家)

○己の欲せざる所は人に施すなかれ。

『論語』

○会話の第一の要素は真実、第二は見識、第三は快適、第四は頓知。

ウィリアム=テンプル(イギリスの政治家)

○沈黙は金、雄弁は銀。

西洋の諺

○ひとつの虚言を吐いた人は、これを維持するために、さらに二十の虚言を案出せざるを得ない。

ジェファーソン(アメリカの政治家)

○失言の言いわけをするとその失策を目立たせる。

シェークスピア(イギリスの劇作家)

○幸福な家庭はすべてお互いによく似かよっている。しかし不幸な家庭はそれぞれの仕方で不幸である。

トルストイ(ロシアの作家)

○家庭よ、閉ざされた家庭よ、私は汝を憎む。

アンドレ=ジイド(フランスの作家)

○汝は生きるために食うべきで、食うために生きるべきではない。

キケロ(ローマの弁論家)

○鼻風邪は思想なんかよりずっと多くの苦痛を与える。

ルナール(フランスの作家)

○趣味をもたなければ天才も高等な馬鹿にすぎない。

フランスの諺

○娯楽と睡眠はよく似ている。その適度な摂取は、精神を慰安し肉体の力を回復する。けれどもその無制限な継続は死に最もよく似た状態に人をおとしいれる。

フランクリン(アメリカの政治家)

○遊びも度重なれば楽しみならず。珍膳も毎日食えば甘からず。

楠木正成(南北朝時代の武将)

○新刊書が非常に不都合なのは我々が古い書物を読むのを妨害するからである。

ジュベール(フランスのモラリスト)

○冬来たりなば春遠からじ。

シェリー(イギリスの詩人)

○よい言葉の一言は悪い本の一冊に勝る。

ルナール(フランスの作家)

○世の中には沢山のいい格言がある。人がそれらを適用することに欠けているだけだ。

パスカル(フランスの思想家)


 だいぶ長くなってしまいました。当時特に影響を受けたものを抜粋したつもりでしたが、かなり多かったようです。

 当時は何度もこの名言集を読み返し、「自分はどうあるべきか」をずっと、本当にずっと考えていました。そうして最終的には、「自分では死ねない自分は、ならばよりらくに生きていくための技術を身につけなければならない」という結論に至りました。最初からのこの結論に至ったわけではありませんし、この考えを思いついても本当に正しいのかどうかを何度も考え直しました。ですが、当時の私はいくら考えても結局この結論に至りました。

 その結論に納得せざるを得ないことを認めた私は、それからというもの、いかにして人間の集団のなかでらくに生きていくかを、とにかく試行錯誤しました。人との付き合い方について書いてある本を古本屋で読みあさったり、バラエティ番組や漫才、落語などを見て、笑う練習をしたり、どういうものの言い方をすれば人が笑ったりするかを観察し、練習しました。

 余談になりますが、その過程でほかの名言集を読んでみたりもしましたが、正直に言えば不愉快な気分になるだけでした。というのも、どの名言集も、結局はその名言をまとめた人がいいたいことを「名言」という道具を使って表現しているだけでした。ですから、選ばれている名言も、その名言集を作った人によって偏っていました。

 ではなぜ私が最初に名言集に対して強く影響を受けたのか。おそらくこれは、作者としてはあくまで付録としてまとめたものだからだったのではないかと類推しています。「正しい文章の書き方」を解説すると共に、文章に添えやすい名言を、主義主張にとらわれず、色々なケースで使い分けられるように網羅的にまとめてあったのだと思います。そのため、名言同士で矛盾した内容を主張していることが多々あります。おそらくは、この矛盾さが、私が強く感銘したのだと思います。「後生にまで残る名言同士ですら矛盾している。であるなら、凡庸な自分たちの行動が矛盾しているというのは当然のことなのだ」当時、それまでの人生を振り返って、矛盾だらけで悩んでいた私にとって、この名言集の矛盾さや主義主張のちぐはぐさが、まさに人間を言い表しているようで、非常に好意的に感じられました。

 これを踏まえると、ここに取り上げた名言も、読む人によっては私が感じたような不愉快さを感じるのかもしれません。ここに取り上げたのはあくまで私に影響があった名言ですから、私以外の人が強く影響を受ける名言はまた違ったものになるでしょう。


 話が前後しますが、少なくとも私が中学の頃は、家庭は心の安まる場所ではありませんでした。父親とは口を交わしたことはなく、母親とは顔を合わせれば口論。五つ上の姉とも会話はなく、隣部屋だったため、何か物音を立てれば無言で壁を叩かれ「うるさい」という意思表示をされました。二つ下の妹は近くに居るだけでイライラし、何か言葉を交わせば必ず口論になり、ときには殴り合いにもなりました。妹と同じ空気を吸っていることすら不愉快で、物騒な話ではありますが、私が生まれて初めて殺してやりたいと思った人間は妹でした。

 中学の頃はこの状態は変わりませんでした。おそらくこれが変わったのは、私が高専の頃に極真空手を初めてからかも知れません。はじめた理由は、おそらくは周りの人間に対する恐怖心や、いじめられたくないという気持からだったかと思います。極真空手では、実際に人を殴ります。全力で、壊すために殴ります。最初は心理的に強い抵抗感がありました。しかし練習を進めるうち、その抵抗感も薄らいでいきましたが、むしろ殴ることが意外と疲れることがわかってきました。たとえば三十秒殴るだけでも、恐ろしく体力を消費します。なぜかというと、殴り続けるというのは全力疾走をすることと同じ事だからです。鍛えていない人間が三十秒も全力疾走すれば、倒れ込むほどに息が切れる、というのがこの表現で伝わるでしょうか。最初は三十秒でしたが、練習を重ねるにつれ、次第に一分、二分、三分と長くなっていきます。だんだん体力もついて殴り続けられるようになってきます。ふとこのとき、自身の精神状態に気を向けてみると、他者に対する攻撃性がもう絞りきられてしまっていたのです。攻撃性を全力で絞り出して長時間殴り続ける、これを定期的に繰り返していたところ、そのうち日常生活に回せるほどの攻撃性がなくなっていました。つまり、日常生活で怒ったり、憎んだりといった攻撃的な感情を抱きにくくなっていたのです。そのため、家族が怒鳴りかけてきても、それに呼応して怒鳴り返すことなく、平気な顔で受け流せるようになってきました。そういう私の態度の変化があったせいか、次第に家族からとげとげとしたやりとりが減っていったように思います。まあ、単なる私の思い込みなのかもしれませんが、そう感じた、という記憶があったことだけは記しておきたいと思います。


 その後も色々とありつつ、現在に至ります。ちなみに、今の私のお勧めの本は、「菜根譚さいこんたん」です。世の中をどう生きていったらいいのか、ということを書いてある古い本です。この本がいかにすごいかを伝える際に、ほぼ必ず言われるのが、江戸や昭和の偉人達の座右の書であったということの紹介です。特に昭和の人達の方が身近なので、よく彼らの名前が挙げられます。具体的には以下の人達です。

(引用元:http://10mtv.jp/pc/column/article.php?column_article_id=509 ほか)


・田中角栄:極貧から這い上がり政界に進出、「コンピューター付きブルドーザー」「今太閤」との異名を取り、「日本列島改造論」で高度成長期の日本をリードした内閣総理大臣。

・五島慶太:東京急行電鉄(東急)を創業し、運輸通産大臣を務めた。

・吉川英治:『宮本武蔵』『新・平家物語』などの大衆小説で人気を博した昭和の大小説家。

・川上哲治:現役時代は「打撃の神様」と呼ばれ、監督になっては読売ジャイアンツを前人未到のV9(日本シリーズ9連覇)に導いた“ドン”。


 ほかにも、松下幸之助、野村克也などの人達の座右の書でもあったようです。人によっては、世界最高の処世の本であると言っている人もいるほどです。

 とはいえ、多少年寄り臭い内容かも知れませんから、無理に読む必要は無いかもしれません。


以下に、付録として記載されていた名言を列挙します。


【友情】

○だれの友にもなろうとする人は、だれの友でもない。

プフェッフェル(ドイツの作家)

○誠実でない友を持つくらいなら、むしろ敵を持つがよい。

シェークスピア(イギリスの劇作家)

○友情は、愛せられるよりは愛することにある。

アリストテレス(ギリシャの哲学者)

○人生に、友情より気高い快楽はない。

サミュエル=ジョンソン(イギリスの文学者)

○その人を知らざればその友を視よ。

『史記』『筍子』『家語』

○富める友の家には招かれた時に行き、貧しき友の家には招かれなくても行け。

ポルトガルの諺

○窮乏の友に友たるは、友の最も大なるものである。

ブルターク(ギリシャの著述家)

○艱難に会って初めて真の友を知る。

キケロ(ローマの弁論家)

○人生より友情を除かば、世界より太陽を除くにひとし。

キケロ

○友はわが喜びを倍にし、悲しみを半ばにす。

キケロ

○友と交わるには、すべからく三分の侠気を帯ぶべし。

『菜根譚』

○何も借りられない友は、切れない小刀と同じだ。

ロシアの諺

○友情は翼のない恋である。

パイロン(イギリスの詩人)

○友情――いっしょに寝られないふたりの結婚である。

ルナール(フランスの作家)

○友情は瞬間が咲かせる花であり、そして時間が実らせる果実である。

コッツェブー(ドイツの劇作家)

○友達を疑ってかかるのは、あとで彼からだまされるよりも恥ずかしいことだ。

ラ=ロシュフコー(フランスの政治家)

○順境は友をつくり逆境は友を試みる。

イギリスの諺

○貧賤の交わりは忘るべからず。

『後漢書』

○友と葡萄酒は古きほど良し。

イギリスの諺

○友を得る唯一の方法は、自ら人の友となるにある。

エマーソン(アメリカの詩人)


【男と女】

○女性の運命は、その愛される量のいかんによる。

ジョージ=エリオット(イギリスの女流作家)

○世に最も輝きて最ももろきもの二つあり。一つは女の顔、一つは陶器。

スウィフト(イギリスの風刺作家)

○女はひじょうに完成した悪魔である。

ユーゴー(フランスの作家)

○女とは何であるか――ただ自然の美しい仕損じのひとつにすぎない。

ハナ=カウリー(イギリスの劇作家)

○二人の女を和合させるよりもむしろ全ヨーロッパを和合させる方が容易であろう。

ルイ十四世(フランス王)

○弱きものよ、汝の名は女なり。

シェークスピア(イギリスの劇作家)

○鏡の前で奇妙な面をしない美人なんてあるもんじゃない。

シェークスピア

○もの言わぬ宝石の方が、生きた人間の言葉よりも、とかく女の心を動かすものだ。

シェークスピア

○女はただ女であるが、よき葉巻は煙になる。

キップリング(イギリスの作家)

○どんな高慢な女でも、男たちが自分の眼にひきつけられるのを心中ひそかに嬉しがらないような女はいない。

モリエール(フランスの作家)

○女ごころはどんなに悲しみで一杯になっていても、お世辞や恋を容れる片隅がどこかに残っていないことは決してない。

マリボー(フランスの作家)

○人は女に生まれない。女になるのだ。

ボーボワール(フランスの女流文学者)

○女が貞節なのは必ずしも貞節だからではない。

ラ=ロシュフコー(フランスの政治家)

○ほとんどあらゆる女性の才知は、理性よりも狂気を強くすることに役立つ。

ラ=ロシュフコー

○およそ偉大な事の起源にはだれか女がいる。

ラマルチーヌ(フランスの詩人)

○三つのものが強く女を動かす。利害と快楽と虚栄心とである。

ディドロ(フランスの哲学者)

○どんな貞節な女でも何かしら決して貞節でないものを自分のうちに持っている。

ディドロ

○ひとりでいるとき女たちがどんなふうにしてときを過ごしているものか、もしそれを男たちが知ったとしたら、男たちは決して結婚なんかしないだろう。

オー=ヘンリー(アメリカの作家)

○女は常に躊躇し変化するものなり。

ベルギリウス(ローマの詩人)

○男というものは単に女の友であることは決してない。他に愛する女を持っていない限りは。

ド=リウ夫人(フランスのアンリー三世の寵妃)

○四十歳から五十歳まで、男は心底において禁欲主義者か好色家である。

アーサー=ピネロ(イギリスの劇作家)

○男の愛は生活の一部であるが、女の愛はその全部である。

バイロン(フランスの詩人)

○どんな愚かな女でも賢明な男をあやつることができる。しかし、馬鹿な男をあやつるためには非常に賢明な女が必要である。

キップリング(イギリスの作家)

○男は天下を動かし女はその男を動かす。

イギリスの諺


【恋愛】

○恋して恋を失ったのは、全く愛さなかったよりもましである。

テニスン(イギリスの詩人)

○期待なしに恋する者だけが、まことの恋を知る。

シラー(ドイツの詩人)

○女にとって恋愛は生涯の歴史である。男にとっては単なる挿話にすぎない。

スタール夫人(フランスの作家)

○恋をしている人の耳は、どんな低い物音でも聞きわける。

シェークスピア(イギリスの劇作家)

○むくいられぬ恋は、霜にうたれてしおれた樹木に似ている。

ローペ=デ=ペガ(スペインの劇作家)

○恋愛の株式市場には安定株はない。

アンドレ=プレボ(フランスの評論家)

○恋愛は一時の戯れではない。人生の楽しい道草でもない。感情や気分からやるべきではない。女性にとって大切な生活の設計でなければならない。男性が一生の専門なり職業なりを選ぶくらい真剣に相手を選ぶべきである。生活本位以外の恋愛などやってはならない。

菊池寛(作家)

○恋愛には四つの異なった型がある。情熱恋愛、趣味恋愛、肉体恋愛、虚栄恋愛。

スタンダール(フランスの作家)

○情熱的に恋をしたことのない男には人生の半分、それも最も美しい半分が隠されている。

スタンダール

○恋愛とは、人間が地上で味わうことのできる最大の喜びを人間に得させる狂気の沙汰である。

スタンダール

○恋の最初のため息こそ知恵の終わり。

アントワーヌ=ブレ(フランスの詩人)

○恋を知るまでは女子もまだ女子ならず、男子もまだ男子ならず。されば恋は男女ともに円熟のために相互に必要なるものなり。

スマイルズ(イギリスの著述家)

○恋愛は結婚よりも楽しい。小説が歴史よりおもしろいのと同じである。

カーライル(イギリスの思想家)

○男は恋を恋することに始まって女を恋することに終わる。女は男を恋することによって始まり恋を恋することに終わる。

レミ=ド=グールモン(フランスの詩人)

○恋愛の真の価値は、人に一般的な生活力を増大させるところにある。

バレリー(フランスの詩人)

○恋愛とはわれわれの魂の最も至純な部分の未知なるものへ向かっての聖なるあこがれである。

ジョルジュ=サンド(フランスの女流作家)

○恋愛ははしかの如きものだ。われわれは皆それを通り過ぎねばならない。

ジェローム(イギリスの著述家)


【結婚】

○結婚は鳥籠のようなものだ。外にいる鳥たちはいたずらに入ろうとし、中の鳥たちはいたずらに出ようともがく。

モンテーニュ(フランスの思想家)

○男は退屈から結婚する。女は物好きから結婚する。そして両方とも失敗する。

ワイルド(イギリスの詩人)

○正しい結婚の基礎は相互の誤解にある。

ワイルド

○できるだけ早く結婚することは女のビジネスであり、できるだけ遅くまで結婚しないでいるということは男のビジネスである。

バーナード=ショウ(イギリスの劇作家)

○結婚とは、諸君が諸君の全精神をそそぎこまねばならぬものである。

イプセン(ノルウェーの劇作家)

○その女が男であったら友に選んだであろうような女でなければ、これを妻として選んではならない。

ジュベール(フランスのモラリスト)

○恋のない結婚のあるところには、結婚のない恋が生まれるだろう。

フランクリン(アメリカの政治家)

○結婚――いかなる羅針盤もかつて航路を発見したことのない荒海。

ハイネ(ドイツの詩人)

○一度結婚してしまうと善良であること以外には何事も、自殺でさえも残されてはいない。

スティーブンソン(イギリスの作家)

○妻は若い夫にとっては女主人であり、中年の夫にとっては仲間であり、老人の夫にとっては乳母である。

ベーコン(イギリスの哲学者)

○妻と子どもをもった男は、運命に質入れをしたようなものだ。

ベーコン

○一度結婚することは義務であり、二度結婚することは愚行であり、三度することは狂気の沙汰である。

西洋の諺

○よき夫は、夜は最初に眠り、朝は最後に起きるような夫ではない。

バルザック(フランスの作家)

○結婚まえには両目を大きく開いてみよ。結婚してからは片目を閉じよ。

トーマス=フラー(イギリスの聖職家)

○夫婦の生活の灯は一生涯を通じて一本のローソクでは足りない。最初のローソクが消えかかると、新しいローソクを持って来てその火を移し、そのローソクが消えかかるとまた別なローソクを持って来てその火を移す。

志賀直哉(作家)

○急いで結婚する必要はない。結婚は果物とちがっていくらおそくても季節はずれになることはない。

トルストイ(ロシアの作家)

○とにもかくにも結婚せよ。もし君がよい妻を持てば幸福になるであろう。もし君が悪い妻を持つならば、君は哲学者になるだろう。そしてそれはだれにとってもいいことなのだ。

ソクラテス(ギリシャの哲学者)

○結婚とは、その主人公が第一章で死んでしまうところの小説である。

無名氏

○夫婦生活は長い会話である。

ニーチェ(ドイツの哲学者)

○この上なくおとなしい夫はこの上なく狂暴な妻をつくる。

西洋の諺

○夫に才知あり、妻に忍耐あるは家内安全のもと。

イギリスの諺

○雌鳥が歌い、雄鳥が黙るところには平和は少ない。

フランスの諺

○人びとはたいてい無我夢中に急いで結婚するので、その結果一生涯に後悔を残す。

モリエール(フランスの作家)

○よき夫はつんぼでなければならず、よき妻はめくらでなければならぬ。

西洋の諺


【人生】

○人生は歩いている影たるに過ぎん。ただ一時、舞台の上で、ぎっくりばったりをやって、やがてもう噂もされなくなる、惨めな俳優だ。

シェークスピア(イギリスの劇作家)

○人は心が愉快であれば、終日歩んでも倦むことはないが、心に憂いがあれば僅か一里でも倦む。人生の行路もこれと同様で、人は常に明るく愉快な心を持って人生の行路を歩まねばならぬ。

シェークスピア

○人生とは、切符を買って軌道の上を走る車に乗る人にはわからないものである。

モーム(イギリスの作家)

○人生とは、不十分な前提から十分な結論をひきだすという技術である。

サミュエル=バトラー(イギリスの作家)

○われわれの考え――それはたいてい六ペンスの贋金に似ている。われわれはそれを互いに他へ渡そう渡そうとして我々の生涯を送る。

サミュエル=バトラー

○人生とは退屈なひとつの過程である。

サミュエル=バトラー

○人生においては偶然を考慮にいれなければならない。偶然とはひっきょう神のことになる。

アナトール=フランス(フランスの作家)

○人生は学校である。そこでは幸福より不幸の方がよい教師である。

フリーチェ(ソ連の歴史家)

○人生はそれを感ずる人間にとっては悲劇であり、考える人間にとっては喜劇である。

ラ=ブリュイエール(フランスのモラリスト)

○人生は大理石と泥とで作り上げられている。

ホーソン(アメリカの作家)

○人生、それは二つの永遠の間のわずかな一閃である。

カーライル(イギリスの思想家)

○人生は一冊の書物に似ている。馬鹿者たちはそれをペラペラとめくっていくが、賢い人たちはただ一度しかそれを読むことができないことを知っているから念入りにそれを読む。

ジャン=ポール=リヒター(ドイツの作家)

○もし人生が再版できるものなら、私は校正したい。

クレア(イギリスの詩人)

○人生における大きな喜びは、君にはできないと世間がいうことをやることである。

ウォルター=パジョット(イギリスの経済学者)

○人生は芝居の如し。上手な俳優やくしゃが乞食になることもあれば、大根俳優やくしゃが殿様になることもある。とかくあまり人生を重く見ず、棄身すてみになって何事も一心になすべし。

福沢諭吉(教育者)

○人生は石材なり。これに神の姿を彫刻するも悪魔の姿を彫刻するも各人の自由である。

エドマンド=スペンサー(イギリスの詩人)

○寒さにふるえた者ほど太陽をあたたかく感じる。人生の悩みをくぐった者ほど生命の尊さを知る。

ホイットマン(アメリカの詩人)

○涙とともにパンを食べた者でなければ人生の味はわからない。

ゲーテ(ドイツの詩人)

○生活はすべて次の二つから成り立っている。したいけれどできない。できるけどしたくない。

ゲーテ

○人は多くを願うが、彼に必要なものはごく僅かなのである。人生は短く、人間の運命には限りがあるから。

ゲーテ

○一年の希望は春が決める。一日のそれは暁が、家族のそれは和合が、人生のそれは勤勉が。

中国の諺

○この世に生きるということはいわば演劇だ。帳簿をつけるのとはわけが違う。だから自分というものに忠実に行きようとすれば、何回も下稽古を積まなくてはならないのだ。

サローヤン(アメリカの劇作家)

○生活とは見える敵、見えざる敵との絶えざるたたかいである。

ロマン=ローラン(フランスの作家)

○裸で私はこの世に来た。裸で私はこの世から出てゆかねばならぬのだ。

セルバンテス(スペインの作家)

○短い浮世も、善く美しい生活をするには十分に長い。

キケロ(ローマの弁論家)

○ある世代が道路をつくり、つぎの世代がその上を通る。

中国の諺

○世の中はなにかつねなる飛鳥川、昨日の淵ぞ今日は瀬になる。

『古今集』

○朝あしたに死し夕ゆうべに生まるるならい、唯水の泡にぞ似たりける。

鴨長明(鎌倉時代の文人)

○祇園精舎の鐘の音、諸行無常の響あり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理を顕す。奢れる者も久しからず、ただ春の夢の如し。猛き心も終ついには亡びぬ、偏に風の前の塵におなじ。

『平家物語』

○自分の前に敵がいっぱいあらわれたときは振り返って見よ。味方がいっぱいいるものだ。

生田長行(評論家)

○天地は万物の逆旅げきりょ、光陰は百代の過客なり。

李白(中国の詩人)

○万物は流転す。

ヘラクレイトス(ギリシャの哲学者)

○世界はつねに両腕をひろげて英才を受け入れようとしている。

ホームズ一世(アメリカの医者)


【人の一生】

○人の一生には焔の時と灰の時がある。

レニエ(フランスの詩人)

○葉巻のような一生がある。すい始めだけがうまい。

アンドレ=プレボ(フランスの評論家)

○命長ければ辱多し。

荘子(中国の思想家)

○すべての人間の一生は神の手によって書かれたお伽話にすぎない。

アンデルセン(デンマークの作家)

○私はその人柄のうちにいくらか老人的なものを持っている青年を好ましく思う。と同時に青年的なものをいくらか持っている老人を好ましく思う。このような規則に従う人間はからだが年をとっても心が老いることは決してない。

キケロ(ローマの弁論家)

○人生最初の四十年はテキストであり、あと三十年はテキストについての注釈である。

ショーペンハウエル(ドイツの哲学者)

○青春の夢に忠実であれ。

シラー(ドイツの詩人)

○青春の辞書には失敗というごとき言葉はない。

B=G=リットン(イギリスの作家・政治家)

○青春は人生にたった一度しかこない。

ロングフェロー(アメリカの詩人)

○金縷の衣(金糸でぬいとりをした衣)は再び得べし、青春は再び得べからず。

王粲(中国の詩人)

○もし私が神であったら、私は青春を人生の終わりに置いたであろう。

アナトール=フランス(フランスの作家)

○青春は失策、壮年は苦悩、老年は悔恨。

ディズレリ(イギリスの政治家・文人)

○青年は決して安全な株を買ってはならない。

コクトー(フランスの詩人・画家)

○盛年重ねて来たらず。

陶淵明(中国の詩人)

○老年の悲劇は、彼が老いたからではなく、彼がまだ若いと思うところにある。

ワイルド(イギリスの詩人)

○老人の忠告は冬の太陽の光線である。それは照らすけれども暖めはしない。

ボーブナルグ(フランスの批評家)

○心に皺はない。

セビニェル夫人(フランスの文学者)


【処世】

○最高の処世術は、妥協することなしに適応することである。

ゲオルグ=ジンメル(ドイツの哲学者)

○今日の一つは明日の二つにまさる。

フランクリン(アメリカの政治家)

○智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角この世は住みにくい。

夏目漱石(作家)

○我十有五にして学に志し、三十にして立ち、四十にして惑わず。五十にして天命を知り、六十にして耳順う。七十にして心の欲するところに従って矩をこえず。

『論語』

○急がず休まず。

ゲーテ(ドイツの詩人)

○宴会からと同じように、人生からも飲み過ぎもせず、のどが乾きもしないうちに立ち去ることが一番よい。

アリストテレス(ギリシャの哲学者)

○人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し。急ぐべからず。不自由を常と思えば不足なく、心に望みおこらば困窮したる時を思い出すべし。堪忍は無事長久の基。怒りは敵と思え。

徳川家康(江戸幕府初代将軍)


【運命】

○人の運命は人間の手中にある。

サルトル(フランスの作家)

○幸運は偉大な教師である。不運はそれ以上に偉大な教師である。

ハズリット(イギリスの評論家)

○たいていの人びとは運命に過度の要求をすることによってみずから不満の種を作っている。

フンボルト(ドイツの哲学者)

○運命は、われわれを幸福にも不幸にもしない。ただその材料と種子とをわれわれに提供するだけである。

モンテーニュ(フランスの思想家)

○すべての人は自己の運命の創造者である。

ステール(イギリスの文人)

○運命の中に偶然はない。人間はある運命に出あう以前に自分がそれを作っているのだ。

T=W=ウィルソン(アメリカの政治家)

○運命は神の考えるものだ。人間は人間らしく働けばそれで結構だ。

夏目漱石(作家)

○命を知るものは天を怨みず。

『説苑ぜいえん』


【幸福】

○幸福とはショーウインドのなかの品物のように、好きなものを選んで、金を払えば持って帰れるというものではない。

アラン(フランスの哲学者)

○幸福は小鳥のようにつかまえておくがいい――できるだけそっと、緩やかに。小鳥は自分が自由だと思い込んでさえいれば、喜んでおまえの手の中にとどまっているだろう。

ヘッペル(ドイツの劇作家)

○私は今まで自分の欲望を満たそうと努めることよりも、むしろそれを制限することによって幸福を求めることを学んできた。幸福な人とは、過ぎた日々の数々の満足を記憶していこうと努める人を言うのだ。

J=S=ミル(イギリスの哲学者)

○幸福を得る唯一の方法は、幸福を人生の目的とせず、幸福以外の何か他のものを人生の目的とすることである。

J=S=ミル

○幸福であるには二つのみちがある。欲望を減らすか持ち物を増やすかすればよい。

フランクリン(アメリカの政治家)

○幸福人とは過去の自分の生涯から満足だけを記憶している人びとであり、不幸人とはその反対を記憶している人びとである。

萩原朔太郎(詩人)

○人はみな自分の幸福を望んでいる。しかし文明の技術のうえで一つになった今日の世界では、自らの幸福を望んでも他人の幸福を望む気持ちと一つにならない限りそれは何の役にも立たない。

バートランド=ラッセル(イギリスの哲学者)

○幸福を支えるためには悪運に処する場合にもまして大きな勇気を必要とする。

ラ=ロシュフコー(フランスの政治家)


【不幸】

○人間には幸福の他にそれと全く同量の不幸がつねに必要である。人間が不幸を感じるのは、自分が幸福であることを知らないからだ。ただそれだけの理由なのだ。

ドストエフスキー(ロシアの作家)

○いつまでも続く不幸というものはない。じっとがまんするか、勇気を出して追い払うかのいずれかである。

ロマン=ローラン(フランスの作家)

○この世にはいろいろの不幸がある。しかしその不幸からよきものを生み出そうとし、また生み出し得るものは賢い人である。与えられたる運命をもっともよく生かすということは人間にとって大事なことである。

武者小路実篤(作家)

○不幸に堪え得ないほど大きな不幸はない。

イギリスの諺

○「今が最悪の事態だ」といえる間は最悪ではない。

シェークスピア(イギリスの劇作家)


【境遇】

○蓬、麻中に生ずれば扶けずして直し。

『荀子』

○境遇を支配するものは真の英雄である。

西洋の諺

○人間は境遇の作物にあらず、境遇が人間の作物である。

ディズレリ(イギリスの政治家・文人)


【立志】

○少年よ大志を抱け。

クラーク(アメリカの科学者・教育者)

○男子志を立てて郷関を出づ、学若し成らずんば死すとも帰らず、骨を埋むるあに墳墓の地を期せん、人間いたる所青山あり。

月性(江戸時代の僧侶)

○志ある者は事竟に成る。

『後漢書』


【チャンス】

○もし機会を見出さざれば、自ら機会を作るべし。

スマイルズ(イギリスの著述家)

○機会が人を見捨てるよりも人が機会を見捨てるほうが多い。

フランスの諺

○機会が二度君のドアをノックすると考えるな。

シャンフォール(フランスの評論家)


【経験】

○経験は知識の母。

西洋の諺

○経験は最良の教師である。ただし授業料が高すぎる。

カーライル(イギリスの思想家)

○私は私の足を導いてくれるただ一つのランプを持っている。それは経験というランプである。

パトリック=ヘンリー(アメリカの雄弁家)

○学問なき経験は経験なき学問にまさる。

イギリスの諺

○人間が賢いのはその経験に応じてではない。経験にないする能力に応じてである。

バーナード=ショー(イギリスの劇作家)

○高い山に登らない者には平野がわからない。

中国の諺

○濡れた者は水を恐れず。

イギリスの諺


【成功】

○成功とは結果ではかるのではなく、それに費やした努力の総計ではかるべきである。

エジソン(アメリカの発明家)

○成功するには二つの道しかない。一つは自分の勤勉、一つは他人の愚かさによって儲けること。

ラ=ブリュイエール(フランスの批評家)

○成功の秘訣は目的の一定不変なところにある。

スマイルズ(イギリスの著述家)

○にわかに大きな火を起こそうとするものは、かえって弱い藁しべからはじめる。

シェークスピア(イギリスの劇作家)

○待つことを知るは成功の秘訣である。

西洋の諺

○小さい事に身を入れすぎるものは、ふつう大きな事ができなくなる。

ラ=ロシュフコー(フランスの政治家)

○あまり熟慮しすぎる人間は大して事を成就しない。

シラー(ドイツの詩人)

○終わりを勤むこと始めの如くなれば敗るることなし。

『老子』

○創業は易く守成は難し。

『十八史略』

○百里行くものは九十里を半ばとす。

『戦国策』


【失敗】

○失敗しないものはつねに何ごともなしえない。

フェルプス(アメリカの国際法学者)

○成功の一瞬間は、失敗の数か年をつぐ

ブラウニング(イギリスの詩人)

○失敗に達人というものはない。ひとはだれでも失敗の前には凡人である。

プーシキン(ロシアの作家)

○ことのはじめに当たって結果がどうなるかをつねに考えよ。

ウィンパー(イギリスの登山家)


【不可能】

○不可能という語はわが辞書になし。

ナポレオン(フランス皇帝)

○臆病でためらいがちな人間にとっては一切が不可能である。なぜなら、一切が不可能なように見えるからである。

ウォルター=スコット(イギリスの作家)


【孤独】

○この世でもっとも強い人間とは、孤独でただひとり立つものなのだ。

イプセン(ノルウェーの劇作家)

○孤独な人間は野獣か天使である。

西洋の諺


【生と死】

○人間は死を恐れる。ちょうど子供が暗闇を恐れるように。そして子供のうちのこの恐れがいろいろの物語によって大きくなるのと同じように死への恐れも大きくなる。

ベーコン(イギリスの哲学者)

○どんなふうに死ぬかでなく、どんなふうに生きるかが問題なのだ。

サミュエル=バトラー(イギリスの作家)

○埋葬された皇帝よりも生きている乞食のほうがよい。

ラ=フォンテーヌ(フランスの建築家)


【時間】

○時はその使い方如何によって金にも鉛にもなる。

アンドレ=プレボ(フランスの評論家)

○暇を利用しない人は常に暇なし。

西洋の諺

○時を得る人は万物を得る。

ディズレリ(イギリスの政治家・文人)

○時間がすぎ去って行くのではない。われわれがすぎ去って行くのだ。

西洋の諺

○グズグズしていることは時間を盗まれることである。

エドワード=ヤング(イギリスの詩人)

○時は金なり。

西洋の諺

○汝生涯を愛するか、さらば汝の時間を愛せよ。汝の生涯は汝の時間よりなるものなり。

フランクリン(アメリカの政治家)

○今日の一日は明日の二日分にひとしい。

フランクリン

○時間を無駄にしないのは時間だけだ。

ルナール(フランスの作家)

○短き人生は時間の浪費によって一層短くなる。

サミュエル=ジョンソン(イギリスの文学者)

○明日ありと思う心のあだ桜、夜半に嵐の吹かぬものかは。

親鸞(鎌倉時代の僧侶)

○「時」の歩みは三重である。未来はためらいつつ近づき、現在は矢のようにはやく飛び去り、過去は永久に静かに立っている。

シラー(ドイツの詩人)

○過去を顧みるなかれ。現在を頼め。さらに雄々しく未来を迎えよ。

ロングフェロー(アメリカの詩人)

○最良の予言者は過去なり。

バイロン(イギリスの詩人)

○鳥が飛び去ってから尾をつかもうとしても無理な話である。

ドストエフスキー(ロシアの作家)

○決して時計を見るな、これは若い人に覚えてもらいたいことだ。

エジソン(アメリカの発明家)

○時に及んでまた勉励すべし、歳月人を待たず。

陶淵明(中国の詩人)

○いたずらに過す月日の多けれど道を求むる時ぞ少なき。

道元(鎌倉時代の僧侶)

○この地上ではなすべきことが実に多い。急げ!

ベートーベン(ドイツの音楽家)


【人間】

○人間は自然のうちでもっとも弱い一本の葦にすぎない。しかしそれは考える葦である。

パスカル(フランスの思想家)

○人間の偉大は、かれが自己の悲惨を知っている点において偉大である。

パスカル

○人間は道具を使う動物である。

カーライル(イギリスの思想家)

○人間は笑う力を与えられた唯一の生物である。

グレビル(イギリスの詩人)

○人間よ、汝、微笑と涙との間の振子よ。

バイロン(イギリスの詩人)

○もし君がその正しい読み方を知っているならば、人間はひとりひとりが一冊の書物である。

ウィリアム=チャニング(アメリカの牧師)

○人間は万物の尺度である。

プロタゴス(ギリシャの哲学者)

○人間こそ笑いまた泣くところの唯一の動物である。

ウィリアム=ハズリット(イギリスの評論家)

○人間は従順な動物であり、どんなことにも慣れてしまう生物である。

ドストエフスキー(ロシアの作家)

○人間はあわれむべきものではない。尊敬すべきものだ。

ゴーリキー(ロシアの作家)

○人間は自らをあまりにも深刻に考えすぎる――すなわちこれを原罪という。

ワイルド(イギリスの詩人)

○初めて牡蠣を食った人間は大胆な人間であった。

スウィフト(イギリスの風刺作家)

○人間一般を知ることはひとりひとりの人間を知ることよりやさしい。

ラ=ロシュフコー(フランスの政治家)

○人、各々能不能あり、我れ孔明たるあたわず、孔明我れたるあたわず。

伊藤仁斎(江戸時代の儒者)


【自己】

○自分自身を愛することは一生涯続くロマンスを始めることである。

ワイルド(イギリスの詩人)

○汝自身をしれ。

ソクラテス(ギリシャの哲学者)

○己れを知るものは賢者なり。

チョーサー(イギリスの詩人)

○山中の賊を破るは易く、心中の賊を破るは難し。

王陽明(中国の儒者)

○人間の最も偉大な力とは、その人のいちばんの弱点を克服したところから生まれてくるものである。

エルマー=G=レターマン(アメリカのセールスコンサルタント)


【理性】

○同じような危険な行き過ぎが二つある。理性を直ちに否定することと、理性のほかは何も認めないこと。

パスカル(フランスの思想家)

○われ思う、故にわれあり。

デカルト(フランスの哲学者)


【知恵・知識】

○知はいつも情に一杯食わされる。

ラ=ロシュフコー(フランスの政治家)

○知は生命の泉なり。

ソロモン(イスラエル王国の三代目の王)

○物を知るには、これを愛さなければならない。物を愛するには、これを知らなければならない。

西田幾多郎(哲学者)

○私が知っている一切は私が何も知らないということである。

ソクラテス(ギリシャの哲学者)


【無知】

○学問のある馬鹿は無知な馬鹿よりももっと馬鹿だ。

モリエール(フランスの作家)

○無知を恐れるなかれ、偽りの知識を恐れよ。

パスカル(フランスの思想家)


【想像力】

○想像力は知識よりももっと大切である。

アインシュタイン(アメリカの物理学者)

○知識がなくて想像力を持っている人間は、足がないのに翼を持っているようなものである。

ジュベール(フランスのモラリスト)


【愛】

○愛し得るということはすべてをなし得ることだ。

チェホフ(ロシアの劇作家)

○愛の光なき人生は無価値である。

シラー(ドイツの詩人)

○愛に国境なし。

バイロン(イギリスの詩人)

○愛はすべてのものを達成する。

ペトラルカ(イタリアの詩人)

○愛は人間に没我を教える。それ故に愛は人間を苦しみから救う。

トルストイ(ロシアの作家)

○愛あるところ神あり。

ストー夫人(アメリカの作家)

○人が天から心を授かっているのは、愛するためにのみである。

ボワロー(フランスの詩人)

○愛を拒めばまた愛より拒まれる。

テニスン(イギリスの詩人)

○心から愛する人は決して老け込まない。

ピネロ(イギリスの劇作家)

○愛は惜しみなく奪う。

有島武郎(作家)

○汝自らの如く汝の隣人を愛せよ。

『新約聖書』

○汝の敵を愛し、汝を責むる者のために祈れ。

『新約聖書』

○情けは人の為ならず。

『太平記』


【喜怒哀楽】

○最後に笑うものが最もよく笑う。

西洋の諺

○涙は悲しみの物言わぬ言葉なり。

ボルテール(フランスの文学者)

○パンさえあれば、たいていの悲しみに耐えられる。

セルバンテス(スペインの作家)

○怒って笑える人に注意せよ。

中国の諺

○怒りは無謀を以て始まり、後悔を以て終わる。

ピタゴラス(ギリシャの哲学者)

○怒ることを知らないのは愚である。しかし、怒ることを知ってよく忍ぶ者は賢い。

イギリスの諺

○嫉妬は男においては弱さであるが、女にあってはひとつの強さである。

アナトール=フランス(フランスの作家)


【希望・絶望】

○希望は人を成功に導く信仰である。希望がなければ、何事も成就するものではない。

ヘレン=ケラー(アメリカの女流作家)

○出る月を待つべし。散る花を追うことなかれ。

中根東亜(江戸時代の陽明学者)

○絶望とは愚者の結論である。

ディズレリ(イギリスの政治家・文人)


【欲望】

○汝の欲するところをなせ。

ラブレー(フランスの物語作家)

○欲するものがすべて手に入りつつある時は警戒せよ。肥えてゆく豚は幸運なのではない。

チャンドラ=ハリス(アメリカの著述家)

○人間にとって苦悩に負けることは恥辱ではない。むしろ快楽に負けることこそ恥辱である。

パスカル(フランスの思想家)

○最も安価な快楽を持つ人が、最も富める人である。

ソーロー(アメリカの詩人)


【信念】

○自ら正しいと信ずる者は王の万軍よりも強く、自ら正しきを疑う者はいささかの力をも持たない。

カーライル(イギリスの思想家)

○信念は恋愛のごとし、強いられることはできない。

ショーペンハウエル(ドイツの哲学者)

○信念は嘘よりも危険な真理の敵である。

ニーチェ(ドイツの哲学者)


【断行】

○断じて敢行すれば鬼神もこれを避く。

『史記』

○自ら省みて縮くんば千万人と雖も我行かん。

『孟子』

○為せば成る、為さねば成らぬ成る業を、成らぬと捨つる人のはかなき。

武田信玄(戦国時代の武将)

○骰子は投げられたり。

シーザー(ローマの政治家)


【勇気】

○真の勇気は第三者の目撃者のいない場合に示される。

ラ=ロシュフコー(フランスの政治家)

○恐れを知って、しかもそれを恐れざる者こそ真の大勇者である。

ウエリントン(イギリスの政治家)

○義を見てせざるは勇なきなり。

『論語』


【忍耐】

○忍耐は運命を左右す。

フランスの諺

○大海の怒濤のなかに落ちた磁石のように、人間の忍耐は、逆境のなかにあってもすぐ見分けがつく。

フリードリヒ=ハウク(ドイツの詩人)

○忍耐をもつことのできる人は、ほしいものを手に入れることが出来る。

フランクリン(アメリカの政治家)

○最もよく耐え忍ぶ者は、最もよくなし得る人なり。

ミルトン(イギリスの詩人)

○忍耐はすべての扉を開く。

ラ=フォンテーヌ(フランスの建築家)

○忍耐とは希望を持つ技術である。

ボーブナルグ(フランスの批評家)

○汝の心の庭に忍耐を植えよ、その根は苦くともその実は甘い。

ジェーン=オースティン(イギリスの女流作家)

○艱難は徳の母である。

プルターク(ギリシャの著述家)

○心頭を滅却すれば火も亦涼し。

快川紹喜禅師(戦国時代の僧侶)

○苦痛なくして勝利なし。いばらなくして王座なし。苦患なくして栄光なし。受難なくして栄冠なし。

ウィリアム=ペン(イギリスの提督)

○苦しむには、死ぬよりももっと勇気がいる。

ナポレオン(フランスの皇帝)


【行為】

○行為とは人が己の姿を映す鏡である。

ゲーテ(ドイツの詩人)

○賢明な思考よりも、慎重な行動が重大である。

キケロ(ローマの弁論家)

○最大多数の最大幸福を得る行動が最善である。

ハッチスン(スコットランドの哲学者)

○風向きばかり見ている人は、蒔くことも刈ることもしない。

西洋の諺

○知って行わざるは知らざるに同じ。

貝原益軒(江戸時代の儒者)

○今日なし得ることを明日に延ばすことなかれ。

フランクリン(アメリカの政治家)

○人は最善を果たさんがために生きるのである。

カント(ドイツの哲学者)

○義務とは、我々が他人に期待するところのものである。

ワイルド(イギリスの詩人)

○習いは性となる。

『書経』

○習慣は木の皮に刻んだ文字のようなもので、その木の長ずるにつれて文字も共に大きくなる。

スマイルズ(イギリスの著述家)


【努力・勤勉】

○ひっきょう努力しない天才よりも、努力する鈍才のほうがよけいに仕事をするだろう。

ジョン=アベブリー(イギリスの著述家)

○私はいまだかつて、ちょっとした偶然でなにか値打ちのあることをなしとげたこともないし、私のいろいろの発明のいずれも偶然になったものはなかった。それはけんめいに働くことによってできたものである。

エジソン(アメリカの発明家)

○カンとは頭の働きではなく、不断の練習の結果生まれるものだ。

中村寅吉 (ゴルファー)

○ローマは一日にして成らず。

西洋の諺

○勤勉にとって固すぎる壁はない。勇気にとって近寄りがたい深淵はない。

ノバーリス(ドイツの詩人)

○正直と勤勉とを汝の不断の伴侶にせよ。

フランクリン(アメリカの政治家)


【怠惰】

○怠けもの、長針も短針もない時計だ。かりに動き出しても止まっているときと同様に役に立たない。

ウィリアム=クーパー(イギリスの詩人)

○ものぐさは錆と同じ、労働よりもかえって消耗を早める。一方使っている鍵はいつも光っている。

フランクリン(アメリカの政治家)


【人格】

○時代を動かすものは主義にあらずして、人格である。

ワイルド(イギリスの詩人)

○才能は孤独のうちに成り、人格は世の荒波にて成る。

ゲーテ(ドイツの詩人)

○徳あれば孤ならず、必ず隣あり。

『論語』

○桃李もの言わざれども下自ら蹊をなす。

『史記』

○何処に逃るるも良心より脱せず。

西洋の諺

○人を相手にせず、天を相手にせよ。天を相手にして己を尽し、人をとがめず、わが誠の足らざるを尋ぬべし。

西郷隆盛(政治家)

○至誠にして働かざるものは、いまだこれあらざるなり。

『孟子』

○実るほど頭を垂るる稲穂かな

川柳

○謙遜もすぎれば高慢となる。

イギリスの諺

○過ぎたるは猶及ばざるが如し。

『論語』

○善く泳ぐ者は溺れ、善く騎る者は堕つ。

『準南子』


【過失・反省】

○過てば則ち改むるに憚るなかれ。

『論語』

○過って改めざる、これを過ちという。

『論語』

○我日に三度我が身を省みる。人の為に謀りて忠ならざるか、盟友と交わりて信ならざるか、習わざるを伝うるか。

『論語』


【悪】

○善をなすには努力を要する。しかし悪を抑制するにはよりいっそうの努力が必要だ。

トルストイ(ロシアの作家)

○小人閑居して不善をなす。

『大学』

○人間はかれが愛するものによってたやすくだまされる。

モリエール(フランスの作家)


【天才】

○天才、そんなものは決してない。ただ勉強です。方法です。不断に計画しているということです。

ロダン(フランスの彫刻家)

○あらゆる人は何もしない天才であり、ある人はまめまめしく働く天才である。

ハリバートン(イギリスの文学者)

○天才とは本質を見抜く人である。

カーライル(イギリスの思想家)

○天才とは異常なる忍耐者をいう。

トルストイ(ロシアの作家)

○天才とは一パーセントの霊感と九十九パーセントの発汗とである。

エジソン(アメリカの発明家)

○天才とは自ら法則を作るものである。

カント(ドイツの哲学者)


【凡人】

○一切の人は皆愚人なり、皆凡人なり。もし人ありて我は愚人にあらずといわば、その人は既に真の愚人にして、又人ありて我は凡人にあらずといわばその人は既に真の凡人たればなり。

幸田露伴(作家)

○英雄は自分の出来る事をした人だ。ところが凡人はそのできる事をしないで、できもしない事を望んでばかりいる。

ロマン=ローラン(フランスの作家)


【労働】

○働けば働くほど働ける。忙しければ忙しいほど暇ができる。

ハズリット(イギリスの評論家)

○起てる農夫は座せる紳士よりも尊い。

フランクリン(アメリカの政治家)

○万国の労働者よ、団結せよ。

『共産党宣言』

○各人はその能力に応じて働き、その労働に応じて与えられる。

サン=シモン(フランスの社会主義者)

○すべて新しい着物の必要な事業には気をつけよ。

ソーロー(アメリカの思想家)


【職業】

○職業は生活の背骨である。

ニーチェ(ドイツの哲学者)

○世に卑しき職業はなく、ただ卑しい人があるだけだ。

リンカーン(アメリカの政治家)


【金銭】

○悪貨は良貨を駆逐する。

グレシャム(イギリスの経済学者)

○金銭は何人たるを問わず、その所有者に権力を与える。

ジョン=ラスキン(イギリスの評論家)

○悪の根源をなすものは、金そのものではなくて金に対する愛である。

スマイルズ(イギリスの著述家)

○金を貸せば友と金とを共に失う。

西洋の諺

○すべて商売は売りにて喜び、買いて喜ぶようにすべし。売りて喜び、買いて喜ばざるは道にあらず、貸借の道もまた貸して喜び借りて喜ばざるは道にあらず。

二宮尊徳(江戸時代の農政家)

○敵をつくりたいと思ったら、金を貸してたびたび催促するがよい。

西洋の諺

○信用は資本なり。

イギリスの諺

○五十円を貸して半分しか返して貰えないよりは十円をくれてやったほうがいい。

トマス=フラー(イギリスの聖職家)


【富・貧困)

○富める者の天国にはいるは駱駝の針の穴を通るよりも難し。

『新約聖書』

○足るを知る者は真の富者にして、貪欲なるものは真の貧者なり。

ソロン(ギリシャの賢人)

○貧乏は貧乏と感ずるところにあり。

エマーソン(アメリカの詩人)


【倹約】

○節約は大なる収入なり。

キケロ(ローマの弁論家)

○倹より奢に映ることはやすく、奢より倹に入るは難し。

中根東里(江戸時代の儒者)

○僅少の失費をつつしめ。水のもる小さな穴が巨船を沈める。

フランクリン(アメリカの政治家)

○財布が空を告げた後の経済はすでにおそい。

セネカ(ローマの修辞家)

○身に奉ずること薄きを倹約とし、人に奉ずること薄きを吝嗇とす。

貝原益軒(江戸時代の儒者)


【交際】

○上機嫌は人が社交界にまとい得る最上の装身具のひとつである。

サッカレー(イギリスの作家)

○もっとも完全な社交術を持つためには、すべての女性に対して君が彼女を恋しているように話しかけよ。そしてすべての男性に対しては、かれが君にうんざりしているように話しかけよ。

ワイルド(イギリスの詩人)

○去る者は日々に疎く、来る者は日々に親しむ。

『文選』

○去る者は追わず、来たる者は拒まず。

『孟子』

○己の欲せざる所は人に施すなかれ。

『論語』

○約束とパイの皮とは壊されるために作られる。

スウィフト(イギリスの作家)

○招ばれなかったのに来た客は、とかく帰る時間になって最も多く歓迎される。

シェークスピア(イギリスの劇作家)

○水至りて清ければ即ち魚なく、人至りて察なれば即ち徒なし。

『家語』

○良薬は口に苦けれども病に利あり。忠言は耳に逆らえども行いに利あり。

『集語』


【会話】

○会話の第一の要素は真実、第二は見識、第三は快適、第四は頓知。

ウィリアム=テンプル(イギリスの政治家)

○討論は男性であり、会話は女性である。

オルコット(アメリカの教育者)

○一度語る前に二度聞け。

西洋の諺


【沈黙】

○沈黙は言葉よりもはるかに雄弁である。

カーライル(イギリスの思想家)

○沈黙は金、雄弁は銀。

西洋の諺


【お世辞】

○お世辞とはベール越しの接吻のようなものだ。

ユーゴー(フランスの詩人)

○人にほめられていやどう致しましてというのはもう一度ほめられたいと思う心のあらわれである。

ラ=ロシュフコー(フランスの政治家)

○人は時として、おべっかを憎む気でいることがある。しかしそれはおべっかのやり口を憎むだけのことである。

ラ=ロシュフコー


【嘘】

○結局嘘とは何か、仮面をかぶった真実にほかならぬ。

バイロン(イギリスの詩人)

○ひとつの虚言を吐いた人は、これを維持するために、さらに二十の虚言を案出せざるを得ない。

ジェファーソン(アメリカの政治家)


【言いわけ】

○失言の言いわけをするとその失策を目立たせる。

シェークスピア(イギリスの劇作家)

○言いわけは嘘よりももっと悪くもっと恐しい。けだし言いわけは防衛された嘘だから。

ポープ(イギリスの詩人)


【家庭】

○幸福な家庭はすべてお互いによく似かよっている。しかし不幸な家庭はそれぞれの仕方で不幸である。

トルストイ(ロシアの作家)

○家庭よ、閉ざされた家庭よ、私は汝を憎む。

アンドレ=ジイド(フランスの作家)

○王にせよ農夫にせよ、その家において平和を見出すものは最も幸福の人なり。

ゲーテ(ドイツの詩人)

○家の仕事にかかっている女の人は、この世で最も美しいものの一つ。

ロダン(フランスの彫刻家)

○人間は自分のほしいと思うものを求めて世間を歩きまわり、そして家庭にもどったときにそれを見出す。

ジョージ=ムア(アイルランドの作家)


【親と子】

○しろがねも黄金も玉も何せんに勝れる宝子にしかめやも

山上憶良(万葉歌人)

○子供は大人の父である。

ワーズワース(イギリスの詩人)

○自分自身に欠けていたものが息子に実現されるのを見ようとするのは、すべての父親の敬虔な願いである。

ゲーテ(ドイツの詩人)

○父は永遠に悲壮である。

萩原朔太郎(詩人)

○女は弱し、されど母は強し。

ユーゴー(フランスの作家)

○子供が女の最高目的だと主張することには、ある広告的なスローガンの意味がある。

ボーボワール(フランスの女流文学者)

○樹静かならんと欲すれども風止まず。子養わんと欲すれども親待たず。

『家語』

○身体髪膚これを父母に受く。あえて毀傷せざるは考の始めなり。

『考経』


【生活】

○一切の理論は灰色だが、緑なのは黄金なす生活の樹だ。

ゲーテ(ドイツの詩人)

○明日のことを思い煩うな、明日は明日みずから思い煩わん。一日の苦労は一日にて足れり。

『新約聖書』

○今日を捕えよ。できるだけ明日に頼らないで。

ホラチウス(ローマの叙情詩人)

○必要は発明の母。

西洋の諺


【衣服】

○美服はすべての人の門を開く。

西洋の諺

○栄華を極めたるソロモンだに、その装い野の百合の一つにも及かざりき。

『新約聖書』

○清楚なる衣服はよき紹介状なり。

イギリスの諺

○人はその制服どおりの人間になる。

ナポレオン(フランスの皇帝)


【流行】

○流行を追う女はいつでも彼女自身に恋をしている。

ラ=ロシュフコー(フランスの政治家)

○流行を避けると言うことには、流行を装うということと同じ程度の弱さがある。

ラ=ブリュイエール(フランスのモラリスト)


【住まい】

○居は気を移し、養は体を移す。大いなるかな居や。

『孟子』

○家は器物でもって装飾せず、常に訪問する友人で装飾する。

ホームズ一世(アメリカの医者)


【食事】

○新しい料理の発見は、新しい星の発見よりも人類の幸福にいっそう貢献する。

ブリア=サバラン(フランスの食通家)

○汝は生きるために食うべきで、食うために生きるべきではない。

キケロ(ローマの弁論家)

○食欲は食べているうちにでてくるものだ。

ラブレー(フランスの物語作家)


【睡眠】

○朝寝は時間の出費である。これほど高価な出費は他にない。

カーネギー(アメリカのジャーナリスト)

○疲労は最善の枕である。

フランクリン(アメリカの政治家)


【健康】

○鼻風邪は思想なんかよりずっと多くの苦痛を与える。

ルナール(フランスの作家)

○健全なる精神は健全なる身体に宿る。

ユウエナリス(ローマの詩人)

○第一の財産は健康なり。

エマーソン(アメリカの詩人)


【趣味・娯楽】

○趣味をもたなければ天才も高等な馬鹿にすぎない。

フランスの諺

○娯楽と睡眠はよく似ている。その適度な摂取は、精神を慰安し肉体の力を回復する。けれどもその無制限な継続は死に最もよく似た状態に人をおとしいれる。

フランクリン(アメリカの政治家)

○遊びも度重なれば楽しみならず。珍膳も毎日食えば甘からず。

楠木正成(南北朝時代の武将)


【賭】

○すべて賭をする者は、不確実なものを得んがために確実なものに賭ける。

パスカル(フランスの思想家)

○賭は貪欲の子供であり、不正の兄弟であり、不幸の父親である。

ワシントン(アメリカの政治家)


【旅行】

○旅行は常になにかの口実になっている。

モーリアック(フランスの作家)

○旅行は寛容を教える。

ディズレリ(イギリスの政治家・文人)

○さすらいと変化を愛するのは生ある者である。

ワーグナー(ドイツの音楽家)

○希望に満ちて旅行することが目的地に到着することよりよい事である。

スチンブンソン(イギリスの作家)


【手紙】

○手紙では人は赤面しない。

キケロ(ローマの弁論家)


【酒】

○百薬の長とはいえど、万の病は酒よりこそ起これ。

吉田兼好(鎌倉時代の歌人・随筆家)

○酒は百薬の長。

『漢書』

○酩酊は一時の発狂なり。

ピタゴラス(ギリシャの哲学者)

○酒が考えだすものは何もない。しゃべり散らすばかりである。

シラー(ドイツの詩人)

○酒の神バッカスは海の神ネプチューンよりもずっとたくさん人間を溺死させた。

ガルバルジー(イタリアの将軍)

○人は次の五つの理由で酒を飲むことができるのである。①祝祭日のため、②渇きをいやすため、③未来を拒むため、④美酒をたたえて、⑤最後にはどんな理由からでも。

リュッケルト(ドイツの詩人)

○一杯は人酒を飲み、二杯は酒酒を飲み、三杯は酒人を飲む。

西洋の諺


【真理】

○真理とは苦い薬である。人はそれを飲もうと決心するよりも、むしろ病気のままでいようとする。

アウグスト=フォン=コッツェブー(ドイツの劇作家)

○真理は喝采ではつくれない。是非は投票では決められない。

カーライル(イギリスの思想家)

○真理とバラにはとげがある。

西洋の諺

○人間を真理に導くには力ずくによってではなく、理性によってでなければならない。

ディドロ(フランスの哲学者)

○すべての偉大な真理は、最初は冒とくの言葉として出発する。

バーナード=ショー(イギリスの劇作家)

○誤謬を認識するのは真理を発見するよりずっと優しい。誤謬は表面にあり、その始末は簡単だ。真理は深部にひそんでいて、だれもが探求できるとは限っていない。

ゲーテ(ドイツの詩人)

○異端で始まり、迷信で終わるのが新しい真理の習慣的な運命である。

トマス=ハクスリ(イギリスの生物学者)


【書物】

○書籍なき家は主人なき家のごとし。

キケロ(ローマの弁論家)

○まず一番いい本を読め。でないとそれを読む機会を全然もたなくなるかもしれないから。

ソーロー(アメリカの思想家)

○良書を読むには悪書を読まぬことを条件とする。人生は短く時と力とは限られているから。

ショウペンハウエル(ドイツの哲学者)

○新刊書が非常に不都合なのは我々が古い書物を読むのを妨害するからである。

ジュベール(フランスのモラリスト)

○ベストセラーとは凡庸な才能の金色の墓場である。

ローガン=スミス(イギリスの学者)

○燃やすには老木、飲むには古酒、信頼するには旧友、読むには古書。

ベーコン(イギリスの哲学者)

○一切の書かれたもののうち、私はただ人がその血を以って書いたものだけを愛する。

ニーチェ(ドイツの哲学者)

○古典とは、だれでも既に読んだことを欲し、そしてだれも読みたくないものである。

マーク=トウェイン(アメリカの作家)

○人は一冊の本を作るために図書館半分をひっくり返す。

サミュエル=ジョンソン(イギリスの文学者)


【文化・教育】

○ペンは剣よりも強し。

西洋の諺

○人間は教えている間に学ぶ。

セネカ(ローマの修辞家)

○人は人によってのみ人となれる。人から教育の結果を取り除けば何物も残らないだろう。

カント(ドイツの哲学者)

○教育はすなわち人に独立自尊の道を教えて、これを躬行実践するの工夫を啓くものなり。

福沢諭吉(教育家)

○完全な教育を子女に残すことは、最良の遺産である。

スコット(イギリスの作家)

○教育の目的は、機械を作ることではなくて人間を作るにある。

ルソー(フランスの思想家)

○大学はあらゆる才幹を養成する。ただし鈍才をも含む。

チェホフ(ロシアの劇作家)

○人間は、あまり必要でないことを多く学ぶよりも、必要なことを少し考える方がよい。

バーナード=ショー(イギリスの劇作家)


【批評・批評家】

○自分が書けなくても悲劇をののしることはできます。自分でテーブルが作れなくても悪いテーブルを作ったといって大工を叱ることができるでしょう。テーブルを作るのは自分の仕事ではないからです。

サミュエル=ジョンソン(イギリスの文学者)

○批評家は公衆の書記にほかならない。

三木清(哲学者)

○批評家とは、文学や芸術の面で失敗した人間にほかならない。

ディズレリ(イギリスの政治家・文人)


【専門家】

○靴屋はよい靴を作る。靴以外のものを何も作らないから。

エマーソン(アメリカの詩人)

○専門家とは、少ないことについて多くを知る人である。

ニコラス=マレー=バトラー(アメリカの教育家)


【芸術】

○芸術とは自然が人間に移ったものです。かんじんなことは鏡をみがくことです。

ロダン(フランスの彫刻家)

○人生は短く芸術は永し。

ヒポクラテス(ギリシャの医学者)

○芸術は人生と同じく、深く入りこめばこむほどひろくなるものである。

ゲーテ(ドイツの詩人)

○芸術が人生を模倣するよりも、遙かに多く人生が芸術を模倣する。

ワイルド(イギリスの詩人)


【美】

○この世で美しいものは最も無用のものである。たとえば孔雀と野の百合をみよ。

コクトー(フランスの詩人・画家)

○いかなるものも、正しい時と処に置かれて美でないものはない。反対に正しい時と処から離れて美しいものはひとつもない。

ミレー(フランスの画家)


【音楽】

○地獄は素人音楽家で満員だ。

バーナード=ショー(イギリスの劇作家)

○音楽は人類のもつ普遍的な言である。

ロングフェロー(アメリカの詩人)


【科学】

○私は仮説をもてあそばない。

ニュートン(イギリスの物理学者)

○それでも地球は動いている。

ガリレイ(イタリアの物理学者)


【自然】

○自然は一巻の書物であり、神がその著者である。

ウィリアム=ハーベイ(イギリスの医者)

○自然は常に教育よりも一層大きな力を持っている。

ボルテール(フランスの文学者)

○自然に帰れ。

J=J=ルソー(フランスの思想家)

○冬来たりなば春遠からじ。

シェリー(イギリスの詩人)

○蟻ほど上手に説教するものはない。しかも蟻は一言もしゃべるわけではない。

フランクリン(アメリカの政治家)


【神】

○もし神が存在しないとしたら、かれを発明することが必要であろう。

ボルテール(フランスの文学者)

○人の生くるはパンのみにあらず、神の口より出ずるすべての言葉による。

『新約聖書』

○正しく考えるとき、われわれは神の中にある。正しく生きるとき、神がわれわれの中にある。

アウグスチヌス(イタリアの宗教家)


【宗教】

○人は決して死を思考すべきでない。ただ生を思考せよ。これが真の信仰である。

ディズレリ(イギリスの政治家・文人)

○人間は宗教の発端であり、宗教の中心点であり、また宗教の終末である。

フォイエルバッハ(ドイツの哲学者)

○宗教は民衆の阿片である。

レーニン(ソビエトの政治家)

○教会に近づくほど神に遠ざかる。


【天国と地獄】

○幸福なるかな、心の貧しき者。天国はその人のものなればなり。

『新約聖書』

○善人なほもて往生をとぐ、いはんや悪人をや。

親鸞(鎌倉時代の僧侶)

○天国で仕えるよりは地獄で治めるほうがよい。

ミルトン(イギリスの詩人)


【国家】

○国家は最高の道徳的存在である。

トライチュケ(ドイツの歴史家)

○国家の価値は結局国家を組織する人民の価値である。

J=S=ミル(イギリスの哲学者・経済学者)

○ナショナリズムは幼児の病気である。それは人類のハシカである。

アインシュタイン(アメリカの物理学者)

○愛国心とは、ならず者たちの最後の避難所である。

サミュエル=ジョンソン(イギリスの文学者)


【人民】

○人民の、人民による、人民のための政府は地上から亡びることはないだろう。

リンカーン(アメリカの政治家)

○国は人を以って本となす。人安ければ国安し。

『書経』

○民の欲するところは、天必ず之に従う。

『書経』


【政治】

○政治の浄化は七色の夢である。

インガーソル(アメリカの法律家)

○最大多数の最大幸福。

ベンタム(イギリスの哲学者・法学者)

○苛政は虎よりも猛し。

『礼記』


【革命】

○革命は決して人民の罪にあらずして政府の罪なり。

ゲーテ(ドイツの詩人)

○革命は些細な事柄ではない。しかし些細なことから起こる。

アリストテレス(ギリシャの哲学者)


【平和と戦争】

○平和は人類最高の理想なり。

ゲーテ(ドイツの詩人)

○悪しき平和は戦争よりも悪い。

タキトゥス(ローマの歴史家)

○よい戦争、悪い平和なんてあったためしがない。

フランクリン(アメリカの政治家)

○戦争は泥棒をつくり、平和がかれを絞首刑にする。

西洋の諺

○戦争が悪と見なされている限り、それは常にその魅力を持つであろう。それが卑俗と見なされたとき、それは人気を失うであろう。

ワイルド(イギリスの詩人)

○一将功成りて、万骨枯る。

曹松(中国の詩人)

○備あれば患いなし。

『心書』

○治にして乱を忘れず。

『易経』

○戦いて勝つは易く守りて勝つは難し。

『呉子』

○彼を知り己を知れば百戦危うからず。

『孫子』

○われ来たり、われ見たり、われ勝てり。

シーザー(ローマの政治家・文人)


【法律】

○法律の盾、正義の名のもとに行われる暴虐より残忍なものはない。

モンテスキュー(フランスの思想家)

○あまり穏やかな法律はめったに服従されないし、あまり厳しすぎる法律はめったに行われない。

フランクリン(アメリカの政治家)

○国が腐敗すればするほど法律がふえる。

タキトゥス(ローマの歴史家)

○悪法も法なり。

ソクラテス(ギリシャの哲学者)

○刑は刑なきに期す。

『書経』


【与論】

○言論の自由を殺すことは、真理を殺すことである。

ミルトン(イギリスの詩人)

○民の声は神の声。

西洋の諺

○天に口なし、人を以って言わしむ。

『平家物語』

○民の口を防ぐは川を防ぐよりも甚し。

『国語』


【正義】

○力なき正義は無効であり、正義なき力は圧制である。力なき正義は反抗を招く。力なき正義は弾劾される。

パスカル(フランスの思想家)

○正義がほろびるなら、人はこの世界に住む必要はない。

カント(ドイツの哲学者)

○力は正義なり。

西洋の諺


【自由】

○人間は生まれたときは自由である。しかるに人間は、至るところで鎖につながれている。

J=J=ルソー(フランスの思想家)

○板垣死すとも自由は死せず。

板垣退助(政治家)

○われに自由を与えよ、しからずんば死を与えよ。

パトリック=ヘンリー(アメリカの政治家)


【平等】

○天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらず。

福沢諭吉(教育者)

○王侯相将いずくんぞ種あらんや。

『史記』

○神の前にはすべての人間は平等である。

西洋の諺


【結びつき】

○ともに泣くことの楽しさほど、人びとの心を結びつけるものはない。

J=J=ルソー(フランスの思想家)

○共同の任務に対する共同の労働ほど、相対する人びとを融合せしめるのに役立つものはない。

ビスマルク(ドイツの政治家)


【秩序】

○秩序は天国の第一法律である。

ゲーテ(ドイツの詩人)

○秩序の美は、すべての美観のうち最も美しい。

フランスの諺


【格言・箴言】

○よい言葉の一言は悪い本の一冊に勝る。

ルナール(フランスの作家)

○世の中には沢山のいい格言がある。人がそれらを適用することに欠けているだけだ。

パスカル(フランスの思想家)

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死にたい十代に向けた、死にたかった十代の頃の話。 @seizansou

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