神業の意味

 古神道を行ずる人達の中には神業を行う人が少ならからずいます。個人でする人もいれば、組織に属していてその組織のリーダーの指示に従ってする人もいるでしょう。


 神業とは、簡単に言えば霊媒者の指示に従って、封じられた神の封印を解く事です。有名な神業と言えば、大本が行っていた大元裏神業とかが有名でしょうか。や、知らない人の方が多いんですけどね(汗)。


 日本は歴史の古い国なので、過去に何度も神様の名前が塗り替えられているんです。そうして昔からの地元の古い神を封印して、侵略者の神棒する神を祀ってきた歴史があるんですね。名前を変えられた神の中には妖怪に身をやつした存在もいたと言います。その類の存在と言えば土蜘蛛とかが有名でしょうか。


 復古神道の流れの辺りから、古い神の復権が叫ばれるようになりました。封印された神と言えば、多くの場合は天津神に封じられた国津神の復権と言う事になります。その一番の大物の神が国常立命、素盞嗚命、艮の金神、天の日月の神等と呼ばれる大神様でしょう。


 神業は今も日本の各地で行われています。封印されたと言うのは忘れ去られたと言う意味でもあります。つまりこの神様は確かにこの地を守っておられた神様だと公表する事もまた、ひとつの封印開放となるのです。


 神様の歴史もまた人の歴史の一部です。何故なら神様は人が信じてこそだからです。神社の歴史を紐解けば、古代の人々の闘争の歴史を紐解く事にも繋がります。多くの人の欲望によって多くの神々が生まれ、また忘れ去られていきました。

 最も根本的で純粋な信仰の対象は、争いを好まない優しくて豊かな存在だったのです。そう言ったものは強い力に簡単に屈してしまいます。


 いつからそう言う神々の復権としての神業が始まったのか私はよく知りませんが、少なくとも明治の頃から平成の今までずっとそれが続いていて、まだ完遂と言う話を聞きません。それだけ日本は多くの古き神を蔑ろにしてきたのでしょうね。


 古き神の復権の動き自体は江戸時代末期から始まっていますが、時の権力者達が綺麗事にしてきた歴史の闇が暴かれた時、その時こそが本当の意味での神業の完遂と言う事になるのかも知れません。

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