魔術師でお菓子屋さん

卯月 唯

第1話 プロローグ


魔法によって創りだされ、そして壊され続けてきた世界、ノーマ


その最大の大陸に位置し、隣国関係にあるリアス王国とグレス帝国との100年にも渡る悲惨な戦争


小さな軋みから生まれてしまった悲しい歴史



数多の血が流れ、命の灯火が消え果てた死の境界線


その日、血塗られた境界線はいつもとは違う空気を纏っていた


大地が裂け、大気が凍てつき、世界が震えた


最強と呼ばれた勇者も、神に愛された聖女も、叡智を統べた賢者も


英雄達が次々に倒れ伏した、荒廃と化した戦場に独りで佇む魔術師


長きに渡って続いてきた無慈悲な戦争はこの独りの魔術師によって終止符が打たれた



リアス王国魔術師序列第1位


王国始まって以来初のそして最後となる魔術師階位最上位の「黒」にまで登り詰めた天才魔術師



唯一の黒の魔術師を人々は希望と畏怖の念を込めて次代へと語りつぐ



全てを可とする黒の魔術師の存在を


全てを無にする黒の魔術師の伝説を

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