-第24話-【The School Wars】

「いかにも、その通りだが?」


あまりにも淡々すぎたその声に、俺は唖然とした。


「橘、あんた本気で言ってんのか?」

「ああ、そうだが?」

「あのなあ……一応、同年齢こどもとして言わせてもらうけど、アンタ頭おかしいよ?」

「おいおい、トモダチになってすぐにそんな事言うなよー!」

「そーれーもー!あんた本気で死ぬつもりなの?てか、トモダチか!?」

「お前、さっき“その覚悟しぬかくごが無かったらここにいませんよ”とか言ってたろ。」

「あーもー!分かった!分かったから!」

「ならいい!言う事聞けよ?」

「はいはい分かったよ!」


全く、死ぬ直前の奴の言葉とは思えないんだよな、こいつは。ちょっとの沈黙があった後、2人で笑った。


「そうだ。お前に伝言を託していいか?」

「あんたそれ、伝言じゃなくて遺言な。いいけど何か?」

「お前を、次できる隊の副隊長に任命しても、いいか?」

「は?何いってんのあんた!?俺なんかが!?」

「ひでーやつだなー!そうだよ。お前がいいんだよ。今まで俺の事を心配してくれた人なんて、誰もいなかった。でも、お前は違った。お前は初めて俺に大丈夫か、なんて言ってくれたんだよ。嬉しかったよ。今までの奴は俺なんて学防隊の設立者ってだけで、死んだ所でどうとも思わなかった。最も、昔は“慈悲じひ”ってやつがあったらしいんだがな……。今はもう、親というものがないから、道徳とか、そんなのもがないんだよな。ほんとに、襲撃者の奴らは、俺達の、いや、人間を壊しちまったんだな。」


まさか、ここまで考えてるとはな。


「分かった。あんたのその意思おもい、俺か受け継ぐ。」

「おう!宜しくな!未来の副隊長!」

「なんか照れるな……。」

「お前意外とそんなキャラなんだな。意外〜!」

「うるさい黙れ!茶化すな!!!」


ったく、こいつは!でも、隊長たちばなにとって、いい時間になったらいいなと、思った。

ひと通りやり取りが済んだ時、ドアが思い切り開かれた。敵か?振り返ったところにいたのは…


「え?誰?」

「ったく、お前は……。こいつは、現副隊長な」


へー……。これが副隊長。そう言えば会議の時とかにいたような……。もはや会議など聞いていないに等しかったので副隊長の存在など忘れていた。


「は、はじめまして」

「お前、寝てたろ。会議の時」

「うっ……。ハイ……。」

「やっぱりな。まあいいわ、よろしく。俺は稲田いなだ和義かずよしだ」


渋いな……。なんちゅう名前だよ。内心笑いながら


「俺は高田翼です。い、一応次期らしいんですが……」

「お前もっと胸貼って言えよ!」

「橘、あんたなぁ、言われてものの10分そこらだろうが!」

「お前ら、めっちゃ打ち解けてんな」

「そんなことないわ!こいつ言ってることが無茶苦茶なんだよ!!!」


ひとしきりくだらない会話をした後、本題に入った。


「んじゃあ、翼。あのスイッチを出してくれ」

「これか?」


意外と重みのないスイッチを、コントロールパネルの平面の部分に置いた。


「そんで……」


橘が何やら機械の操作を始めた。


「こうやって…と」


突然、中央の大きなメインディスプレイが光り出した。


―――――――――――――――――――

-警告-

-WARNING!-


・この爆破により、当施設(学校・保護施設)は、完全に消滅する。

・爆弾の起動者が本起動を行い、もう一人の誰かが安全装置の解除、起爆を実施する。

・起動をすると、当爆弾のカウントダウンは解除できない。

・爆破一分前には、施設全体で警告放送を行う。

・当システムの起動者は最後までここにいなくてはならない。(装置の起動状況を確認する為)


爆破を実行する場合は安全装置を解除せよ

解除と同時に十分のカウントダウンを開始する


爆破まで

10:00.00


―――――――――――――――――――


やはり、少し怯えた。そんな気がする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る