3話ー2 赤煉と断罪と
「状況確認!どうなっています!?」
【
輸送機内で異変に気付いた当主の命で、すかさず現場周辺をスキャンする宗家部隊員。
弾き出された結果――部隊員が緊急を要する事態であると察知し、当主への返答を返す。
「現在テセラ様が、正体不明のアンノウンと交戦中!【
スキャン結果が光学モニターへ映し出されると、ヤサカニ裏門当主
「
すでに得ていた情報からの、大幅なズレを認識したヤサカニ裏当主は直ちに状況整理に入る。
――
――システムは【
――地球上において、確認される
情報のズレを修正し導き出された事態――恐らくは十中八九正確な解に近き状況を確信し、ヤサカニ裏当主は緊急の臨時対応を発動する。
「航空支援隊は現状の地域で待機!私が【ヤタガラス】で出ます!」
輸送機内のひときわ大きな機体に向かうヤサカニ裏当主。
通常のヤサカニ家陸戦部隊用ジャケットから、特殊パイロットスーツへ着替え目指した機体へ颯爽と乗り込んだ。
人型をベースに変形機構を軸とし、両腕部及び脚部が畳まれた高機動戦闘を想定した形状で待機するそれ。
エンジンの
完全な人型時全長は6~7m弱はあろう――細身だが複雑な機構を持つ機動兵装。
肩口と脚部に推進機を持ち――【三神守護宗家】が扱う物である事を示す、陰陽の紋が胸・肩・腰部のプロテクターに刻まれる。
そして、背部に折りたたまれた翼状の重力制御滞空ユニット。
『テセラ!聞こえますか……!いったん引きなさい!』
****
赤い稲妻、烈火の様な突撃。
赤髪の少女が私をどんどん追い詰めます。
ローディ君も、彼女に使えてる使い魔さんに
私の使える魔法術式は、ほとんど遠方からの砲撃ですが、大威力の物は使い魔の術式援護がなければ発動にとても時間を
今は、
でも――
「当たって……!」
空中での滞空状態から、背部より腰部へ囲む小径対空魔術砲――【
小径砲撃が弾幕を張るも右に左に舞う様に回避され――すぐに烈火の如き再突撃が来ます。
純粋な近接攻撃を持たない私の
おまけにローディ君が援護のため半物質化したのは、きっと私たちの作戦ミスだったと思えます。
戦闘する事は想定していましたが――コスモと言う少女にしか対応していない私達にとって、目の前の赤髪赤眼の魔法少女はとても手強い相手です。
――けど、さっきから二つの違和感が頭から離れません。
一つは敵対者の彼女との交戦していると、奇妙な――何かが同調している様な不思議な感覚――
一つは私が戦っているのは敵対者の魔法少女――でも、彼女が戦っているのは……相手にしているのはもっと別の――
『――セラ!
突然の通信に、敵対者の攻撃を回避しそこねそうになり――慌てて相手に対空射撃を浴びせて高空へ急上昇します。
「……
『それについては後で報告を……今はすぐに引きなさい!』
引けと言われても――「この状況から撤退は難しいのですが、」と返答しそうになった時、後方から数本の火線放火が敵対者を襲撃します。
さすがに私も驚いて、後方――
「え……えぇぇと……。あれは……?」
聞いてはいました。
けれど見たのは初めてなので、私はしばし時が止まってしまいましたが――すぐに気を取り直して使い魔君に連絡です。
「ローディ君……いったん引こう!今
『こちらでも通信を確認した!敵対者の使い魔も異変に気付いて退いたみたいだ――今すぐ合流して後退しよう!』
状況をすでに把握してか――ローディ君が素早い返答で対応します。
そして、すぐ私は使い魔君と
使い魔君は、半量子体・攻撃形態である大鷲等へ変化する際――私へ異存した
簡単に言えば――私が常時電源と繋がるパソコン本体で、使い魔君はケーブルを介して
必要な時に接続を切って、充電した力により制限付きで活動すると言う感じです。
その
きっと自分のミスだと落ち込んでると思います。
後で励ましてあげないと……。
****
『正体不明の魔法少女に告ぐ!こちらは日本国特殊防衛組織【三神守護宗家】!』
ヤサカニ家裏門当主が
『直ちにそちらの名と所属を明らかにせよ!そちらが展開する
その大きな要因として、人類の技術会得に対する
さらに【
その事態を重く見た【アリス】の協力者達が、【
大幅な制限の中には
が、ことこの技術においては、そのほとんどが魔界内での使用前提の技術――地球等の場所においての制限である事、適合者とその協力者が必要な点が重要である。
その
それにより、技術乱用の危険が限りなく低下すると考えられていた。
ゆえに――目の前の存在、赤髪の魔法少女の存在はあってはならない物である。
「――フンっ……仲間に守られ逃げおおせるとは。……魔族の王女とやらも大した事はないな。」
答える気はもうとう無い――そう言わんばかりに、敵対者の魔法少女が成り立たない会話を返す。
『こちらの質問に応じない場合は、【
ヤサカニ家当主の機体、【ヤタガラス】が火線連装ライフルを機体前方へ構え――眼前の魔法少女に照準を合わせる。
その時、赤髪の魔法少女へ別の場所から通信が入る。
『レゾン・オルフェス……【
すると、ヤサカニ家当主の声にはまるで耳を貸さない少女は、自分に届いた通信には希薄な感情へ変貌するも従順に従う。
「ハイ。すぐに帰還します、申し訳ありません。」
直後――振り返りざまに赤髪の魔法少女が、量子かく乱の術式を展開すると、周囲に協力なジャミング波が発生――
「くっ……逃がしは――」
追いすがろうと、機体を前へと出すヤサカニ裏当主。
――が、すでに敵の術式渦中にある
その状況を尻目に――悠々と敵対者の少女は撤退して行くのだった。
****
時にして、王女テセラが敵対者の少女の猛攻から逃げおおせた頃から
人類に害成す存在――野良魔族。
都心部において、野良魔族発生は増加傾向にあり、宗家の対応では手に余りつつあった。
魔族の王女の【
双方最重要事項であるため、まさに猫の手も借りたい状況であろう。
「ぐぅおおおおぉぉぉ……。」
だがそんな中――発生していたはずの野良魔族を貫く
「――クヒッ……!何……?この程度……?」
この時発生した最後の野良魔族が、都心の陰にあたる未だ再復興の目星が立たぬ区画で
その浄化を見届ける者――それは廃墟と化した高層建築の頂上で狂気の笑みと共に立っていた。
銀翼に二丁の銀霊銃――狂気の笑みとは対象的な、純白と銀色の神々しさを覚える軽甲冑。
そして、顔の半分を
「……ン~~すっきりした~。とりあえず今日の任務は終了……だよな?ちょっと疲れたし。」
最後の野良魔族を撃滅せしめた、狂気を浮かべる主の怒りを宿す天使。
その影が、憎むべき存在の浄化を見届けると――狂気の高笑いを残し、廃墟となった街並みから
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