スーパーロボットVS大界獣軍団
小田信永
第1章 あれは何だ? 流星だ!? 隕石だ!?
第1話 星見日和の夜に
今日の夜空に、曇りは無い。透き通った夜天が静かに広がっている。
星を見るには丁度いい。絶好の天体観測日和だ。
俺、
相棒の天体望遠鏡と共に、近くの山まで来た所だ。
この山は町から離れてるから、懐中電灯の光無しでは足元もよく見えない。
正直、この時間帯に来るのは危ない。
しかし、町の光もあまり届かないって事は、逆を言えば星を見るには
うってつけのスポットになる。
相棒の天体望遠鏡をセットして、レンズを覗き込む。
今日の星空は何時に無く心地いいものに思える。
空に曇りが無いおかげで遠くの星もよく見えるからだろうか。
「ん? なんだ今のは?」
遠くの方で、動く光が見えたような……?
「まただ!」
やっぱり見間違いじゃない。何か光っている物が動いている。
って言うか何? あの光、少しずつでかくなってきているような気がする。
――それってこっちに来てるって事じゃねぇかよぉ!
物凄い轟音と地鳴りが近くで響く。
近くに落ちたみたいだが……どうしよう、見に行ってみるか?
いや、でも危ないし、何があるかわかんないし。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□
「やっぱ来ちゃったよ……」
結局、そのまま帰らずに巨大な光の落ちた先と思われる場所を探している。
俺の目の前には月の光を反射して輝く広大な湖がある。
恐らくこの当たりに落ちたはずだが。
隕石も何も無い。めぼしい物はこれと言って見当たらない。
「あんれぇ? ここじゃないのかな?」
もっと遠くの方に落っこちたのかもしんないな。
そう結論付けた所で、突然湖に異変が起きる。
水面にボコボコと泡が立ち、何事かを思案する暇も無く湖の水面下から
巨大な何かがせり上がってきた。
「な……なんだ……こいつは……っ!?」
湖の中から現れた物は、異常としか言い表せないものだったた。
いや、これはなんだ? こんなものが現実にありえると言うのか?
俺の体の内を、一瞬にして恐怖が支配する。体が震えて、
呼吸すらも満足にできない。
俺の眼の前には今、辺りに聳え立つ木々の倍はあるであろう巨大な体をほこる、
蛸と烏賊を合わせたかのような化け物がいる。
およそ現実とは乖離した怪異。地球上の生物とは到底思えない。
「ハッ……ハハハハ……」
思わず渇いた笑いが出てしまう。
「冗談、だよな? こんな怪物の存在なんて……」
俺の震えた声に答える者はいなかった。
代わりに、俺の言葉を否定するかのように、この世の条理から外れた化け物が、
その風貌に違わぬ、歪な目で俺を凝視している。
ズルズルと体を引きずるように這って、目の前にある木を触手でへし折りながら
俺の方へと近付いてくる。
その動きにはどことなく生物らしさを思わせるものがあった。
今俺の前に広がっている絶望は、決して作り話では無いのだと、
そう思わせるには十分な動きだ。
黒板を引っ掻き回したような、耳に障る奇声を上げながら、化け物は触手を
ゆっくりと俺に向けてくる。
腕にびっしりと張り付いてる吸盤が脈打つように蠢き、総毛立つ
悪寒を俺に与える。
今これから訪れるのは確実な死。あらゆる希望を根底から打ち砕くほどの
巨大な闇がすぐ側まで迫ってきている。
絶望が俺の体を満たそうとしたその時、上空から眩い光の刃が飛来し、俺に肉薄していた化け物の腕を切り落とす。
「なんだ!? 一体何が起きているんだ!?」
俺は光の刃が来た方角――空へと視線を向ける。
「アレは……巨大な人間?」
空には、巨大な人型のロボットが月を背にしてこちらを見ている。
周囲には月の光でも霞む事のない、青白い光の粒子が放出されていて、
さながら翼から舞い散る羽を思わせる。
月の光を反射しながら、ロボットがこっちへと向かってくる。
轟音が山に木霊し、地面が大きく揺れ動き、土煙が舞い上がる。
周辺の木より巨大な体を持つ化け物と比類しても尚、遜色の無い
巨躯をほこるロボットは、俺と化け物の間に割り込むように立っている。
化け物は残されていた腕をムチのようにしならせて、
ロボットへと打ちつけようとするがロボットはその攻撃を易々と受け止める。
化け物の腕を掴んだロボットは、掴んでいる化け物の腕を振り回して宙へと
勢い良く投げ飛ばす。
再び光の刃を形成して、図体とは裏腹の、軽やかな動きで急速に化け物へ接近。
一閃。怪物の体を光の刃が真一文字に駆ける。
怪物は、体を二つに分断され、断末魔を上げる暇も無く爆散する。
「やった……のか……」
まだ目の前の光景が受け入れられない。今の状況は幻なのか、
それとも現実なのか?
その答えを見出す前に、鋼鉄の巨人は空へ飛び立ち、どこかへ去って行った。
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