「地球最後の日」音楽詩編集

やましん(テンパー)

第1話   「第九交響曲」(ベートーヴェン)

 地球が終わるのならば、最後は「第九」に決まってますわ。

 思いっきり歌い倒してあげようじゃない。

 あの、第四楽章終末の投げ飛ばすような音が終わった次の瞬間に、地球は終わるの。

 な、なんという素晴らしい終わり方。

 最高のエクスタシー。

 これこそ、ベートーヴェンの精華。

 え、日本人的じゃないって?

 ここでは、それは関係なしよ。

 最高の歓喜のうちに、すべての人々は消え去るの。

 何という、最高の舞台でしょう!

 これ以上の音楽などあり得ませんわ。


 始まりがあれば、終わりがあるのは必定よ。

 皆さま、「第九交響曲」のテキストをもう一度御覧なさいませ。

 シラー様が書いた原詩は長く、日本語訳で読みましても、なんだかとっても難しい。

 でも、皆さま、今日、地球が滅亡する、自分も消滅する、というお立場で、読み直して御覧なさいませ。


 自分たちが求める、最高の存在は、地球ではなく、未知の宇宙にあるのです。

 世界は創造主を予感し、星々の上に、彼は住まうのです。

 そうして私たちは、その至高の何かを求めて、いま、飛び立つのです。

 「星空の彼方に、至高の存在を求めなさい! それは、星の彼方に、きっと存在しているのだ!」・・・・と!


 自己にあっても、全てにあっても、終末を歌い上げるのに、この作品以上のものはありません。

 人間は、ここにおいて、自分たちを制圧してきた、あらゆるものを超越し、真実の元へと旅立つのです。

 それが、歓喜であると、ベートーヴェン先生も、おっしゃるのです。

  

 ですから、この「第九交響曲」は、ただ「祝祭」の音楽であるのではなく、まさに、「終末」の歓喜を歌い上げる音楽なのですわ!


 おっと、でも、だからと言って、終末をわざと早めたりなんかしないでくださいませね。

 まだ、食べたい美味しいものが、沢山ありますの。

 日本三大焼きそばも、まだ食べて無いし。

 









 

 


 







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る