ACT27 ハリウッドスターは好敵手?
プロだなんて滅相もない。ブンブンと首がもげるかと思うほど振り回した。
明確な拒否の意思表示――だったはずなのだが、「ノープロブレム! 何も問題ないわ」と自信満々に答えるシェリル。
アナタになくても私にはあるのよッ!
魂の叫びは誰にも届くことなく、私の心の内で鎮火した。
目の前の二人は私の話など聞く気が無い。聞いてくれたところで事態は好転しないだろう。
二人とも私以上に我が儘なのだ。
「もちろんタダでとは言わないわ!」
ウィンクを飛ばしながら鞄の中を探り始める。
綺麗に梱包されていたであろう包み紙には……ユーリ様&カグラ様!?
もしかしてついに全米デビュー!?
「ジャジャーン!!」
ユーリ様とカグラ様とを引き裂いてユーリ様&カグラ様の登場。ちょっとしたマトリョーシカ状態である。
見たことないデザイン。限定版? いや、全てのユーリ様とカグラ様グッズはコンプリートしている。自称日本屈指のファンである私が限定版を見逃すなんてことはありえない。
「特注品よ」
じゅるり。
国民的女優には似つかわしくない効果音が……気のせい気のせい。
舌なめずりしただけだし、そんなに音がするはずが……(じゅるり)あった。
「今回の話を受けてくれたら……」
「受けます!!」
「そ、即答ね……」
あ、引かれてる。
「OK! 商談成立ね」
手を差し出される。
私も同じように手を差し出した。
言葉は要らない。
互いが互いの手を握った。
とても力強く。握った。
互いに小さく笑い合った。
運命共同体としての一体感を感じていた。
「それじゃ、今度は現場で逢いましょう」
「ええ、今度は現場で」
力強く頷いた。
「もちろん初対面の
「わかってる」
班とは判ってなかった。指摘されてなかったら普通に知り合いとして話しかけてたかも。
「よかった。貴女には期待しているのよ。だってアナタは私のライバルだから。でも、
バ~イ、と手を振りながら帰っていく背中をただ茫然と眺めていた。
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