第244話 機械オタクのパラダイス
「なら吸気を魔法で強制冷却して」
「MJ管で圧縮吸気デスか。パワー伸びるデス」
「キャブの一部だけはあえて30度位に保温して気化促進させるか」
「なら別パイプで冷たいフレッシュエア導入して混ぜるデス」
「とりあえず理論空燃比よりやや濃い目にしておこう。焼き付くとまずい」
「あと排気系も負圧かけて一気に抜くデスか」
「あとエンジン本体の強制冷却な」
ロビーのバイク改造計画が進んでいる。
エンジンは魔法仕様インタークーラー付スーパーチャージドエンジンになる予定。
駆動系は元々もっと大きいバイクからの流用なので余裕はある。
しかしこうやって弄るとやはり内燃機関はいい。
パワーの出方が電気や魔法動力と比べて官能的なのだ。
今はロビーと会った当日の、会食1時間後である。
会ったばかりだし学年も違うが既に俺とロビーはマブダチ状態。
まあソフィーはじめ学生会の他の面々には生温かい目で見られているが。
「何なら課題で使えそうな汎用エンジンでも調達しておくか。俺はモーター派だったから汎用エンジンの在庫は無いしな」
「いいデスね。ホンダかヤマハかあたりの400ccクラス、2~3台あれば何でも作れるデス」
「なら早く注文しておいたほうがいい。汎用内燃エンジンはここでは買えないからな。発注して1月待ちなんてザラだし」
「そうデス。なら後でカタログ見て代理店注文しておくデス」
「絶対早いほうがいい。他にも自分で使いそうな材料があったらさっさと注文かけておいた方がいい。100万位なら気にせず言ってくれ。個人発注ができない店も会社発注できる」
「いいデスか」
「色々あって会社を作ってさ。それ位なら研究開発費という事で……」
会社の定款には
○ 魔法を使用した機械及び器具の開発販売
とか
○ その他機械類の販売
もちゃんと入れてあるので問題ない。
この辺は俺が1~2年の頃、通販で汎用部品を購入しようとした際に『個人への販売はできません』と断られた経験から入れたのだ。
そのうち魔法工学科全般への販売も計画しようかな。
需要があるかはわからないが。
「そこ、怪しい相談をしない!」
「あれが社長、俺は平社員。でも開発関係と会計関係は俺の特権」
「どういう世界デスか」
「後でゆっくり話すさ。まずは……急ぎは発注かな」
新たに購入した会社用会計及び在庫整理件発注用ノートパソコンを起動する。
ちなみにデータそのものは魔技大のクラウド保存だ。
企業用HPを開くと、色々面白そうな商品が出てくる。
そして往々にして必要十分な物よりいい物にも目移りするのが人ってものだ。
「ヤマハ400ccの横軸タイプ、これ押さえておいたほうがいいよな」
「一番使い易いタイプデス」
「よし2基押さえておくと、あとは大型行っとく」
「いいデスか、高いデス」
「ああこんな処にクボタの1600の在庫が……ぽちっとな」
「ああなんとテリブルデス」
「あとは小さいのはどうする」
「補機の大きさを考えると、あまり小さいの必要ないデス。基本400の横軸タイプ2つあればいいデス。空でも飛ばすか車でも作らない限り1600は……でもいいデスね」
「補機類。どうする」
「とりあえずはいいデス。インタークーラユニットは魔法で代用デス。ターボも魔法でスーパーチャージドした方が楽デス」
「あまり使わない物買ったら修兄に買い取って貰いますから」
「了解了解」
香緒里ちゃんの指摘も軽くいなす。
ちなみに俺のライセンスその他も会社管理にしてある。
香緒里ちゃんの刀についても俺の杖やお守りについても同様。
ひとえに税金対策だ。
法人税と個人の税率の違いは結構大きい。
勿論稼がなければ個人でも税金は0だけど。
なお詩織ちゃんは既に指導教官兼オヤジの税金対策会社社員扱いとの事。
あのオヤジもなかなかしっかりちゃっかりしていやがる。
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