〈 Mayday 〉

徹乃掟

1.Mayday

0.

 ここに書き残すこと。


 それは敗者の記憶。


 そして逃亡者の記録。



 私と違ったあの人は、


 とても頭が良くて、


 とても優しくて、


 とても強くて、


 私とはあまりに非対称的アシンメトリー


 同じところがあるのなら、


 それはきっと嫌われものなところ。


 あの人と一緒に歩きたくて、


 あの人と二人で話したくて、


 あの人といつまでも、いつまでも、


 手を繋いでみたかった。


 ただそれだけなのに、


 みんな許してはくれなかった。



 ———————————————————————




 あの時の私って、きっとどうにかしてたんだ。


 だって、あんなといつも一緒にいたのだから、直ぐに気づくはずだった。あぁ、この機械はなんだなって。


 言い訳はいくらでもある。けれど本当に、最後まであれの危険性こわさに気づくことはなかった。


 何故って?


 私が一番に優しくあまやかされていたから。


 けれど、あれは本当に優しかった。


 本当にね。















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る