極運一

池田蕉陽

第1話 実力より運


宇宙一最強は誰だと聞かれたら俺は迷わず俺と答える。

なせなら俺はこの世で一番運がいいから。

実力が最強?バカを言え。

所詮実力は運に劣る。

その証拠として、おまえら読者に俺の奇跡を披露しようと思う。俺が最強だということを。

せいぜい大型の車が1台が通れるそこそこ狭い道路で、俺はぐーぐー寝息をたてて眠っていた。

アスファルトで作られた地面は、太陽で温められ、床暖房のように暖かったのでついうとうと寝てしまったのだ。

アスファルトの地面と摩擦しながら何かが近づいてくる。その音で俺は目が覚めると、数メートル先から大型トラックが1台ものすごいスピードで突っ込んできた。しかし俺はそれに対して焦りも驚きもしない。ただ、再び寝りにつくだけ。こちらに徐々に迫ってくるエンジン音は、やがて俺の直前で乱れる。

薄らと目を開けると見えるはずの青空は見えなかった。代わりにあったのは、大型トラックの部品が丸見えな裏部分が、右から左へと一瞬にして過ぎ去った。どうやら俺の直前に何故か放置されたあった大きめの石とタイヤが接触して、そのまま石をジャンプ台のように使い、俺の真上を通り過ぎたのだ。

上手く着地が出来なかった大型トラックはバランスを崩し、横に傾き、ものすごい地面との衝突音がなる。

トラックは数メートルその状態で滑っていき、やがて止まる。

丁度いいアラームだったな。目を完全に覚ますとそう思った。

ゆっくりを腰を上げ立ち上がると、一つ読者に言い忘れていたことを思い出す。


俺は運がいいだけじゃなく、人の運を吸い取って俺のものに出来る。

転倒したトラックを背景に、俺は映画のワンシーンの如く歩き去っていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

極運一 池田蕉陽 @haruya5370

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ