天才! 松戸才子まーち
ますだじゅん
第1話「早く人間になりたい」
一
「えー、それでは転校生を紹介する」
かなり枯れた感じの先生の声。
ぼくはさっそうと教室の戸を開けて、黒板の前に歩みだした。
学生服の集団が、一斉につまらないそうな視線を浴びせてくる。
「えーと、このたび転校してきた多久沢優一(たくざわ ゆういち)くんだ。多久沢くん、自己紹介を」
じいさんの先生が、一人だけ落ち着いた態度でそう言った。
ここで一発決めるか! ここでどういう自己紹介をするかで、この学校での人生がもう決まっちゃうもんね!
前の学校みたいに、いきなり自己紹介で好きな特撮の話しちゃって、調子になって主題歌まで熱唱し、あだ名が「メガレンジャー」になっちゃうような失敗は避けるぞ。
そうだ、ぼくは生まれ変わったんだ。前の学校にいた時みたいに、「なんか多久沢ってさー、近寄ったらオタ菌が伝染しそうなんだよねー」とか女の子に言われたりしないような人間になるん だっ。
だいたいオタ菌って何だよ。そんなもんが実在するなら秋葉原はバイオハザード爆心地じゃないかっ。
ぼくは、こないだ大量に買い込んだ本のことを思い出した。
「オタ卒業」
「オタはやめられる」
「早く人間になりたい」
「なぜあなたには彼女ができないのか」
「駄目人間の恋愛講座」
これらの本をレジに持ってったときの店員の顔が忘れられない……!
あの屈辱は無駄にはしないぞ!
ぼくはかつてないほどの決意と自信を胸に、教卓の前に立った。
そのときボソリと、クラスメートの誰かがいった。
「なんだ、男か」
誰かが言った。ぼくは脊髄反射で叫んだ。
「男で悪いかっ!」
……はっ。思わずZガンダムのネタをやってしまった。ぼくのバカ。もう、こういうオタクノリはやめるって決めたのに。
弁解しなきゃ、ガンオタだと思われる!
「ちがいますみんな! いまのはZガンダムの台詞を引用したわけじゃありません ごくフツーにそんな感じの言葉が出ただけです! 誤解です! ぼくはガンオタじゃありません!」
ポカーンとしている教室の人達。
「あ、あれ……?」
し、しまった、もしかして普通の人は『男で悪いか!』でガンダムなんか連想しない!
黙ってりゃバレなかった! 一言でいって自爆!
なんとか取りつくろおう!
『オタ卒業』第1章15ページに書いてあった『キラリとクールに爽やかな挨拶で君もバカウケ』を実践だ!
奥付が「昭和63年初版発行」になってるのが気になるけど、でもこの本はベストセラーだ、きっと信頼できる!
「フッ……始めまして、というべきですかね……しかし人間とは……」
ニヒルっぽい声を作ってマニュア通りの挨拶を始めた。 その時、教室の一番すみっこの方で交わされていた会話が耳に入ってしまった。
『なあ、さっきのゼータガンダムってなに?』
『しらねー。ガンダムに種類なんかあるの』
『よくわかんない。だってどれもロボットがピコピコ撃つ奴でしょ』
頭が真っ白になった。脳味噌の中でスパークが走った。ぼくは猛然と、その二人のいる所にダッシュした。
そして両手を振り回しながら独演会を始めた。
「違うんだ! 君は何もわかってないっ! そもそもガンダムとは!(二十行ほど略)つまりニュータイプ論が!(三十行ほど略)それに対しサンライズのスタッフ が!(十七行ほど略)そしてファンはあくまで商品として(五十行ほど略)宇宙世紀におけるセンチネルの位置づけは(十八行ほど略)つまり! ガンダムと は!(最初と同じ話を繰り返す)」
ぼくの新しいあだ名は、「ガンダマー」に決定した。
二
ぼくは机に突っ伏していた。
放課後になったが、そんなことはもうどうでもよかった。
「あの子すっごいオタクなんでしょ」
「そうらしいよ。なんかガンダムの話させると五時間は一人でしゃべってるんだって」
「おれの聞いた話では、ズゴックの爪をオカズにご飯三杯はいけるってさ」
「一年戦争を世界史の教科書に載せるべきだとか言ってたぞ」
ああ。だれかがぼくの事を噂している。
いつのまにか話に尾鰭がついて大変なことになってる。ぼくはそこまで重度のオタじゃないのに。
別に世界史の教科書に載せる必要はない、副読本くらいでいいと思ってるのに。
こんなんじゃ、普通の高校生になってモテモテライフを送るって計画は台無しだ。
ぼくはフラフラと体を起こし、やっぱりフラフラと教室から出た。
ああ、もう帰ろう。
やっぱりあの時、占い師に言われたことは事実だったのか。
……「ぼくの二年後の彼女を占ってくださいよ」
……「むむっ彼女とな。なんと! 二年後、おぬしの彼女はモニターの中におるわ!」
……「それ彼女って言いません! じゃあ五年後はっ!?」
……「むう……見えた、見えたぞ。おお、おぬしが美少女フィギュアのスカートを下から嬉しそうにのぞいている姿が見える。これがお主の彼女のようじゃ な。どうやら二次元からは卒業したようじゃな」
……「じゃ、じゃあ十年後は!」
……「見えた、見えたぞ。おお、これは抱き枕! お主は抱き枕を……ぬおお、抱き枕にあんなことまで!」
……「もういいですっ!!」
……「しかし、とても幸せそうな表情をしておるぞ?」
……「だから嫌なんですっ」
そんな人生送るのは嫌だと思って、それで普通の男子高校生になりたくて。この学校なら、昔のぼくのこと知ってる人は誰もいないから、きっと変われると 思ったのに……
校舎をあてどもなくさまよった。
気が付くと、自分がどこにいるのかわからなくなっていた。
「そこのあなたっ」
女の子に呼びかけられた。
きっと幻聴だ。こんな奴に声をかけてくる女の子なんているはずがないさ。恋愛シミュレーションのやりすぎで幻聴が聞こえるようになったのさ。
でも、どうせ聞こえるなら、こんなキンキンしたコザエツ系の声じゃなくて、もっと優しくて甘い声が……
「そこのあなたっ!」
……妙にリアルな幻聴だな。
ぼくは振り向いた。
そこには、幼い声にふさわしい子が立っていた。
身長せいぜい百四十センチ。フレームの細い丸眼鏡。二本お下げ。床に引きずった、体格に全然合ってない白衣。
科学者ごっこをしてる、小学校高学年の女の子に見えた。いや、女の子がそんな遊びするとは思えないけど。
……どうしてこんな小さい子が高校にいるんだ?
「ああ、やっと気づいてくれましたねっ。うれしいですよおっ」
白衣の女の子は、超音波声をさらに強める。眼鏡の向こうにある大きな眼を見開いて、ぼくのことをじろじろ見る。
「……なに?」
「ずばりあなた、モテない人ですねっ!?」
いきなり何を言うかああああっ!
「なっなっ、なっ! そんな事はないっ!」
「じゃあ、モテモテですかあ?」
「モテモテだっ」
「でもお……」
と、その女の子は白衣のポケットから奇妙な機械を取り出した。ビデオのリモコンみたいな細長い箱形をしている。彼女がその機械をぼくに向けると、機械は 「ビーッビーッビーッ」と耳障りな音を発した。
「ほらあ。このダメ人間カウンターによると、あなたのモテナイ率は四〇〇パーセントを超えているんですよおっ?」
「な、なんだよモテナイ率って?」
「その人間がいかにもてないかという数値ですよお。ちなみにそれが四〇〇パーセントということは、一生モテないどころか四回生まれ変わってもまだモテない ことを意味してるです」
「な、なんでいきなり見ず知らずの人にそんなこと言われなきゃなんないんだよっ。っていうかあんた誰だよっ」
「はう? ああ、言ってなかったですねっ、才子はこういう人です」
白衣のポケットをゴソゴソ。名刺を出した。
「名刺?
綾椎(あやしい)高校三年二組……
科学部部長
天才科学者
松戸 才子(まっど さいこ)……。
って、おい、三年生っ?」
「そうですよお?」
「わかった、小学校の?」
「高校ですっ。あなたより二つも上なんですよおっ。松戸先輩って感じですよお」
「……どうしてぼくが一年生だって知ってるの?」
「生徒のことはすべてうちの部のデータバンクに入ってますよお」
「どうひいき目に見ても一〇歳くらいにしか見えないんだけど……天才科学者だって?」
自分のことを名前で呼ぶあたり、精神年齢はもっと低そうだ。
「ですよお」
「この、泣き系エロゲーに出てくる萌えキャラみたいな喋り方の女の子が?」
「……あなたがどうしてモテないのか、今の台詞でだいたいわかったです」
「……失礼な奴だな」
「失礼なのはあなたですよお。あんまりヒドいこと言うと、あなたを実験体一八号に任命するですよお?」
「なんだよ実験体一八号って? 一七号までいたわけかっ?」
「一七号は、このあいだまでうちの部にいました。才子の実験によくつき合ってくれる、立派な部員でした。アンテナを脳に立てて操ったりしなくても、ちゃん と働いてくれたんですよお。あなたの犠牲は無駄にはしないです」
「あ、あの……言ってる意味がよくわかんないんだけど……もしかしてその十七号っていうのは……」
「あっ、死んではいないですよ? むしろ普通の人間より死ににくい体になりましたっ。ただ、少しだけ人の形を失っちゃっているだけですよおっ」
「……ぼく帰る」
こいつと一緒にいると大変なことに巻き込まれそうだ。
足早に歩き出す。
「モテモテになりたくないんですかあ?」
ぴたっ。ぼくは足を止めた。
「多久沢さんは転校生ですよねえ? まだどこの部活にも入ってないですよね? いま、科学部は部員が才子以外いなくなってすごく困ってるんですよお。科学部に入ってくれれば、アメンボだってオケラだってモテてモテて困っちゃう方法を教えるです」
「……ホントかっ」
振り向いて彼女に向かって二、三歩歩みよる。
「うわ、きゅぴーんって感じですよお。ホントです」
「その方法とは!」
「その前にこっちにサインをして欲しいです」
松戸才子が白衣のポケットから出したのは、四つ折りにされた紙。広げると「入部届け」だった。
サインを済ませたあとで気づいた。なにやら物騒な一文が添えられていることに。
『この入部により私の生命・精神・社会的地位・魂その他にいかなる破滅的な損害が生じたとしても一切の責任は問わないことを誓約します』
「なんだよこれ!」
「書いてある通りの意味ですよお」
「死んだりするのか!」
「大丈夫ですって。そういう時にはちゃんと処理しますから。才子こう見えてもマッドサイエンティストのはしくれです」
「処理ってなんだーっ!?」
「処理は処理ですよお」
彼女のメガネが不気味に光った。
入部届けを破り捨てた。
「はうー!。なにをするですか。ひどいです!」
「帰る。ひとりでモテる努力をする」
「あなたがモテないのは努力でどうにかなる問題じゃないですよおっ」
「その言い方がなおムカつく!」
「じゃあ、先に才子が多久沢さんを見事モテモテにしてあげるです。結果が出れば文句ないですよね?」
「ああ、本当にモテモテにしてくれたなら」
「簡単なことですよお。とりあえず部室にいきますよおっ」
「部室?」
「科学部の部室です。すぐそこですよお」
三
確かに、科学部の部室はすぐそばにあった。
「普通、科学部って生物実験室とかを借りるんじゃないの。専用の部屋があるなんて恵まれてるね」
「それだけ才子が優秀だということですよおっ」
「部員が一人しかいないのに?」
「はう……とにかく入るですよお」
科学部の部室は、マッドサイエンティストらしからぬ普通の教室……と言いたいところなんだけど、戸の上にこう書いた紙が貼ってあった。
「この門をくぐる者、すべての希望を捨てよ」。
「……」
「どうしたですかあ?」
「やっぱり帰っていい?」
「モテモテ人生とダメダメ人生どっちがいいですかあ?」
「……わかったよ」
部室に入ったとたん、凄まじい異音と臭気がぼくの五感を刺激した。
「うわあ……」
そこらじゅうで、訳の分からない機械がウオンウオンと唸っている。毒々しい色の液体がゴボゴボ泡立ってる。
「いかにも……」
「そう、いかにもって感じですよお。才子って基本に忠実なマッドサイエンティストなんですよお」
「で、モテは?」
「簡単なことですよお。フェロモンですっ」
「フェロモン?」
「動物はフェロモンという化学物質を出して異性をひきつけるんです。才子はこないだ、超強力フェロモンの合成に成功したですよ。これはもう異性の性欲を刺 激しまくって、いつも多久沢さんが夜中に考えてるようなことを実現させるです」
才子は勢いよく、白衣のポケットからガラス瓶を取り出す。
手から瓶が滑り落ちた。
がしゃっ。
ぼむっ!
もくもく。
「……爆発したね」
「はう。爆発しましたねえ」
「煙が出てるね」
「出てるですねえ」
「床に穴が開いてるよ」
「才子は基本に忠実ですからっ!」
「なんの基本だよっ」
「爆発しない発明なんて!」
「だからこれのどこがフェロモンなんだっ」
「間違えただけですよお。ええっと。これは……腕が四本生えてくる薬だから違いますね。これも……デンデンムシに変身する薬ですね。これはどうでしょ う……性格が反連する薬ですね……こっちのは……頭からパックンフラワーが生えてくる薬でした……」
次から次へと、才子はポケットから瓶を出して机にならべる。
机の上は見る見るうちに瓶でいっぱいになっていった。
「……あのさあ、どうしてそんなにたくさん入るの?」
「このポケットはですねえ、『異次元ポケット』という版権的にギリギリなネーミングの代物なんですよお。異次元につながっていて、どんなにたくさんのもの だって入れることができるんです。まあ、たまに入れた覚えがない変な生き物とか出てきますけど……まあ、そのへんは異次元ですから!」
「納得するんかっ」
「あ、あった。これですよお。超強力フェロモン! さっそく使ってみるですよ?」
渡された瓶の中には、薄紫の液体が入っていた。
「あやしい……」
四
と言いつつも使ってみたくなるあたり、ぼくはかなりダメな人かも知れない。
教室に戻ってみると、まだ女子が何人か残っていた。下校するでも部活に行くでもなく、友達とだべっている女の子達。彼女たちは、ぼくが入ってくるなり一 斉に顔をそむけ、あるいは声をひそめた。
「……うわ。多久沢だよ」
「帰ろうよ。あいつと口きいたらオタ菌がうつっちゃうよ」
もう言われてるー!
「っていうかガン菌だろ」
ガン菌って何だー!
「だよなあ。多久沢ってズゴックの爪でご飯六杯食えるんだろ」
増えてるー!
「お、おまえら。よくみてろよっ」
ぼくは彼女たちの前に立ち、胸を張った。
「ぼくのことを、オタとかキモイとか臭いとか言ってられるのも今のうちだ。ぼくはこのフェロモンの力で生まれ変わるのだーっ!」
瓶の中身を、頭から盛大にぶっかけた。
とりあえず爆発はしない。全身が濡れて、妙な香りが周囲に漂いはじめた。
さあ、効果を発揮してくれ、フェロモン! 異性の性欲を刺激するんだ!
とたんに彼女たちの様子が変化した。
とろんとした目つきになるもの、眼をうるませるもの……ハアハアと荒い息をしはじめる者。
「た、多久沢くん……」
そう言ってぼくにすり寄って来たのは、さっきまでぼくを絶対零度の眼で見ていた、ロングヘアの女子だ。
うおおおおっ! すごい効き目!
「ど、どうしたんですか粟野さん」
つとめてクールをよそおいつつぼくは問いかけた。
間近で見ていると、粟野さんは今や、夢見るような表情だった。
いける。これはいける。すごい。
「あなたを……あなたを食べたいの!」
いきなりそこまで行くかああああ!
少年誌なのに! 少年誌なのに!
「ずるい! 独り占めするなんて! わたしもよ!」
「そうよ! わたしも多久沢くんが欲しい!」
……!
ぼくは感動のあまり立ちすくんでいた。
「ねえ、多久沢くん!」
「……は、はいっ」
もうクールもへったくれもない。
「もう我慢できないの! いますぐ服を脱いで!」
「どえええええっ!?」
それはちょっと、まだ何もしてないのにそれをやっちゃうってのはさすがにちょっと、いやその、やりたくないってわけじゃないんだけど、いやほら、その前 に色々、ね?
「えーとその」
意味も両手をひらひらさせながら言い訳を考える。何も出てこない。
「お願い!」
「だから、あなただけなんてずるいわよ! わたしにも多久沢くんを味見させて!」
「そうよ! いますぐここで脱いで!」
「いや、でもここは教室だし!」
「そんなこと気にしないわよ!」
ああ、どうすればいいんだ。まさかここまで効くなんて想像もしていなかったぞ。ああ、でもここで拒否するのはむしろダメな気がするぞ。よしっ、ぼく も……ああ、でもいきなり複数なんて!
「美弥子、いますぐ家庭科室いって!」
「うん! すぐ戻ってくるね! それまでとっておいてよ!」
は? 家庭科室? ぼくの知る限り、家庭科室には、こーゆー時に使うものはないぞ。あえていうなら、保健室にだったらあるかも。
「フォークとナイフと、それから調味料一式よ、必ず持ってくるのよ!」
ふぉ、ふぉーくとないふううう?
「ま、まさか……」
「どうしたの多久沢くん。あたしたちに食べられたくないの?」
「あのー、その食べるっていうのは、文字通りの意味?」
汗をダラダラ流しつつ訊く。
「もちろんよ! さっきからそういってるじゃない。もう、どうしても我慢できないの!」
じゃあこのフェロモンは、もしかして……
性欲じゃなくて食欲をかき立てる、超強力な薬かーっ!?
ぼくは走って逃げようとした。だが後ろから抱きすくめられる。足にしがみつかれる。フェロモンのせいで特別な興奮状態にあるってことだろうか、すごい馬 鹿力だった。ぼくはすぐに床に押し倒された。
上履きを、上着を、そしてズボンを脱がされる。パンツに手がかけられた。体をよじり、腕を振り回して抵抗しているのに、彼女たちはやめてくれない。
「めぐみ! フォークとナイフ来たよ!」
「よし! ちゃんと人数分あるな!」
「うん! スパイスも各種そろってるよ!」
「完璧だ!」
うわああああ!
「いただきまーすっ!」
喰い殺されるー!
その瞬間だった。
戸が猛烈な勢いで開け放たれた。消防服と宇宙服が混ざったようなものを着た誰かが飛び込んできた。
その誰かは、ノズルみたいなものをこっちに向けた。
ノズルから噴き出す白い煙!
女の子たちはバタバタと倒れていく。
「なんだ? なにがどうなってるんだ?」
「無事でしたかあ? 助けにきましたよお」
よく見ると、その「誰か」は妙に背が低かった。そしてキンキン声。たぶんこの服は化学防護服とかいう奴だろう。そして中身は才子だ。
「あ、あ、あんたなあ……」
「はい? 中和剤をたっぷりまいておきましたから、もう普通に戻るはずです。……はうーっ! 変なもの見せないでくださいっ! 早くパンツはくです!」
「誰のせいだよーっ!」
白い霧が晴れた。
女の子たちが一人また一人と意識を取り戻す。
そして見た。素っ裸で倒れているぼくの姿を。
「へ、変態いいいいっ!」
こうしてぼくのあだ名は「変態ガンダマー」になった。
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