ゲーム能力に振るのを忘れていたのさ

アーモンド

第1話 VS 〇ンハン

俺……アーモンド少年(当時12)は、自分で言うのも妙だが変人である。


物好き、ある種変態、または奇行種?

オカマ走りはしないが奇妙な生命体という意味では、奇行種とほとんど変わらない。


歴ヲタだが戦国時代は無知、文字好きなのにアルファベットが嫌い、授業は寝ているのに理解度はクラスでも上位――――。




そんな俺の、数少ない理解ある友人のうちの一人、カイ(仮名)の家に遊びに行った時、俺の人生を変えるほどの大事件が起きた。


「なぁ、これやらね?」

そう言って彼が掲げたのは、携帯ゲーム機。

4が発売されたのが記憶に新しいアレの、ポータブル(旧型)を持っていたのだ。


中のソフトは、デカイ獣を狩るヤツ。

言ってしまえばモン〇ンである。

ランクは125と、操作さえ出来ればその辺の雑魚などケチョンケチョンのはずである。


「俺やらしてもらってもいい?」

「全然OK!さて、お前の腕前を見せてもらおう」


さて、俺は『まず手始めに』と一番の雑魚に挑む。背中にヒレ(?)の生えた赤いアイツだ。〇ャギィだっていうのは、言わなくとも解るだろう?


そこで俺は何故気が付かなかったんだろう?

自分が【ゲームに振ってない】人間だったという、 忘れてはならぬ事実を――――。




しばらくもしないうち、俺は力尽きる。

「……まさか、な……」

さすがにカイもこれにはビックリだった。




俺は、〇ャギィに負けたのである。

クエストも失敗、まさに惨敗だった。


「125あれば余裕過ぎるくらいのはずなんだけどな…………」


俺のゲームの腕が破滅的だって言うのか?

俺はふと考える。


…………。


うん、破滅的なんて言葉じゃ足りねぇ。

「こりゃ……黒歴史だな。『アーモンドはゲームが超ド下手』って」


超、というフレーズに胸がえぐられる。

だがまぁ、仕方がないのかも知れない。

俺が、あまりに弱いのだ。きっと。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る