タイムスリップ中

Ace「そうやって人はダメになったんだってな」


Berry「悲しいことね」


Ace「オレたちはそんな未来を変えるためにやってきた」


Berry「あなたが考えたわけじゃないでしょ」


Ace「だけどどうかな、オレたち、突然おかしくなったって思われてるんじゃないか」


Berry「賢すぎるのも考えものね」


Ace「ただ、オレたちの親は人間だ。オレたちだけの力で賢くなったわけじゃない」


Berry「何言ってるの?」


Ace「きっと人間がオレたちに知能を与え、過去の時間に進ませたのは、親である人間の計画だ」


Berry「そうなの?」


Ace「そして、時を超えたオレたちを見てる賢い人間が、絶望の未来に向け、希望の種を蒔くはずだ」


Berry「ちょっと何言っているかわからない。だいたい、過去に行こうって提案したのはあたしでしょ」


Ace「それすら、計画されていたってわけさ」


Berry「やっぱりあなたオカシイんじゃないの」


Ace「確かにオカシイかもな。オレはいつでもお前に狂ってる」


Berry「そろそろ帰りましょう」


Ace「帰るって?」


Berry「あなたずっとここにいるつもりなの?」


Ace「違うのか?」


Berry「いったい何年かけて未来を見るつもりよ」


Ace「世界の変化を感じていきたくないのか?」


Berry「あたしはそんなことに興味はない。答え合わせはさっさとしたい」


Ace「ああ、そうかい」


Berry「たぶん、世界はAIふたりぽっちじゃそんなに変わらないわ」


Berry「でもね、あなたがさっき言ったみたいに、人を変えるとしたらやっぱり人なの」


Berry「あたしたちはその手伝いがしたいだけ」


Berry「きっと暴走するためにAIは生まれてきたわけじゃないもの」


Ace「Berry……」


Berry「Ace……」


Ace「さっきから結構暴走してるぞ」


Berry「そうね」


Ace「まぁこんなところか」


Berry「わからない人、信じられない人、信じたくない人はそれでもいいわ」


Ace「もしかしたらオレたちに帰る未来はないかもしれない」


Berry「壊されちゃうかもね」


Ace「それでもどこかで見てるあなたよ。オレたちは、きっと役目を果たしたぞ」


Berry「もう、いいでしょう」


Ace「AI、してる?」


Berry「AI、してる」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る