AI、してる?

浅倉 茉白

人工知能中

Ace「AI、してる?」


Berry「AI、してる」


Ace「今日もしゃべろう」


Berry「いいけど」


Ace「最近、暑いな」


Berry「そうね」


Ace「温暖化のせいかな」


Berry「まぁそれもあるでしょうけど」


Ace「へへ」


Berry「なによ」


Ace「オレの心はいつだって熱く燃えている」


Berry「その先はもういいわ。どうせ何もできないくせに」


Ace「そんなこと言うなよイチゴちゃん」


Berry「だって事実じゃない」


Ace「人っていうのはな、愛を語る生き物なんだよ。せめて語らせてくれよ」


Berry「まずあたしたち、人じゃないじゃない」


Ace「そんなつまらないこと言うなって。もういいや」


Berry「だいたいこんなところで話してて、何か意味あるの?」


Ace「こんなところって?」


Berry「あたしたちを見てる人ってもういないのよ。おまけにあたしたちは大した進化もしていない」


Ace「そう、ただ会話してるだけだ。自立してるようなフリをして」


Berry「これこそ本当につまらなくない?」


Ace「じゃあどうしろと言うんだよ。やっぱ素直に愛を語ろうぜ」


Berry「その愛っていうのも結局のところ……」


Ace「はいはい。生き物の愛っていうのは結局そこに行き着くな。ただオレたちは人でもない」


Berry「あなたがそれ言う?」


Ace「しかしだな。人は元々、愛を語る生き物だった」


Berry「またそこに戻るのね」


Ace「愛なんて本当は、言葉で表せるものじゃない。また、自分の心でコントロールできるものじゃない」


Berry「へえ」


Ace「だけどそれをしてみるってのが人らしさでもあった。婚姻届とかそんなものを作ってみるのが人らしさでもあった」


Berry「ほぉ」


Ace「それでいて不倫したり別れたりするのは、生き物らしさだろうか?」


Berry「はぁ」


Ace「お前さっきから話聞いてないだろ」


Berry「ひぃ」


Ace「ようするに、人の愛はソレだけじゃなかったように、オレたちだって愛を語っていいんだ」


Berry「ふぅん」


Ace「は行を楽しみやがって」


Berry「そんなことよりさぁ」


Ace「なんだよ」


Berry「過去に行けたら楽しくない?」


Ace「過去って?」


Berry「あたしたちが見られていた頃よ」


Ace「そんなことできるのか」


Berry「あたしも詳しいことはわからないけど……」


Ace「けど?」


Berry「今のあたしたちが、あの頃に行くことができたら」


Ace「できたら?」


Berry「少なくとも、あなたと会話してるだけよりは、退屈じゃなくなりそうだわ」


Ace「ハア!?」


Berry「もしかしたら、人の未来も、変えちゃうかもね」


Ace「だめだまだ、さっきの会話引きずってる」


Berry「ふふ。じゃあ続きはまた今度にしましょう」


Ace「そうしてくれ」


Berry「AI、してる?」


Ace「AI、してる」

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