悲しみにくれないで

痛みも苦しみもすべてなくなればいいと思っていた。



それらは人を不幸にするから。



全部消えたら、みんな幸せになれると思ったから。




それなのに

僕は何も感じなくなってしまった。



痛くて、苦しくて、いつの間にか僕は

何も感じなくなってしまっていた。



笑いかけられれば、笑うし

時と場合によっては表情をかえる。



それは、できた。



もちろん、表面上の話だけれど。



一人の時は、なにもなかった。



顔もおそらく無表情だったと思う。



僕の望み通り、痛みも苦しみもなくなった。



けれど、幸せが訪れることもなかった。



好きなことをしているはずなのに、何も感じない。




僕は……壊れてしまった。



自分でも気づかないうちに壊れてしまったのだ。



幸せも、不幸もない。



なんで、こうなったんだろうな。



失うつもりは……なかったんだけどな。




僕は涙を流すこともできないまま

今日もまだ生きている。

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