ジャンピング土下座
スマホに着信とメールがあった…。リーシャを彼女の家に送って歩いて帰宅しているときに気づいた…。
『着信履歴』15件(美鈴から)20件(縁から)
『メール内容(美鈴)』
おにぃ、リーシャ先輩を送りにいくのは別にいいんだけど、どうして一言声をかけて行かないのかな? 私もついていくのに…。
もしかしてリーシャ先輩とヤラしいことをしようと企んでる? 何かしてたり、されてたりしたら切り落とすから💢何をとは言わないけど…。
おぅっ…、ヤバい何を切り落とされるんだ俺…。
『メール内容(縁)』
朱音、何で電話に出ないんだい? 何か言えないことでもリーシャ君としているのかな? 帰ってきたらきちんと説明してもらうからな! 納得のいかない説明だったら切り落とす。
何をですか? なに…? 2人ともメッチャ怖いんですけど! 何を俺から切り落とすんですか!
俺は震えながら玄関のチャイムを鳴らす。
「おにぃ? 話があるから覚悟して💢」
本気で怒っている美鈴の声が聞こえた。
玄関の鍵が開いた音がした…。
「おにぃ、入って💢」
低くドスの効いた声が聞こえる…。ヤバい怒ってる…。
玄関を通ってリビングに行くと血だらけの包丁を持った2人が居た…。
「2人とも怖いから一旦包丁を置いてくれないかな? 」
2人にお願いをすると2人はテーブルに包丁を置いて冷めた目で俺を見つめてくる。
「はぁ~っ、まったく何で血だらけの包丁なんて持ってるんだよ… 」
そういうと美鈴が包丁を持ち直して
「ほら、おにぃ…早く説明して♪ 」
血だらけの包丁で生きてまな板の上でビチビチ跳ねている鯵を捌いてミンチにしていく…。
「出来たよ! おにぃの未来! 」
なんですか? 俺をミンチにしてなめろうか何かにするんですか?
「ほら朱音、早くきちんと説明をするんだ! 私も美鈴君もそんなに我慢強い方じゃ無いんだ…。わかるだろ? 」
えぇ包丁を持ち直した2人をみたら十分理解出来ました。
「どこから説明すれば良いですか? 」
2人に尋ねると2人は頷いて
「「最初から! 」」
そういって俺を見つめてきた。
◆◇◆◇
「なるほど、それじゃあ何もしてないしリーシャ君に胸を押し付けられただけなんだね?」
包丁を片手に聞くことじゃないよね…?
俺が必死に頷くと縁は『分かった』と言って持っていた包丁を置いてグーで顔を殴ってくる。
「今回はコレで許してあげるけど次こんなことがあったら分かってるよね♪ 」
置いてある包丁を持ち直さないでください!
「分かってる! 分かってるけどリーシャも俺のことが好きだって…。縁や美鈴と同じ気持ちなんだと思う、だから俺はリーシャだけ無視するなんて出来ない…」
そういうと美鈴が舌打ちをして
「やっぱり後夜祭の時リーシャ先輩に告白されてたんだ橘先輩だけでも強敵なのにリーシャ先輩まで…。おにぃはモテなくていいのにどうしてモテるの? おにぃには私だけ居ればいいのに! むぅ~っ! 」
と1人唸っていた…。
「どうせ朱音のことだからリーシャ君に胸を押し付けられて鼻の下を伸ばしてたんだろ私の方がリーシャ君より大きいんだからな!」
確かに大きいとは思うよ…。だって縁Eカップだもんな…。
「おにぃは慎ましやかな方が好きだもんね♪」
そういって美鈴が胸を押し付けてくる。
「いや、美鈴君みたいなBより私の方がいいに決まってる! 」
そういう話をしてるんじゃないんだけど…。
「おにぃはどっちがいいの! 」
なんだか究極の二択が迫られてるんだけど…。
「それぞれの良さがあってどっちもいいと思うよ♪ 」
2人を怒らせない1番無難な選択だと思う!
しかし、どうやら選択を間違ってしまったらしい…。
「それって誰でもいいってこと? どういう意味なのかな…」
縁が包丁でダンッと、まな板に置いていた鶏肉を叩き切る…。
「そういうことじゃないから! どっちも綺麗で可愛いってことだから! 」
俺は必死にフォローせざるをえなかった…。
◆◇◆◇
「おはよう朱音♪ 」
リーシャが玄関を開けて俺に抱きついてくる。
「おはよう朱音♪ じゃないです! まったくリーシャ先輩までおにぃのこと好きになるなんて…。とりあえず離れてください! おにぃは私のです! 」
いや、美鈴の物になったつもりは…。
「何を言っているんだ? 朱音は私の彼氏なんだからちょっかいを出さないでくれないかな? 」
俺はいつから縁の彼氏になったのかな?
「「それ本当なの💢」」
2人が俺に詰め寄ってくる。
「そんな関係になった覚えもないし誰かの物にもなった覚えは無いから! 」
そういってその場から駆け出して逃げることにした。
「ゴメン! 慶次に用事があったんだ! 」
その場から逃げ出そうと駆け出すと
「ヒャンッ! 」
曲がり角で女の子とぶつかってしまった。
「ごめん大丈夫? 」
そういって手を差し出すと
「あれ? 先輩? どうしたんですか慌てて…」
凛ちゃんだった…。
「俺はその…色々あって…」
後ろで言い争ってる3人を見つめる。
「なるほどです。先輩モテますもんね♪ いいんですか戻らないで…? 」
不思議そうに俺を見つめてくる。
「それより凛ちゃん急いでたみたいだけど大丈夫なの? 」
話を反らそうと話題を変えると
「あっ! そうでした、今日私日直なんですよ! 先輩とお話しできるのは嬉しいんですけど早く行かなくちゃ! 」
凛ちゃんが走り出そうとするので
「待って凛ちゃん! 靴ヒモがほどけてるから! 」
そういって凛ちゃんの前にしゃがみ靴ヒモを結び直す。
「俺も前を確認してなかったのマズかったけど凛ちゃんも前に注意しながら走りなよ♪ それじゃあ頑張ってね♪ 」
凛ちゃんに微笑みかけると
「先輩、そういうところがいけないんですよ…(優しいなぁ先輩、でも私はあの3人みたいに可愛くないし傷つかないうちに諦めなくちゃ)」
あれ? どうしたんだろう何かに考えてるみたいだけど間に合うのかな?
「凛ちゃん時間…? 」
凛ちゃんに声をかけると
「はわぁっ!! そうだ!早く行かなくちゃ! 先輩それじゃあ! 」
そういって凛ちゃんは走っていってしまった…。
「それじゃあ俺も…」
目の前の道路には茶色いカバーの手帳が落ちていた…。
「凛ちゃん!? 」
きっとこの手帳は凛ちゃんの物だろう…。あとで1年生の教室まで届けに行かなくちゃ…。
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