バナナ

 机の上に置かれたバナナを眺めていると、ふと不思議な気分になった。

 こんなにも都合よく皮が剥けて、こんなにも都合よく甘い。まるで、誰かに食べられるためだけに生まれてきたかの様にも思えてくる。

「……そうなの?」

 呟く様に尋ねた。返事は返ってこない。答えを待つ代わりに、僕はその皮を剥いた。

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