孤独

露薫

第1話

俺はいつからここにいるんだろう。

気がついたらここにいて、どれほどここにいるのかわからない。

なんでここにいるのかも、ここがどこなのかも知らない。

ただ、月の綺麗な日に意識が覚醒したのだけは覚えてる。



ここにあるのは、俺の座っている椅子と手が届かないくらい高いところに一つの窓だけ。扉すらない、空っぽの部屋。


そんな、何もない空間にいる空っぽの俺。何も知らない。記憶のある限り、自分以外の何者かを見たことはないし、話したことはない。いや、それだと違う。自分のことさえ、見たことはない。自分の名前も姿も知らない。自分が人間なのかも定かではない。



今日も一日が終わった。空に昇った月を見て、それを知る。

特にやることもない俺は、また、日が昇るのを待つ。

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