第4話 如月 紅葉

部屋中に貼られたある人の写真

家中に仕掛けた隠しカメラで何枚も撮影した

大好きな私の「お兄ちゃん」の写真…

この部屋は誰にも見せられない…

私だけの特別な部屋…

この部屋にいる間だけ…お兄ちゃんは私のモノになる…

あぁ…ホンモノのお兄ちゃんも私のモノになればいいのに…

突如、脳内に声が響いた

?『その願い、叶えてやろうか?』

紅葉『本当に…?本当にこの願いが叶うの…?』

頭に響く声にそう語りかける

?『叶うとも、お前がそう望むなら…な』

紅葉『なら…今は信じることにする…嘘なら殺すから…』

?『いいだろう…なら暫し待つがいい…』

不思議な声はそう言うともう聞こえなくなった

果たして本当に願いは叶うんだろうか…

あ、そろそろホンモノのお兄ちゃんが帰ってくる…行かなきゃ、お兄ちゃんの為にご飯を作って美味しいって言ってもらうんだ…

部屋を出てキッチンへ向かう

冷蔵庫から食材を出す、今日作るのはお兄ちゃんの大好きなハンバーグ

紅葉「よし、じゃあ…作ろうか!」

1人でそう意気込んで作り始める

タネを作り終えていざ焼こうとした時、ふと何か変な臭いがした

嗅ぎなれない何かの臭い

なんだろう…不思議に思ったが特に気にせずコンロの火をつけた

その瞬間、キッチンを中心として大きな爆発が起こった

あ…私…死ぬのか……

死ぬ前に…お兄ちゃんと会いたかったな…

…………

………………

……………………ん?

ここは…どこ?

私は…生きてる…?

良かった…でもあれだけの火を全身に浴びたら相当な火傷のはず…

そう思い自分の手を見るが特に何も無い

そして手元には手鏡がある

よくわからない手鏡を手に取り、自分の顔を見てみる

そこには見慣れない女性の姿があった

紅葉「私…別人になってる…」

理解はできない、けど揺るがない事実を目にして嘘だとは言えない

別人になってるとしか言いようがなかった

辺りを見渡すと他にも人が5人

不思議なことにみな女性である

一体何をするのかわからない…

でも…お兄ちゃんの所に帰るんだ…

あと帰ったらあの声の主を探し出して殺してやる…

私に嘘をついたことを後悔させてやる…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る