@minato_hotaru

第1話

クリーニング屋の細いハンガーは

物干し竿にぶら下がりながら

ピンクや水色の体を並べ

鶴として生きてゆくのを決めた


ハンガーを縦に吊していくと

千羽鶴のようなグラデーションが

今にも飛び立って行きそうな程

羽根を擦る音が聞こえてくる


幸せの作り方を知らなくて

ハンガーに首をくくった夜は

ワイヤーが伸びて形が崩れ

一羽の鶴を殺してしまった


その時に僕はやっと見えたんだ

命の輝きや溜め息の声


身代わりになった鶴の分まで

僕は生きるしハンガーを吊す


忘れてはならない大事な事を

お守りのように飾った場所で

祈りの声が両手を合わせる

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