liquid

@NanashimaRiko

三宮涼介と言う男

世の中には勝ち組、負け組と言う言葉がある。


三宮涼介をどちらかにするなら間違いなく勝ち組だろう。


東大を優秀な成績で卒業し、世界的な大企業・三宮グループに入社。


以来順調業績をあげ、その功績を認められて25歳の時に創始者・三宮正義の一人娘・姫華と結婚。


それも彼の出世スピードを後押しし、僅か32歳で取締役の座に登り詰めた。しかし決して仕事だけではなく、人柄は誠実な好青年そのものであり、時折ウィットに富んだ話術で周囲を楽しませ、壁に当たって思い悩む者には心からの助言を送り、手柄を上げた部下には大いに褒め称え、失敗をした者には厳しく注意し、その後での励ましも絶対に忘れない。


おまけに並みのアイドル顔負けの容姿の持ち主。


彼を妬ましく思う者こそいても、心から嫌う者、憎む者はいない。



そして1年前、創始者の三宮大吉が亡くなり、三宮涼介が35歳の若さで三宮グループを引き継ぐこととなった。




彼は完璧な人生を歩んでいた。
















三人の女性の犠牲の上に。







14年前、高校三年の女子生徒が自宅から突如行方不明になった。


女子生徒は両親が旅行で不在の中、留守番中の家の中から忽然と姿を消したのだ。


警察の懸命の捜査にも関わらず、女子生徒は今も見つかっていない。


ちなみに女子生徒のクラスメイトに矢澤涼介と言う男子生徒がいた。


矢澤涼介は女子生徒と当時付き合っていた彼氏だった。


矢澤涼介はその後東京大学へ進学した。







7年前、自宅から一人の女性が行方不明になった。


女性は一人暮らしの自宅から忽然と姿を消した。


こちらの事件も警察の懸命の捜査にも関わらず、女性は今も見つかっていない。


ちなみに当時付き合っていた女性の彼氏は、

矢澤涼介と言う名前だった。


その後矢澤涼介は、勤務先の社長の娘と結婚した。













そして3ヶ月前、三宮グループ取締役・三宮涼介の妻・三宮姫華が行方不明となった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

liquid @NanashimaRiko

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る