キャンプ場のカレー
私がまだ幼かった頃のお話。
この話は私はあまりよく覚えておらず、母から聞いたものです。
夏の真っ只中の日のことでした。
幼い私と母は、田舎のキャンプ場へ足を運びました。そのキャンプ場はあまり人がおらず、川もあり、ゆっくり過ごすには快適なところでした。
お昼すぎにキャンプ場へ着くと、私たちはさっそく川へ行き水遊びをしました。しばらく遊んでいるうちに日が沈み始めたので、夕食の『カレー』を作ることにしました。
思った以上に火起とは大変なもので、隣りのテントの人に手伝ってもらい、何とかカレーとご飯が炊けました。その頃にはもう、あたりも薄暗くなり、何故かキャンプ場には私達親子以外はおりませんでした。
「珍しいこともあるんだな」と思いつつも母は今作ったご飯を器によそい、カレーをかけます。
「さぁ、食べるぞ!」という時に、私は
「アイスが食べたい!!」
と言って、ぐずり始めました。
なかなかいうことを聞かないので、母は仕方なく私と車で山のふもとまで戻り、売店でアイスを買い、元のキャンプ場まで戻って参りました。
そこで違和感に気づきます。
テント前には『ご飯の鍋』『カレーの鍋』を残してきたはずが、何故か、ご飯の鍋しかないのです。
テントの中、外において置いた道具などは一切無くなることなく、ただ、カレー鍋だけが忽然と姿を消していました。
「おうちに帰りたいよぉぉぉ!!!」
突然私は泣き始めました。
なだめようとした母は、背中が
ゾワァァァァァァッ
として、何故か、ここにいちゃいけないと思い、テントやご飯の鍋、その他の持ってきたもの全てをそこに置き、急いで車に乗りこんで家まで帰りました。
いまだにカレーの行方は分かりません。
怖話 すっちー @SUCCHIY
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