翻訳詩集
白井惣七
すみれ
小さなすみれは野原で
小さくかがんで誰にも知られることなく咲いていた。
可愛らしいすみれの花。
そこへ羊飼いのむすめがやってきた。
足取りかるく、いきいきとして
陽気に歌ってやってきた。
すみれは思った。わたしが
この世でいちばん綺麗な花だったら。
ほんのすこしの間でいいから。
あの愛らしいひとがわたしを摘みとって
胸に押しあてて、わたしがしおれてしまうまで。
それまで、ほんのすこしの間でいいから。
だけど少女は
すみれにまったく気づかずに
踏みつけていってしまう。あわれなすみれの花を。
すみれはつぶれて死んだ。けれどもよろこんだ。
だって私は死ぬの。私は死ぬけれど
彼女のせいで、彼女に踏まれて死ぬのだから。
=====
Ein Veilchen auf der Wiese stand,
Gebückt in sich und unbekannt,
Es war ein herzig's Veilchen.
Da kam eine junge Schäferin
Mit leichtem Schritt und munterm Sinn
Daher, Daher,
Die Wiese her, und sang.
Ach! denkt das Veilchen, wär' ich nur
Die schönste Blume der Natur,
Ach, nur ein kleines Weilchen,
Bis mich das Liebchen abgepflückt
Und an dem Busen matt gedrückt!
Ach nur, ach nur
Ein Viertelstündchen lang!
Ach, aber ach! Das Mädchen kam
Und nicht in acht das Veilchen nahm,
Ertrat's, das arme Veilchen.
Und sank und starb und freut sich noch:
Und sterb' ich denn, so sterb ich doch
Durch sie, durch sie,
Zu ihren Füßen doch!
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