第59話:快楽に溺れる

「え…? ああ…、何……」


《何じゃね~よ。爺~の再婚の事に決まってンだろ~ーー!!》

 兄貴の怒鳴り声が耳に届いた。


 だが実際、電話どころではなかった。

 ボクは懸命に快楽と闘っていた。


 凛はボクの敏感な部分を容赦なく攻撃し、制圧にかかってくる。


 今にも快楽の波に飲み込まれ溺れそうだ。


《お前が反対すりゃぁ、いい事なんだ》


「そりゃぁ、だけど…、あァ~ー」

 ダメだ。凛… それ以上……


《20億も赤の他人が横取りしていくんだぞ》


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