このような良質な群像劇がタダで読めることに感謝の念は尽きない。
視点が様々に移り変わることによる混乱は、最初はどうしても付き纏うものだが、
高い文章力と情景描写の見事さで不満は押し流されてゆく。
ガロア大陸。そこにある13の国(七章途中まで読んだが、未だ全て出てきていない)王族たちを中心に物語は進む。
私としては、北方の雄こそ主人公国だと思えるのだが、この物語に特定の主人公や主役を張る国は「おそらく」設定されていないのだろう。
これから先、どのように物語が展開するか、まだ最新話に辿り着くのは先になりそうだが、
どうしてもこの良質な群像劇をもっと皆に知ってもらいたくてレビューした。
どうか、政争や人の機微、欧州の政治史が好きな人には是非読んでほしい。
一つ不満があるとすれば、その国の人口や軍、つまり詳細な国のデータなどが分からないことである。
「分からない」それもまた一つのエッセンスなのだと思う向きもあるだろうが、私には不満だった。
それでも、打ち消して余りある魅力あふれる本作を、お楽しみあれ。