第16話 再会5

 崖の一部が崩れたところにリーが体を押し付けると大きな石が動いた。

「ここは元から洞窟だったところに石を埋め込んだ。修験者が好んでするカラクリよ」

 確かに下の土は踏み固められている。洞窟を抜けるとまたもや断崖だ。リーが顔を出して何やら調べている。

「やはり綱が隠されていたよ。まず私が下りてみる」

 下はまた深い森が続いている。続いて下忍が下りて息子も何とか支えられて下に着く。茉緒が最後に続いたときには周りはすっかり修験者に囲まれている。リーが大人しく縛られている。戦うなと言うことだ。しばらく一列に森の中を進むと前方からも修験者が現る。茉緒とリーだけがまだ奥の道を歩かされる。茅葺の小屋が見える。小屋の戸が開く。

「悪かったな縛ってな」

 長い白髪姿だが今井宗久だ。

「部下も下で預かっている。中に入ってくれ」

「服部に襲われたのですか?」

「そうだ。あの時にすべての雇人を失ったわ。ただこういう日もあろうかと豊臣の財宝は廃坑に埋めておいた」

「なぜ果心居士に救われたのですか?」

「元々弾正から果心を預かっていた時期があったのだよ。彼も弾正が死んでから彼をお山に運んでそこにいたのだが、不意に鉱山に現れて救われたと言うことだ。どうだ海の向こうに行ったのか?」

「ええ、アユタヤに行きました」

「やはりアユタヤだったか」

「果心居士は?」

「江戸に行っている。そもそもここを攻撃させたのは明智光秀こと天海だ。居士は今天海と戦っておる」

「天海が?」

「奴は家康と組んでいたのだ。果心は昔光秀とも縁がある。詳しい話は果心に聞くとよい」

「アユタヤに行かれますか?」

「待っていたのだ。日本はもういい」




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