第9話 新天地9

 通商税は予定通り発布された。豪は荷隊を市の外に移して野外市を開くことで税を逃れる。商売人は荷をここで受取自ら市に運ぶ。茉緒も港前に市を開いて商人に荷を売りつける。街の市はすっかり寂れていく。だが和寇は今とばかり港にチャクラパットの旗を揚げ入ってくる。

 これでは手が出せない。それで豪と都に一番近い和寇の基地を攻めることにした。陸からは豪が2百人が迫り、海からは廻船3隻で百人が同時に攻め込む。基地にはヒデたちが見張りを何日も前から立てている。一番船が多い時を狙った。ヒデの狼煙が草むらから上がった。

「王子は手出し無用ですよ」

 船には乗せたが茉緒が条件をもう一度口にする。凜の船が火矢を一斉に放つ。

「他の基地から船が来るまでに引き上げる」

「他の基地とは?」

「私の調べでは同様の基地がまだ4~5か所はあると思っています。それにチャクラパットが後ろにいる」

「そうだね。和寇というのは日本人ではないのか?」

「そうでもないようです」

 すでに陸には豪に一隊が攻め込んだようだ。茉緒の廻船も海の船を焼き尽くし陸に乗り上げる。茉緒も久しぶりに剣を抜いて湧き出てくる和寇に向かう。和寇は今まで攻められたことがなかったのだろう。海での戦いのようではなくまとまりなく草むらに逃げ込んでしまう。

「さすがに魔王だな」

 豪が燃えている屋敷から出てくる。

 半島の方から次々と狼煙が上がっている。これはヒデが見張りを何か所にも立てているのだ。他の基地から和寇が出てきたという知らせだ。

「引き揚げましょう」

 茉緒が手を上げる。豪の馬も移動を始める。





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