3)海村 雄翔

さてさて、最後にお伺いしたいのは、主人公 海村かいむら雄大ゆうだいくんの弟さんの、海村雄翔ゆうとくんです!


時々登場する彼にもインタビューしちゃいましょう!


Q「最初に、簡単に自己紹介してみてください。」

雄翔「はい。海村雄翔、1997年生まれで18歳です。横浜市出身っス。」

Q「・・・それだけ、ですか?」

雄翔「え?」

Q「いや、これは失礼。あまりにも簡潔過ぎたので、少々フォローし切れませんで。」

雄翔「もっといろいろ話した方が良いっスかね?(苦笑)」

Q「よろしければ。」

雄翔「そしたら、今は高校3年で、部活は陸上部で、短距離やってます。」

Q「なるほど。運動はお好きなんですか?」

雄翔「まぁそこそこは。」

Q「そこそこ?」

雄翔「得意ってほどではなくて。成績も、5段階中3のときが多いし、良くて4取れるときがたまにあるくらいで。」

Q「成績だけが全てという訳でもないと思いますよ。重要なのは、運動が好きかどうか。楽しめるかどうか、ではないでしょうか?」

雄翔「まぁ、楽しんではいますね。」

Q「どうして陸上部で短距離をやろうと思ったんですか? 何かきっかけとか、そうですね、昔から走るのが好きだったとか、そういうエピソードがありましたら、教えてもらえませんか?」

雄翔「まぁ、走るのは嫌いじゃなかったっスけどね。中学入学してすぐ、部活を決めるときに仲良かった友達が陸上部入るって言ったんで、自分も一緒に入部したのがきっかけっスね。」

Q「そうすると、もしそのお友達が陸上部以外に入部していたら、雄翔くんは全然違う部活をしていた可能性もあるという訳ですね?」

雄翔「かもしれないっスね。」

Q「結構、行き当たりばったりな判断をすることが多いんですか?」

雄翔「まぁ、多いような気もしますね。周りに合わせることの方が多いような気ぃしますし。」

Q「なるほど。あまり自分の意志で行動することは多くないんですか?」

雄翔「だと思いますね。周りの意見聞いて、それに合わせてやった方が穏便に進むじゃないっスか。」

Q「確かに、それはそうですが・・・。しかし、それじゃあ自分の居場所もいつか無くなってしまうのでは?」

雄翔「それは、そうかもしれないっスね。けど、何でもかんでも周りに合わせるだけって訳でもないっスよ。」

Q「と、言いますと?」

雄翔「一応、自分でこうだと決めたことをやろうとしてることもあります。」

Q「せっかくですので、それが何なのか、教えてくれませんか?」

雄翔「え? それは・・・。」

Q「秘密なんですか?」

雄翔「秘密ってほどのことでも無いっスけどね。最近決心が付いたんで。」

Q「そしたら是非とも教えてくださいよ。その決意について、笑うようなことは決してありませんから。」

雄翔「そうっスか? そしたら、言いますけど。」

Q「はい。」

雄翔「自衛隊に入隊しようと、考えました。」

Q「自衛隊? それはまた、どうして?」

雄翔「大切な家族や故郷を守る仕事だからっス。」

Q「確かに、今のご時世、近隣諸国との間で細かい衝突が絶えないですし、万が一に最悪の事態になってしまうことも全くないとは言い切れない状況ですからね。自衛隊に入ることで、自分の国や家族や故郷を守ることに繋がることは確かかと思います。しかし、これまた随分と大きな決断をしたように思いますけど。何か心を定めるきっかけがあったんですか?」

雄翔「そうっスね。雄吉ゆうきちにいと出会って、いろいろ話をしたことで決意できたと思います。」

Q「どんなことを話されたんですか?」

雄翔「国を思うことは、恥ずかしいことじゃないってことを教えてくれたような気がします。」

Q「と言うと?」

雄翔「いろいろ、迷っていたんス。自衛隊に入って国を守る仕事したいって話を友達とかにすると、“なんか古めかしい”とか“右翼”とか言われること多かったんで。けど、雄吉兄と話して気が付いたンス。国を思う気持ちって、誰もが持ってるはずだと。」

Q「それは、どういうことなんですか?」

雄翔「例えば、自分の住んでる街が好きだったり、オリンピックとかで日本がメダルを取ったりすると盛り上がったりする。こういうことって、やっぱり日本人として当然感じる、何て言うのかな、親しみとか大切に思う気持ちがあるってことだと、オレは思うんスよ。」

Q「なるほど。確かにオリンピックの競技やワールドカップのサッカーの試合とか見ると、日本を応援しますね。それで、日本が良い点取ったりゴールを決めたりすると歓声が沸く。こういうのも、一緒の愛国心みたいなものなのかもしれませんね。」

雄翔「だから国を守る仕事に就きたいってことは、何も可笑しなことじゃないって、思えたンスよ。(ニコニコ)」

Q「そうだったんですね。雄吉くんとの出会いは、雄翔くんに大きな決心をさせるきっかけを与えてくれたんですね。」

雄翔「雄吉兄を見ていて感じたのは、今生きてる日本人は、今当たり前にあるものがとてもすごいことだってことに気が付いてないってことッスね。当たり前過ぎて見失ってる。そんな気ぃしました。」

Q「すごく深いことに気付いたと思いますけど、どういったものが当たり前にあるものですごいことだと気付けてないのか、一つ教えてもらえますか?」

雄翔「一つは、戦争が無いこと、じゃないッスかね?」

Q「あぁ、確かに。」

雄翔「少なくとも、雄吉兄が生きていた頃は、戦争の無い日本なんて当たり前じゃなかった。雄吉兄みたいにあの戦争で死んでいった人たちがたくさんいた。そういう犠牲を出さずに済むようになったことは、戦後の日本では当たり前ですけど、それを貫き通していることって、あまり気にしたことは無い。とても大切なことだけど、気が付かずに過ごしてる。そういうふうに、オレは雄吉兄と会って気付きました。」

Q「そういうことに気付けたからこそ、元々あった国を守る仕事に就きたいって思いも、より強くなったのかもしれませんね?」

雄翔「そうッスね。」

Q「その志を胸に、是非自衛隊に入隊して、立派な隊員になって、我々が安心して暮らせる日々を守って下さいね。」

雄翔「了解ッス!」


Q「それでは続いての質問です。あなたは犬派ですか? それとも猫派ですか? 理由も添えて教えてください。」

雄翔「う~ん・・・。」

Q「どうでしょう。」

雄翔「はっきり言っても良いッスか?」

Q「えぇ。」

雄翔「どっちでもないッスね。」

Q「どっちでもない?」

雄翔「別に、飼うなら犬でも猫でも、可愛ければそれで良いってことッスよ。」

Q「ああ、そういうことですか。いや、てっきり犬も猫も苦手だと言うことかと思ってしまって。」

雄翔「基本的に、動物は好きッスね。植物の世話は、ちょっと苦手意識ありますけど。」

Q「と言いますと?」

雄翔「よく、小学校の一年生くらいに朝顔育てるじゃないスか。あれでオレ、水やるのしばらく忘れてて、枯らしちゃって先生にこっぴどく怒られたンスよ。(笑)」

Q「あらら・・・。そうだったんですね。」

雄翔「何ちゅうか、植物って動かないじゃないですか。だから空気みたいで、すぐに忘れちゃうっていうか。なんか上手く育てられないんスよね。」

Q「そしたら、確かに動物の方が良いのかもしれませんね。お腹が空けばとりあえずおねだりしに飼い主の下に来てくれますから。(苦笑)」

雄翔「ま、そういうことッス。」


Q「さて、今あなたに大切な人はいますか? いたとしたら、なぜその人が大切なのですか?」

雄翔「大切な人・・・。(ニヤニヤ)」

Q「その顔は、さては良い方が?(ニヤニヤ)」

雄翔「わかります?」

Q「それはもう。どういった関係の人なんですか?」

雄翔「高校の同級生ッス。一年のときに同じクラスに居て、可愛い娘だなって感じて。」

Q「告白なされたんですか?」

雄翔「そういうことッス。」

Q「それはそれは。そしたら、もうお付き合いが始まって二年くらいになるんですね?」

雄翔「そうッスね~。」

Q「これからもずっと、大切になさってあげて下さいね。」

雄翔「もちろんッス!」


Q「次の質問ですが、もし10億円あったら、雄翔くんなら何をしますか?」

雄翔「おぉ~、10億~。そうだなぁ。とりあえず、学校やめて、遊んで暮らしてみるかな。後は、生活の足場として家も買っといた方が良いかな。」

Q「なかなか夢が膨らんでますね~。」

雄翔「だって10億円ッスよね? 前に聞いた話ッスけど、普通のリーマンが一生働いて稼げるのは、だいたい2、3億円ってことらしいんで、10億円もあればある程度質素に生活すれば生涯働かずに遊んでいても生きていくことは出来るってことッスよ。」

Q「なるほど。確かに、普通に生活していれば充分な金額でしょうね。」

雄翔「ま、そんなの夢のまた夢ッスけどね。地道に働いて、食っていきますよ~。せめて、毎月宝くじでも買おうかな。(笑)」


Q「ここ最近で一番楽しかったことや面白かったことはありますか?」

雄翔「やっぱり、雄吉兄がやってきた9日間じゃないッスかね。兄貴がもう一人増えたみたいで、なんだか楽しかったッス。」

Q「本編ではあまり雄吉くんとは一緒に居られなかったようにも思いますが、雄吉くんとの思い出で特に印象的だったことは、どんなことでしたか?」

雄翔「そうッスねぇ。やっぱり、雄吉兄と別れる前日の夜のバーベキューのときっスね。」

Q「それはどういうことをしたんですか?」

雄翔「家の庭で家族と一緒にバーベキューして、雄吉兄と腕相撲大会したり、トランプで遊んだりしながらみんなでワイワイと楽しい時間を過ごしたんスね。あのときの雄吉兄は、いつになく楽しそうに笑っていたんで、オレもとても楽しくて。」

Q「最後の晩ということで、雄吉くんとの思い出もより一層たくさんできたのでしょうね。」

雄翔「そうっスね。あの晩のことは、絶対に忘れられませんよ。あれが、雄吉兄にとって、最期の宴会になった訳ですし。その最後の晩を一緒に楽しむことができたのは、本当に光栄でしたね。」


Q「それじゃあ、ここ最近あった悲しいことは?」

雄翔「そんなの、雄吉兄との別れに決まってるじゃないっスか。」

Q「はい。薄々わかってはいたんですが、これも仕事なので。」

雄翔「頭堅いなぁ。」

Q「雄吉くんとの別れを乗り越えることは、もうできましたか?」

雄翔「・・・わからないっスよ。雄吉兄に託された思いを背負っていこうと、覚悟はできたんスけど、やっぱり雄吉兄がいなくなってしまったのは、悲しいっス。9日間って始めに聞いていても、やっぱりどこかでずっと、もっと一緒に居られるものって、思っていましたから。辛いっスよ。人が、親しい人が死ぬのって。寂しいっス。(涙)」

Q「そうですね。本当に、そう思います。」

雄翔「なんか、どうして雄吉兄じゃなくちゃいけなかったのかって、思うっス。」

Q「特攻隊へ往って、戦死されたのが、ということですか?」

雄翔「そうです。なんか、悔しいっスよ。」

Q「あの戦争で、これからの未来に希望が溢れる若者たちの多くが戦死してしまいました。雄吉くんみたいに、自ら特攻隊へ志願して、その身を捧げられた人たちもいました。全ては、もう二度と、そのような犠牲を払わずに済む日が来ることを夢見て。彼らの死について、悔しい、悲しい、辛いと、思う気持ちを忘れなければ、これからも、きっと同じ思いで涙を流す人を増やさずに済むのだと、私は思いますよ。」

雄翔「オレは、雄吉兄の思いを、平和な日本を守るってこと、継いでいきます。絶対に、守って見せます!」


Q「ここでちょっと変わったことをお聞きします。」

雄翔「何っスか?」

Q「もし目の前に傷ついた子供がいるとします。雄翔くんなら、どうしますか?」

雄翔「傷ついた子供ねぇ。どうするかな? 近くに他に誰もいないってシチュエーションっスか?」

Q「えぇ。そういうことにしましょうか。今近くには雄翔くんとその傷ついた子供以外に誰もいない。さぁ、どうしましょう?」

雄翔「そしたら、誰か面倒見れそうな人がいるとこまで付き添うんじゃないスかね。もちろん、何か急ぎの用がなければの話っスけど。」

Q「なるほど。それじゃあ、何か急いでるときにその場面に出くわしたら、どうします?」

雄翔「そんなこと聞かないでくださいよ。・・・そうっスね、とりあえず歩けるかどうかくらいは確かめて、誰かいそうなところへ向かうように言いますね。」

Q「わかりました。」

雄翔「何だろう。妙に後味悪いな・・・。」


Q「それでは次へ行きましょう。見覚えがない異性が声をかけてきました。どうしますか?」

雄翔「見覚えがない異性? それって、ナンパっスか?(ニヤニヤ)」

Q「そういうことにしましょうか。」

雄翔「それなら付き合うぜ。とりあえずまぁ、どこか遊び行って、付き合えたらラッキーみたいな。」

Q「ちょっと気になることがあるんですが、一つ私から聞いてもよろしいですか?」

雄翔「何だよ、改まって。」

Q「先ほど、確か雄翔くんは2年付き合ってる彼女さんがいるとか言ってませんでしたっけ?」

雄翔「居るよ。だから今のはもしもの話っスよ。リアルじゃない。」

Q「そしたら、実際に街中で女性にナンパされたら、特に付き合うことはないと?」

雄翔「まぁそうっスね。けど、ちょっとだけなら遊んでも良いかも。なんてね。(笑)」

Q「彼女に知られたら泣かれますよ。」

雄翔「冗談っスよ、冗談。彼女のことは好きですし、大切にしたい気持ちは嘘じゃないっスから。」

Q「本当に、もしナンパされても、彼女がいる間はお断り下さいね。」

雄翔「ういっス。」


Q「さて、雄吉くんに何か伝えたいことがあったら是非。」

雄翔「雄吉兄に?」

Q「はい。」

雄翔「そしたら、こう伝えてほしいっス。オレは、雄吉兄のように強くて立派な自衛隊員になって、雄吉たちが誇りを守り抜いてくれたこの日本を守っていきます。雄吉兄たちが守ってくれたものを守るのは、オレたちの役目だって思って頑張るから、雄吉兄は安心して、オレたちのこと、見守ってて下さい。」

Q「わかりました。きっと雄吉くんも喜んでくれることでしょう。」

雄翔「そうだと良いっスね。」


Q「それでは最後に、このインタビューを読んでいる人にメッセージをどうぞ。」

雄翔「最後まで読んでくれて、ありがとうございまっス。たまにしか出させてくれなかったけど、もし本編も読んでくれてたらすごく嬉しいっス。雄吉兄たちのような特攻隊で命を落とした人たちが、何を未来のオレたちに託したかったのか、感じ取ってくれてたら、オレも嬉しいっス。」

Q「今日はいろいろお話できて良かったです。ありがとうございました。」

雄翔「あざっス!」












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