仮初の休息

水原緋色

仮初の休息

「ごめんなさい」


少女の声がソレ––人と形容することも憚られるもの––に届く前に、銃声が響く。


ソレは抵抗することもなく、銃弾を受け入れ血が飛び散った。



少女は休むことなく、淡々と引き金を引く。



ソレが100体撃たれて、ソレが全部少女に殺されて、ようやく拳銃を左の太ももにつけているホルスターにしまう。


少女は考える。

いつまでこんなことを続ければいいのか、と。


少女の心は壊れかけていた。

少女の心は強くなかった。

少女の姉のようにはなれなかった。


故に少女は、甘言に従ってしまった。


少女の魂は体を離れた。そして少女は言われた通りに姉の体に入り、安らぎを得た。



仮初の休息を。

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仮初の休息 水原緋色 @hiro_mizuhara

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