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「…そうか」



青年は彼女の返事を特に気にせず風呂場に向かう。



「…ふう…」



すると女の子が息を整えながらドアを開けて中に入って来る。



「お風呂、先入ります」


「おー」



女の子の報告に掃除中の彼女は興味無さそうに返した。



「…あ」


「っ!きゃああああ!!」



青年が先に入ってる事を思い出した彼女が呟くと同時に、女の子の悲鳴が響き渡る。



「…あーあ…」


「…何事だ!?」



やっぱりな…と彼女が零すと男が慌ててドアを開けて事態を確認しに来た。



「…アレが先に入ってる風呂に、女の子が入って行った」


「…なんだ、ラッキースケベか…」



彼女の報告に男は安心と呆れが混じったように息を吐いて呟く。



「まったく人騒がせな…」



男は迷惑を被ったかのように呟きまた家から出る。



「…若いっていいねぇ…」



風呂場から聞こえてくる声に彼女は目を細めながら漏らし、掃除を続けた。



「ふぅ…まさかこんな事が現実にあるとは…」



少しして脱衣所から出てきた青年は疲れたように椅子に座って零す。



「…次からは騒がないように言っといてね、流石にうるさかった」



そんな青年に彼女は女の子に注意するよう指示する。

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